サッカーのルールは11VS11でするのが基本だが、球技大会では8VS8の通常よりも小さいコートで行い、審判はサッカー部の子がして明らかなファールなどはとるようになっているらしい。
まぁ所詮素人と元経験者のサッカーだから試合が荒れるみたいな展開はないと思う。
球技大会前に愛にこの球技大会で「区切り」をつけたらという提案をしてもらったから今回は頑張ってみようと思う。
でも本当のところ区切りよりも彼女の前でかっこつけようかなとか思っていたりする。
一応中学までそれなりにサッカーをしていたから活躍はできるだろう。多分。。。
「次はみっちゃんの番だね」
「そうだな」
「応援してるから頑張ってね」
「ありがとう」
「私も瑞樹くんと敬都くんのこと応援しているね」
「桜さんもありがとう」
「あ、ありがとう」
敬都は元々のインドアと女子からの応援で緊張は最高潮になっている様子だった
「敬都リラックスだ。初戦球技大会で相手はサッカー部じゃないんだし」
「そうだけど、僕は基本的に運動は苦手なんだよ」
「それはここにいる3人が十分理解していると思うけど」
「確かに。。。」
「一応、この2週間練習したんだから最低限はできればいいでしょ」
「その最低限ができるか不安なんだよ」
「ねぇ中村」
「嶋野さん何かな?」
基本的に愛から敬都に話しかけることはないが、突然愛は敬都に話しかけた
「みっちゃんが大丈夫っていってるんだから大丈夫」
「でも・・・」
「大丈夫」
「はい」
愛の圧に敬都は負けた
「それと」
「まだ何か」
すると愛は敬都の耳元に何か話しかけた
「みっちゃんの足引っ張ったらどうなるかわかってるよね」
「は、はい」
ここからは何を言ったのか聞こえなかったけど、多分怖いことを言われのだろう。
敬都の顔がさっきよりも青ざめている。
緊張をほぐすどころか、緊張を大きくする鬼畜行動をとる愛さんでした。
そんな敬都にも救いの手が現れる
「敬都くん」
「桜さんも何か僕に???」
「これ食べてリラックス」
桜さんが用意していたのは青春ド定番の「はちみつレモン」だった。
よく部活をしている作品なんかでマネージャーや彼女が差し入れてくれるやつ。
俺の中学はマネージャーがいなかったから母さんが作ってくれたのを覚えている
しかし、このド定番なはちみつレモンは敬都にとっては緊張をほぐす薬になったらしく
はちみつレモンを食べた敬都は落ち着きを取り戻し、顔色も少しだけ戻っている。少しだけだが
「瑞樹くんもどうぞ」
「ありがとう。ってこれ上手いな」
「それはよかった」
母さんが昔作ったのははちみつレモンでもレモンが強すぎて中学生には刺激が強かったのを覚えているけど、桜さんが作ってくれたものは甘くてほどよく酸味がきいてて絶妙という言葉がある感じだ。
「私はみっちゃんに頑張れるように愛情を差し入れるね」
「うん。ありがとう」
「私も何か作ってくればよかったかな」
「愛ちゃんが何かを作るときは一応私を呼ぼうね」
「桜のいじわる」
「へへへ。愛ちゃん可愛い」
「瑞樹、そろそろ時間だよ」
「もうそんな時間か、二人ともいってくる」
「いってらっしゃい」
「頑張ってね」
試合が始まる前に俺たちのクラスの中心的な生徒の森田が作戦を話し始める。
作戦はいたって簡単で森田にボールを集めて、次に運動神経がいい佐々木と一緒に点を決めるというものだ。
俺たちモブはディフェンスに徹してゴールを守る。
役割はこれだけ。
1試合目が始まる
試合の展開としては俺の予想以上に森田と佐々木はサッカーがうまい。
本当に二人だけで点をとってきて、相手のクラスはサッカーが上手な人がいなかった分、ディフェンスをしているモブたちは失態を侵さずに試合を終えた。
俺は当たり障りない感じで事なきを終えた。
試合後に森田に話しかけられた
「松岡って元サッカー部だったりする?」
「なんで?」
「なんかお前はボールの扱いがうまいなって思ったから」
流石中心的な存在になれる逸材。
たった15分ぐらいで俺が元サッカー部をわかってしまうところは素直にすごい
「中学まではやってたからそれなりにはできると思うよ」
「そっか。なら次の試合も頼りにしてる」
「お、おう」
頼りにしているか。
そんな言葉いわれたのはいつだろうか
中学の時に先輩が引退した後、キャプテンに任命されたときに監督に
「お前を頼りにしているからな」
あれが最後だったかもしれないな
またネガティブなことを考えそうになっているときに、ふと顔をあげると愛がこっちを見て微笑んでいた。
俺たちは付き合っていることは内緒にしているから、俺から手を振ることはないけど愛も桜さんも俺たちのことを応援してくれている。
次も頑張ろう