あれから一年後の今日、僕はあの日の本当の約束の時間にこの店の前で君を待つ。あの時の約束……もしかしたら、そんな可能性にかけて見たくなったんだ。
雨が止んだ事に気付いてないのか花柄の傘をさしたままの女性が、ゆっくりとこっちに向かって歩いて来ている。
一年経っても僕は君の姿を見間違えたりしない。
「……久しぶり」
「……どうして敦也あつやが、ここに?」
……今度は、僕から言わせてよ。
「ねぇ、覚えてる?」
ほら今日の紫陽花は雨上がり、その眩しい日の光に下で美しく咲き誇っている。