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第26話

「母さんこれ」


「愛ちゃんがきてくれたから奮発しちゃった」


「お母さんこれは奮発しすぎじゃ」


真紀に呼ばれて下にいってみると

テーブルの上には俺たちの誕生日でも用意されないぐらいのご馳走の山があった。

テレビでしかみたことがない高級なお肉や、お寿司とお刺身の盛り合わせ。

他にもサラダやらなんやら。愛の存在は松岡家の食卓を一気に豪華にしてしまった。


「愛ちゃん遠慮せずに食べてね」


「はい!!」


愛は最初ほどの緊張感はなく、徐々に松岡家の空気に慣れてきている。

まぁ自分でいうのものおかしいが、家は比較的馴染みやすい家かもしれない。

両親はあんな感じだし、妹は愛にべったりだし。

他の家をみたことがないからわからないけど。


「じゃぁお腹もすいたし、いただこうか」


「俊哉君、今日はシャンパンでもあける?」


「いいね。愛ちゃんもいるし飲もうかな」


「え~。お父さんとお母さんがお酒飲むの久しぶりだね」


「今日は特別な日だからね」


「愛にこれ以上プレッシャーかけるのやめてあげて」


愛は父さんと母さんからの歓迎のされ方に圧倒されて、どうしていいのかわからなくなっている


「みっちゃん、私は大丈夫だから」


「愛がいいならいいけど」


「さぁ飲み物も行き渡ったところで、いただきます」


「「「いただきます」」」


「何このお肉。めちゃくちゃ美味しいんだけど」


「そりゃそうよ。グラム1000円超えているんだから」


お肉の相場がわからないからグラム1000円がどれぐらい高いのかわからないけど

若干父さんも驚いているところから高いのは間違いない


「ほんとだ。このお肉美味しい」


愛もお肉にご満足のようだ


「えっ?」


俺もお肉を食べようとしたときに母さんが急に驚いた声をだした


「急にどうしたの」


「愛ちゃん泣いているの?」


「えっ?」


今度は愛が驚いた声をだした。

俺も驚いて隣をみてみると愛の目からは涙がおちてきていた

愛自身も自分が泣いていることに戸惑っているようだ


「どうしたの?なんか嫌いものでもあった?」


「いや全部美味しいです」


「それなら瑞樹に嫌な事された?」


「みっちゃんはいつも優しいです」


「なんか想うことがあるのなら話してみたら」


父さんは優しく愛に話しかけた


「いや、私もよくわからないんですけど、なんか幸せだなって思ったら自然に涙が出てきて」


「幸せ?」


「はい。私は小さい時から両親は家にほとんどいなくて祖母と一緒にいました。だからご飯も二人で食べることが多くて。家族がそろってご飯を食べたらこんな感じだったのかなと考えたりしていました」


「それは寂しかったね」


次は母さんが愛に話しく話しかけた


「今になって考えてみれば寂しかったのかもしれませんね。実際親にも愛されていたのかわかりませんし」


「正直親にはいろいろな種類がいると思う。実際僕たちも瑞樹と真紀を二人に我慢させていることは多いし、こうやって家族が揃ってご飯を食べることも月に何度かしかないと思う」


「すいません。そうゆうつもりではなくて」


「わかっているよ。でもテレビとかみているとネグレクトという言葉や子供を虐待したりする親もいるのが事実だから全部の親が愛を持って子供と接しているのかといわれたらわからない。愛ちゃんのご両親とはあったことがないからわからないし、本当は愛していたけどそれを表に出すのが苦手だったのかもしれない」


「どうなんでしょうか」


愛は昔の両親との接し方などを思い出しているのだろう。

愛の話を聞く限りでは愛の両親は愛に対しての愛情は薄い方の親だったんだろうなと思う。


「ただ、僕たちは他の人にどういわれようと瑞樹と真紀のこと正真正銘愛している」


父さんは真剣な表情で愛にいいきった


「はい」


愛も父さんんの真剣な顔に真剣な表情で応えた


「だからその愛している瑞樹がお付き合いしている愛ちゃんのことも同じぐらいの愛を持って接していくつもりだよ」


「・・・・」


「色々語ってしまったけど、愛ちゃんの家族はここにもいるってことをこれから覚えておいてね」


「そうよ。世の中では結婚しないと家族じゃないという人はいるかもしれない。先にこんな重いこといわれたら別れたいって思った時にプレッシャーになってしまうかもしれないけど、愛ちゃんが瑞樹と一緒にいる間は家族と思ってくれていいからね」



「・・・・・。祖母以外の人に初めてそんな言葉をいってもらいました」


愛は涙がとまらなくなっていた


「あらら。泣いても美人は美人ね。真紀も泣いてもこれぐらい可愛かったらいいのにね」


「お母さん、それはどうゆう意味かな」


「まぁまぁ」


「ありがとうございます。これからもよろしくお願いします」


「「こちらこそ」」


「それと」


「何?」


「私がみっちゃんと別れることは天地がひっくり返ってもありえません。そのくらい私はみっちゃんのことが大好きで愛しています。なので俊哉さんと真奈さんの今の言葉で松岡家のみなさんのことも大好きになりました」


「そんなストレートに言われたら照れるわね」


「僕たちも嬉しいよ」


「私はさっきから恥ずかしい言葉が飛び交って恥ずかしいよ」


真紀の言葉で食卓は最初のにぎやかな雰囲気に戻った。真紀のこうゆう性格は俺にはないものだから羨ましいとも思うし、頼りになる


ご飯を食べて夜がおそくなりはじめたころに愛を送る時間になった


「愛ちゃんまたおいでね」


「はい」


「瑞樹の不満や愚痴があったらいつでもきくから連絡してね」


「それは大丈夫です。みっちゃんに対して不満や愚痴はないので」



愛はあれから父さんと母さんと連絡先を交換していた。

これから俺の行動は両親に共有されるかもしれないと思ったら少し怖かったけど

愛が幸せそうだったからいいかな


「俊哉さんも真奈さんもすごくいい人だったね」


「俺はいつも通りの父さんと母さんだったけど。なんかごめんね」


「確かに最初は緊張してしまったけど、改めてみっちゃんと付き合ってよかったなと思っているよ」


「どうして?」


「みっちゃんと付き合ったから松岡家の人たちと出会えて、初めて家族って言ってもらえ得て幸せなことがたくさんだよ」


「それならよかった」


「これからもよろしくお願いします」


「こちらこそよろしくお願いします」


「次はどこにいこうか」


「また考えないとね」


「楽しみ」


こうして俺たちの球技大会はいろいろありはしたが終わったのだった。


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