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第12話

3人組に指定された日当日。

俺と愛は敬都のことが気になって、指定されたゲームセンターにきていた。

そこには見た目の印象がかなり変わった敬都が座っていた。

自分で「ギャップ」というのを提案したけど、多分誰の目から見ても今の敬都を陰キャと呼ぶ人はいないだろう。

そのくらい見た目が変わっている

髪型だけでそんなに印象が変わるのかと思う人もいるだろうが

洋服にも少しだけ手を入れている

俺たちみたいな陰キャは元々洋服にお金をかけるおしゃれさんではないから洋服の数が少ない。

そんな俺たちにとってキーアイテムになるのが「黒のパンツ」と「無地のシャツ」である。

一件地味というやつもいるかもしれないが、俺たちはおしゃれになる必要はなくて「ダサくない」を目指せばいい。

世の中見渡せた場無地コーデなんか腐るほどあるだろう。

それに前見たテレビでいけてない人たちが「黒なパンツ」をはくだけでましになるみたいな企画をみたことがある。

俺も実際にやってみたのだが妹の真紀からもお墨付きをもらった。

今日の敬都のコーデは黒のパンツに白の無地シャツである。

今の敬都はどこにでも恥ずかしくないはず


「なぁ愛。今日の敬都はどうだ」


「そうだね。最初にみっちゃんの家に来た時に比べたら別人って感じかな。まぁみっちゃんの方がかっこいいけど」



「うん。ありがとう」


愛はいつもの調子で俺贔屓である


「でも今日の愛も可愛いよ」


「えへへ。みっちゃんと一緒にいるときは私も気合を入れるのです」


「それは俺も頑張らないと」


本当に頑張らないと愛だけが際立ちすぎて「隣の男いけてない」とか思われたら愛の評価が下がるかもしれない


「みっちゃんは今のままでいいよ」


そんなこんな話したいたら3人組の男たちがゲームセンターに入ってきた

改めて調べたのが3人組の男たちは

リーダー?みたいな存在が 木村

他A 吉田

他B 浅野

という名前らしい。学校でも悪ぶっているみたいだが決してヤンキーというわけではなくて単に弱いものいじめだけしている3人組らしい。

これは愛が春乃さんから聞いたらしい



「よぉ中村」


「うん」


「ってお前中村か?」


「うん」


明らかに驚いているのが遠くからでも伝わる。

見た目は返信できても中身の方は全然自信なさげで木村にも敬都ってバレたみたいだが

一瞬呆気にとられた木村だったがすぐに敬都とわかるといつもの調子に戻っていた


「何お前イメチェンなんてしてんの?好きな女でもできたのか」


3人組は敬都見た目をみて馬鹿にしたように笑っている

この1週間敬都の頑張りをみてきた俺としては怒りがこみあがってくる

でもここで俺が出て行っても解決しないことはわかっている。

すると敬都が口を開いた


「自分たちがイケていないからってひがんでいるの」


「はぁお前何調子乗ってんの?」


「だから君たちはダサいっていってんだよ。僕みたいな弱いやつにしかたかれないダサいやつって」


「お前ちょっと見た目が変わったからって強くなった気にでもなっているのか」


「強くはなっていないけど、僕の同志をみていると君たちがダサくしか見えないなと思って」


俺は敬都を甘く見ていたなのかもしれない

確かに見た目を変えれば気持ちの部分でも強くなれるとは思っていた

でもここまで自分が今までいじめられていたやつに対して強気でいけるやつになるとはいい意味で想定外である。

あの時の俺よりは全然強くてかっこいい男だ


「てめぇ。殺してやるよ」


そういって木村は敬都の胸倉をつかんだ


「殴れるものなら殴ればいい。そしたら警察や先生に君たちが僕に金をたかっていたことをそのままいえばいいだけだ」


本当は怖いはずだ。もういい。

俺は敬都に少しでも自信をつけてほしいと思ってギャップを提案したけど

いざ敬都が殴られそうになるのをみて弱腰になっていた


「そんなの関係ねぇよ。今お前のことをぶっ殺せればそれでいい」


そして木村は敬都を殴ろうとしたとき

俺は頭で考えるよりも早くからだが動いた。

木村が殴るよりも早くあそこの間に入れば敬都は殴られないで済むと思って走った。

しかし俺が間に入る前に


「だっさ」


その一言で俺も木村も敬都も一瞬動きがとまった。


「今誰かなんかいったか」


木村も誰がいったのかわからずに周りをみていた


「だからださいっていってんの」


