「これ本番で一緒につけて球技大会でない?」
「私こうゆうみんなで頑張るのになんか憧れがあって、このミサンガは私と愛ちゃんで作りました」
「みっちゃんは赤ね」
「なんで赤?」
「赤は私が作ったから」
「なるほど、じゃぁ俺は赤をもらうね」
「はーい」
俺は赤
愛は黄色
春乃さんは緑
敬都は青
これを俺たちはそれぞれの左足につけた
初めての「青春」みたいなイベントで恥ずかしかったけど、同時に嬉しかった。
「じゃぁ明日は頑張るぞ~~」
「お、おう」
球技大会は学校の方針で午前中は女子、午後は男子、女子の試合は男子が応援して、男子の応援は女子がするような仕組みになっていた。
だから愛と春乃さんは午前中で、俺と敬都は昼からだった。
あのファミレスの後春乃さんはミサンガをくれたあとに
「二人はお昼って誰かと食べるの?」
「いや俺たちは二人で食べるんじゃないかな」
「なら私たちとご飯食べようよ」
「!!!!!!」
多分俺と敬都はそんなリア充イベントを俺たちがしていいんですかと同じことを思っていただろう
「愛と春乃さんがいいなら」
「なら決定ね」
「でも誰にもばれないところで食べようね。俺たちが学校で居場所がなくなる」
「確かに」
クラスでNO1の才色兼備の完璧な女の子というイメージの嶋野愛とクラスのNO2と言っても過言ではない春乃さんと一緒にお昼ご飯を食べている陰キャ二人なんて死亡フラグしかない。
「わかった。私が人が来ないところ知っているからそこで食べよう」
「それないいよ」
こうゆうことがあり、俺と敬都は愛と春乃さんとお昼ご飯を食べる約束になっている。
まぁその前に二人の応援があるんだけど
「嶋野さんと春乃さんたち目立っているね」
横にいる敬都がつぶやく
「そうだな」
今俺たちは体育館の2階で自分たちんのクラスの女子の応援に来ている。
そして今愛と春乃さんがウォーミングアップをするためにコートに立っていた。
愛がコートに入ると他のクラスの女子から黄色い歓声が聞こえたり、男子のちょっとゲスイ内容の話声も聞こえるようになった。
そのときに初めて気づいたのが、春乃さんも学校ではかなり人気があるということ。
実際常にクールな雰囲気を作っている愛に比べて表情は柔らかくて誰にでも優しい春乃さんが人気なのは当然だと思ったけど、愛と同じぐらいの人気だと思う。
初戦の試合の結果は俺たちのクラスの圧勝だった。
愛は最初こそシュートを外しつつあったけど、最後の方には連続得点も決めたりして声援のボルテージは増すばかりだった。
愛の過去の話や愛の努力を見ていた俺としてはこれが当たり前じゃなくて彼女の頑張りなんだよと叫んでやりたいけど、そんなことをできるわけもなく試合は終わった
試合後、少しだけ愛に手を振ったりしてみたら愛も笑いながら返してくれた。
その笑顔をみた他の生徒たちが
「嶋野さんが笑った?」
「誰に対して笑ったの?」
「私の声援が聞こえたんだよ」
みたいな感じでちょっとした大騒ぎになってしまった
「嶋野さんも春乃さんもすごいよね」
「本当にすごいよな」
「俺たちってあの二人と球技大会の練習をして今日のお昼ご飯を一緒に食べるんだよね。しかも瑞樹は嶋野さんの彼氏だし、世の中何が起こるかわからないもんだよね」
「確かにそんなこといったら俺たちは今現実にいなくてラノベの中の主人公みたいに思えてきた」
「間違いない」
それからも順調に勝ち進み俺たちのクラスは決勝戦に残っていた
「愛ちゃん頑張ろうね」
「うん」
「嶋野さんと春乃さんがいれば勝てるよ」
他のクラスメイトも同じ反応する
「最後まで精一杯頑張ろう」
春乃さんの円陣で試合が始まる
試合の前に春乃さんが愛の耳元で何かを呟いた
