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第41話

「凛音……」


少し掠れた、甘い声で呼ばれ、キスを誘うように目を閉じた。

まもなく、彼の唇が重なる。

顎を押した親指に口を開かれ、彼の口腔へと誘い込まれた。


「ん、んん……」


夢中になって炯さんを求める。

情動を抑えきれなくなったのか、彼の手が私の胸を弄った。


「……愛してる」


唇が離れ、蕩けるような声で彼が囁く。


「私も、愛しています」


まるで壊れ物のようにそっと、炯さんは私をベッドに横たえた。


「無理はさせたくないんだが……わるい、抑えられない」


目をやった彼のそこはすでに、パジャマの上からでも興奮しているのがわかった。


「大丈夫です。

私も……炯さんが、欲しいから」


「嬉しい」


彼の唇が再び重なる。

そのあとは――。


「炯さんが、欲しいのっ!」


指で、舌で、唇で散々達せさせられ、彼の腕を掴んで懇願する。


「可愛い、凛音」


彼の唇が、目尻に溜まる涙を拭ってくれる。


「そんなに可愛いと、手加減できなくなるんだけど」


そう言いつつも私を気遣うように、ゆっくりとパジャマを炯さんは脱がしていった。


「あの、ね。

炯さん」


彼も服を脱ぎ、避妊具を着けようとしたところで止める。


「……そのまま、きて」


こんなことを言うのは恥ずかしくて、顔ごと視線を彼から逸らした。


「凛音?」


「あの、ね?

身体が、炯さんの赤ちゃん、欲しい、って。

だから、ね?」


身体が、炯さんの赤ちゃんを待ち望んでいるのがわかった。

だったら、今だと思う。


「凛音」


少し低い声は、怒っている。

そうだよね、式どころか入籍もまだなのに、赤ちゃんできたら困るよね。


「あ、あの……」


感情に突き動かされ、考えなしだった自分が情けない。

謝ろうとしたものの。


「だからー、そういう可愛いこと言って、俺を煽んないの」


あやすように軽く、彼の唇が額に触れる。


「俺も早く、赤ちゃんが欲しい」


「ああっ」


なにも纏わないまま、ゆっくりと炯さんが入ってくる。

たった一枚、薄い膜がないだけなのに、いつもよりも彼を感じた。


口付けを続けながら、彼が腰を動かす。

もう、限界が近い。

目で訴えると炯さんは、私の両手を、指を絡めて握ってくれた。


「いいよ、イって」


「んあーっ!」


最奥の部屋に侵入するかのように強く撞かれた途端、背中が仰け反り身体がガクガクと震えた。

同時に勢いよく、温かいものが私の中に吐き出されるのを感じる。

ずるりと彼が出ていき、白い欲望が花びらのあいだからとろりと流れ落ちた。


「凛音」


そっと私の頬を撫で、炯さんがキスしてくれる。


「赤ちゃん、できてたらいいな」


「そうですね」


微笑む彼に自然と私も笑顔になっていた。

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