「凛音……」
少し掠れた、甘い声で呼ばれ、キスを誘うように目を閉じた。
まもなく、彼の唇が重なる。
顎を押した親指に口を開かれ、彼の口腔へと誘い込まれた。
「ん、んん……」
夢中になって炯さんを求める。
情動を抑えきれなくなったのか、彼の手が私の胸を弄った。
「……愛してる」
唇が離れ、蕩けるような声で彼が囁く。
「私も、愛しています」
まるで壊れ物のようにそっと、炯さんは私をベッドに横たえた。
「無理はさせたくないんだが……わるい、抑えられない」
目をやった彼のそこはすでに、パジャマの上からでも興奮しているのがわかった。
「大丈夫です。
私も……炯さんが、欲しいから」
「嬉しい」
彼の唇が再び重なる。
そのあとは――。
「炯さんが、欲しいのっ!」
指で、舌で、唇で散々達せさせられ、彼の腕を掴んで懇願する。
「可愛い、凛音」
彼の唇が、目尻に溜まる涙を拭ってくれる。
「そんなに可愛いと、手加減できなくなるんだけど」
そう言いつつも私を気遣うように、ゆっくりとパジャマを炯さんは脱がしていった。
「あの、ね。
炯さん」
彼も服を脱ぎ、避妊具を着けようとしたところで止める。
「……そのまま、きて」
こんなことを言うのは恥ずかしくて、顔ごと視線を彼から逸らした。
「凛音?」
「あの、ね?
身体が、炯さんの赤ちゃん、欲しい、って。
だから、ね?」
身体が、炯さんの赤ちゃんを待ち望んでいるのがわかった。
だったら、今だと思う。
「凛音」
少し低い声は、怒っている。
そうだよね、式どころか入籍もまだなのに、赤ちゃんできたら困るよね。
「あ、あの……」
感情に突き動かされ、考えなしだった自分が情けない。
謝ろうとしたものの。
「だからー、そういう可愛いこと言って、俺を煽んないの」
あやすように軽く、彼の唇が額に触れる。
「俺も早く、赤ちゃんが欲しい」
「ああっ」
なにも纏わないまま、ゆっくりと炯さんが入ってくる。
たった一枚、薄い膜がないだけなのに、いつもよりも彼を感じた。
口付けを続けながら、彼が腰を動かす。
もう、限界が近い。
目で訴えると炯さんは、私の両手を、指を絡めて握ってくれた。
「いいよ、イって」
「んあーっ!」
最奥の部屋に侵入するかのように強く撞かれた途端、背中が仰け反り身体がガクガクと震えた。
同時に勢いよく、温かいものが私の中に吐き出されるのを感じる。
ずるりと彼が出ていき、白い欲望が花びらのあいだからとろりと流れ落ちた。
「凛音」
そっと私の頬を撫で、炯さんがキスしてくれる。
「赤ちゃん、できてたらいいな」
「そうですね」
微笑む彼に自然と私も笑顔になっていた。