その瞬間愛の表情が一瞬だけ嶋野愛からいつもの愛になってこっちをみた
おそらく「彼氏が見てるよ」って春乃さんがいったのだろう。
試合は拮抗した試合展開になった
うちのクラスが点を取ると相手のクラスが点をとる
一応3PTのルールはあるけど素人女子の腕力とコントロールではほとんどの得点が2Ptだったからシーソーゲームになり点差は拮抗した
「愛ちゃん」
「うん」
うちのクラスの攻撃は単純で愛と春乃さんのコンビネーションから愛の得点がほとんどで相手のディフェンスも止めようと工夫はしているが、愛というよりは春乃さんの立ち回りがうまくてとめることができないといったところだ。
しかし相手の攻撃の中心となっている選手も愛と春乃さんに負けないぐらいの実力があって、攻守がめまぐるしく変わる戦況になっている。
端からみていてすごく面白い試合になっている
観客のボルテージも上がっており、それ以上に選手たちは熱くなっているのがこの場所からでも伝わってくる。
愛はクールな一面は保ちつつも真剣な表情ではあったけど、内心ではかなり必死なのがなんとなく伝わる。
ここまで来たら優勝するぞみたいクラスの空気がそこには存在していて、どちらかというと愛はその空気とも戦っているのかもしれない。
「愛ちゃんいくよ」
「うん。あっ。」
順調にお互い得点を重ねる展開の中
残り30秒になったところ愛のはなったシュートが外れた
「カウンター」
相手の選手たちが一斉に走り出してうちのクラスは逆転された
45-47
残り10秒
「愛ちゃん最後まで頑張ろう」
「うん」
愛たちも負けずにすぐに攻撃を仕掛ける
春乃さんがドリブルを仕掛けようとするが相手の選手は3人がかりで止めに来る
なんとか春乃さんは相手にボールを取られずに味方にパスをした
そしてパスを受けた子はすぐに前線にいる愛にパスを回す
「最後はあんたにくるって読んでいた」
愛の前に相手のクラスの中心選手が二人並んでいた
すると愛はすかさずドリブルを仕掛けた。
しかし相手も負けずについてくる
残り5秒
愛はすぐさまシュートモーションに入る
「勝った」
「負けた」
流石に無理な体勢からのシュートモーションだったから、相手のクラスは勝ちを確信して、うちのクラスは負けを確信していた。
だが、愛は誰も予想をしていない行動をした
「えっ」
おそらくコートにいる敵も味方、愛と対峙している選手たち、この空間にいるすべての人がおどろいただろ。ある一人を除いて。
愛はシュートモーションに入りながらもノールックで後ろにいる春乃さんにパスを出した。しかもドンピシャに春乃さんの手元に。
前に一緒にNBAのスーパープレイでみたやつだった。
「ナイスパス」
そこにはフリーの春乃さんが構えていた
「大丈夫、そこは3PTラインだから届かないはず」
「それはどうかな」
春乃さんはニヤっと笑いシュートをはなった
そのシュートは綺麗な弧を描きネットに吸い込まれていった。
ビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
春乃さんのシュートと同時に試合は終了した。
コートの中にいる生徒も周りにいる観客もその5秒間に起きたことを理解できていなかった
「なにあれ」
数秒の時間が過ぎて一人の生徒がつぶやいた
おおおおおおおおおおおおおおおおおお
そして次の瞬間大歓声が起きた
「さくらナイスシュート」
「愛ちゃんもナイスパス」
2人はハイタッチをしている
「そこに春乃がいたことがわかっていたのか?」
「なんとなくさくらは後ろにいる気がしたから」
「へへへ。流石愛ちゃんだね」
2人のほんわか空気に負けて、相手のクラスの生徒は悔しそうにコートを後にした。