今度ははっきりとその声は聞こえてきて声の主はそこに立っていた

嶋野愛だ。

俺が走り出した瞬間にいつの間にか表に出てきてたんだろう

あまりに一瞬の出来事でそこにいた男子は全員状況がわかってなかった


「嶋野愛?なんであんたがここにいるんだ」


流石に学校のNO1の才色兼備の完璧な女の子、嶋野愛の存在はしっており。なぜここにいてなぜ突然出てきたのか困惑していた


「それをあんたに話す理由がある?」


「いやないな。でもあんたに口を挟まれる筋合いもないな」


そこいいる愛はいつのも俺と一緒にいる愛ではなくて、学校にいる嶋野愛だった


「それを決めるのはあんたじゃなくて私だから」


「あんたはこいつと知り合いのなのか」


「私とそこにいる中村敬都は友達だよ。だから私の友達を傷つけようとしているあんたに対して文句をいうのは当然だと思うけど」


「嘘だろ。あんたみたいな人がこんな陰キャと友達なわけない」


「だからあんたが私の何を知っているの?私が友達といっているんだから友達でしょ。それ以上でもそれ以下でもないから」


「うっ。。。。」


愛の淡々とした正論に木村も他の男子生徒も声を失っている。

彼氏である俺でも今の愛と真正面から向き合ったら足が震えていたかもしれない

そのくらい今の愛は威圧的である。


「それで。私の友達に対してそれ以上何かするつもり?あんたたちがやっていることは私も把握しているけど」


「こいつが俺たちに金を渡してきただけで。俺たちは何もしてない」


「あんたたちがそのスタンスでいくなら私はいいけど。これからどうするの?」


「それは。。。」


「これからも友達に手を出すなら、あんたたちが私が社会的に抹殺してあげる。一応これでも学校での信頼は得ているつもりだから。私が今までのこと学校で暴露したらあんたたちみたいな人間の言葉と私の言葉を学校の生徒はどっちを信じるかはわかるよね」


「。。。。」


「なら私の友達に今後一切関わらないとここで誓いなさい」


「。。。。。」


「返事は?」


「はい。」


そう言って木村は敬都から手を放して他の生徒と一緒に帰っていった。

ほんの数分にも満たない時間で愛は全部解決してしまった。

そして俺は全くの役立たずだった。

そにしてにも、愛がキレたらこんなに怖くなるんだ。まぢで悪いことはしないでおこう


「愛大丈夫か?」


「みっ。みっちゃ~~~~~~~~~~ん」


「お、おう」


「怖かった」


「あれ怖かったの?全然怖がっているようにはみえなかったけど」


「だってあのままみっちゃんが間に飛び込んでいたらみっちゃんが殴られていたら」


「俺のため?」


「当たり前だよ。あと中村の努力している姿もみてきたから、その努力を馬鹿にしているあいつらに対してムカついたっていうのもあるけど」


「嶋野さん・・・」


横から敬都のかぼそい声が聞こえる


「まぁ9:1でみっちゃんのためだけどね」


「この幸せ者が」


敬都の声は泣きそうになっていた


最後まで愛は愛だった


「でも本当にありがとう。愛がいてくれてよかった」


「えへへ。よしよしして~~~。」


「はいはい」


「ぎゅー」


「はいはい」


「ちゅー」


「それはまた今度ね」


「ぶーーーっ」


「このリア充カップル爆発セロ」


「ごめんごめん」


とりあえずこの件に関しては一段落といっていいだろう。

正直俺ができたことはほんのわずかで、最後は愛がいないと俺たちはダメだったかもしれない。

でも敬都はギャップで強くなることができた。

俺のやってきたこともきっと無駄ではないはず。


「あっそうだ」


「どうした敬都」


「瑞樹に言いたいことがあって」


「なんだ」


「本当にありがとう。瑞樹にセットの仕方や服装のアドバイスをもらって自分に自信を持てたよ。ちょっとテンション上がりすぎて木村達に言い返してしまったけど」


「あれは俺も肝を冷やしたぞ」


「うん。でもなんか前よりも強くなれた気がしたから」


「そうか。それならよかった」


「これからも自分磨き頑張るよ」


敬都にとって今回の出来事がマイナスじゃなくてプラスに働いたのならよかった。


「みっちゃんよしよし」


「えっ急にどうしたの?」


「みっちゃんも頑張ったから私からのご褒美」


そう言って撫でられた手はとても優しく、なんか救われたような気がした。

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