「よっと、少し揺れるかもしれないが、しっかり支えてるからな?」
危険な香りがするこの男から離れたいが、体の力が抜けて抵抗できない。
『もう好きにしてください...』そんな無力感が私を支配し、ただ流されるままに彼の言葉を受け入れてしまいそうになる。理性の糸を手繰り寄せようとしても、彼の存在がそれを切り離し、現実感を薄れさせる。
「お前は絶対に守る。しっかり掴まっとけよ」
彼の言葉が、低く心地よい声で耳元に囁かれると、その瞬間、体中に電流が走ったような感覚に襲われる。
まるで夢を見ているかのように、頭がぼんやりとしてきて、自分の思考が霞んでいくのがわかる。
(わ...わたしにはアルファン様がいるのに...)
心の中で自分に言い聞かせようとするが、その言葉は虚しく響くだけだった。
彼が腰に手を回し、さらに私をしっかりと支えると、全身の力が抜けてしまい、もうこのまま彼に身を委ねたくなる気持ちが抑えられない。
ジョーカーは
ジョーカーの動きに合わせて、
窓の縁に足をかけたジョーカーが身を乗り出した瞬間、強い日差しが窓から差し込み、まぶしい光が室内を照らした。久しぶりに浴びた陽の光だ。
外の景色は昼の明るい光に包まれ、青空が広がり、空気が清々しい。しかし、その明るさの中にも、私たちが立っている場所の高さが圧倒的に感じられた。地上から切り離されたような感覚が、私の体に一層強く圧し掛かる。
「まて!!」
その瞬間、背後から鋭く大きな声が響き渡った。