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第17話

お互いに自分の過去、自分たちの弱い部分を話した俺たちはちょっと気まずい雰囲気になっていた。

誰にも話ことがなかったことを話した恥ずかしさ

勢いあまってカッコつけたことを言ってしまった恥ずかしさ

あとはいろいろな恥ずかしさ

俺とは違った恥ずかしさを愛も感じているんだろう。

愛もさっき大泣きしてからは黙っている。


「球技大会かぁ」


俺はなんとかこの空気を変えたくて話し出した


「サッカーが頑張れそう?」


「そうだね。愛の過去を聞いて自分よりも頑張っている子の話を聞いたらうじうじしている自分が恥ずかしくなったよ」


「そんなことないよ。みっちゃんも頑張ってるから」


「でもさっきの愛の「区切り」というのはいいかもと思っているよ」


「ほんと?」


「うん。必ずどこかのタイミングで前には進みたいと思っていたし、愛が背中を押してくれるなら頑張ってみようかなって」


「背中ならたくさん押してあげるよ」


「だから頑張ってみる」


「私も頑張る」


「愛も無理しないようにね」


「わかった」



「きつくなったらちゃんということ」


「わかった」


「じゃぁお互い頑張ろうか」


俺たちはこの日にまた少し近づくことができたのかもしれない。

昔誰かが「腹を割って話したら仲良くなれるぞ」といっていたけど本当かもしれない

誰かわからないけど感謝しておこう。

それから俺たちは球技大会までの2週間集まれる日は4人で集まって俺と敬都はサッカーの練習を、愛と春乃さんはバスケットの練習をした。

俺は現役の時とは程遠いけど、敬都の練習をみつつ自分の練習もした。

2年近く本格的にサッカーをやっていなかったにしても自分のできなさにちょっと落ち込んでいたけど、愛から背中を押されたり、愛のひたすらに努力している姿をみていたらやる気がでた。

なんとか敬都はボールを止めて蹴るまではできるようになったし、俺もボールをドリブルしたり蹴れたりするぐらいには感覚が戻った。

思い通りには動けないけど、所詮球技大会でサッカー部はサッカーには参加できない決まりがあるから通用するだろう。

愛と春乃さんの方も仕上がっているみたいで、最初に練習していた時に比べたら見違えるほどになっている、春乃さんも経験者ではないといっていたけど運動神経がいいのか愛と並んでバスケをしている姿はバスケット部といわれても信じてしまうだろう。

一番驚いたのは愛のバスケをしている姿だ。

2週間前は見た目はバスケができそうなだけで力加減とかができていなくてほとんどリングに弾かれていたりリングから外れていたのに、今は5本打ったら3本は入るぐらいの成功率になっている。

春乃さんが愛は運動神経はいいといっていたのは本当なんだろう。

今の愛の姿をみて才色兼備の完璧な女の子というイメージを崩すことはないだろう。


「明日は本番だし、今日はこれぐらいにしておこうか」


「そうだね。敬都はこれ以上したら明日動けなさそう」


「それは瑞樹が俺に厳しいからだろ」


「みっちゃんの教え方に文句あるの?」


「いえ、ないです」


この2週間で一番変わったのは愛と敬都の関係性だろ。

初めて敬都が我が家に来たときは名前も覚えていなかったぐらいだったのに今は愛から敬都に話しかけるぐらいの関係性になっている(内容は主に俺のことだけど)

春乃さんも敬都とは話すようになったし、俺とも普通に話すようになった。

ただ、春乃さんと話していると決まって愛が横から入ってきて春乃さんを警戒していた。

春乃さんは「愛ちゃんの大事なものはとらないよ」と毎回猫と接するような感じで接していたのが印象的だ。

敬都も基本陰キャラではあるけど慣れると普通に話せるようになり、愛と春乃さんに対しても普通に話せている。

俺たち4人は学校ではほぼほぼ話さないけど外では仲いいという不思議な関係性になっていた。


「せっかく2週間頑張ったんだから、この後ご飯食べに行かない?」


提案したのは春乃さんだった

この提案に俺たち3人は了承して帰りにファミレスに寄った

敬都は女子とファミレスに入ることで緊張していたし、俺は俺で嶋野愛と一緒にいるところを学校の誰かに見られないかドキドキしていた。

愛と春乃さんは特に気にする様子もなく自分たちの好きなものを注文していた。

男子は緊張気味で女子は普通という、周りから見たら「釣り合わない」とか「女子が可哀そうな合コン」みたいに思われていたかもしれない。


でもそのお店で食べたハンバーグ定食はとてもおいしかった。


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