(なんでこんなことになっているんだろう)
今日もいつもと変わらず、学校に行った。二年のクラスメイト達とも仲良くなってきて、新しい友達もできた。
男子達のチラチラと見てくる
昼休みに母からメッセージがあり、今日は帰りが遅くなるから
母の仕事
そのとき、晩御飯は外食にしようと決めた。駅前に行ってみたいお店もあったし。
放課後、雪愛が晩御飯まではどうしようかと考えていると、このクラスでできた友人からカフェに行かないかと
友人達とカフェでお
何で自分からそんなところに行かないといけないのか。
格好よかろうがなんだろうが、男に変わりはない。
だから雪愛は今日は予定があると断ることにした。また誘ってほしいと加えて。カフェやファミレスでお喋りすることは好きなのでその気持ちは本当だ。
一年の頃からの友人も一緒におり、彼女達からはそうよねっていう感じの
雪愛は男性が苦手……というかあまり好きではないことを去年一年で理解してくれているからだろう。
友人達と別れて、あらためて放課後どうしようか考え、カフェと聞いてしまったからか、カフェで一人、小説を読もうと決めた。
雪愛は小説が好きだ。
ジャンルに
そうと決まれば、
気づけば六時半を過ぎていて、そろそろ食事をして帰ろうかなと思い外に出た。
そのすぐ後だ。
若い三人の男にいきなり声をかけられた。
そして今、なんでこんなことになっているんだろう、と雪愛は男達に囲まれながら深いため息を吐いたところだ。
彼らはいかにもこういうことに慣れています、という見た目で、アルコールの
自分達は有名な私立大学に通っている大学生だと
その度に行きません、
しかし、彼らから離れようとしても三人で囲むようにして逃げられない。
このやりとりの間ずっと彼らの視線は雪愛の顔、
こんな視線を
それともこちらが嫌な感情を
さっきまでは充実した気持ちだったのに、彼らのせいで気分は
雪愛は思う。『これだから男なんて嫌いなんだ』と。
けれど、逃がす気はないと言わんばかりの彼らの態度に
もう何も言葉を返したくなくて、いつになったら
しかし、何を言っても相手にしない雪愛にしびれを切らしたのか、とうとうその中の一人が雪愛の腕を荒く
「いいからさ。とにかく一緒にカラオケでも行こうよ。そこならご飯も食べられるし」
「まずは移動しよう」
「こっちだよ」
「っ!?
雪愛は、言うと同時に掴まれた腕を思いっきり自分の方に引き
そのとき、雪愛の上半身に液体が大量に飛んできた。
「うお!?」
「きゃっ!?」
男の声と雪愛の声が重なった。
雪愛が液体のかかった場所を見てみると、制服の胸元あたりがびっしょりと
制服のブレザーとカーディガンを着ていたとはいえ、胸元のシャツは濡れてしまって
雪愛はサッと胸元を腕で
その目には少し涙が
雪愛が男を見やると腕を掴んできた反対の手にはペットボトルの水があった。それが腕を振り払った
そんな雪愛の反応にもニヤニヤとした笑みを浮かべながら男達は言葉を続ける。
「いや~、ごめん。ごめん。びしょ濡れになっちゃったよね。君が突然腕を振ったからだけど、お
「本当こいつがごめんね~。けどあんな風にしたら俺達もびっくりするよ。そんな
「そ、そ。早く移動した方がいいよ。こっちにいいところあるから」
早く逃げないと、雪愛は必死に考えるが、身体が
そもそも、雪愛が逃げられないように三人が囲んでいたため、雪愛はさっきから逃げられていないのだが、様々な感情が
そして男はそのまま雪愛の肩に手を
「すみません」
雪愛の肩に手が回される
そしてサッと男達と雪愛の間に
春陽は、チラッと雪愛に目を向け、
なんで?どうして?これ
その間も男達は何だお前!?誰だ!?突然
とりあえず、春陽は考えることを
着ていたジャンパーコートを脱ぎ雪愛の肩にかけるようにし、
「もう大丈夫だから」
と雪愛の目を見て小さく言った。
雪愛は一瞬身体をビクっとさせたが、春陽はそれに気づかないで男達に向き直った。
「それで、彼女に何か用ですか?」
言葉
その圧に
「お前なんかに関係ねえよ。いいからそこどけよ!」
「そうそう。こっち三人だよ?変な正義感出してないで消えなって」
「ヒーロー
ムキになる者、
アルコールの
そんな男達の様子に春陽は一度はぁとため息を
「一人の女の子に
自分が割り込むことで諦めるならそれでよかったが、雪愛のことも気にかかる春陽はさっさと終わらせることにした。
春陽は、先ほど雪愛の腕を掴んだ男を指さした。
「あんた。さっきわざとその中身彼女にかけたよな?それがあんたらのやり口か?」
「っ!?ただの偶然に決まってんだろ!それにお前は関係ねえだろうが!」
「じゃあ
ひどく
三対一で有利なのは自分たちのはずなのに、こいつはヤバいと感じるほど。
それが彼らを少し冷静にしたようだ。
周囲を見ると、
このままでは目の前の男じゃなくても本当に警察を呼ばれかねない。
「……もういい。
「……ああ……そうだな。マジになりやがってくだらねえ」
「……だな。こっちは彼氏持ちなんか
そんな捨て
ふぅと一息
雪愛は少し
「あ~…と、大丈夫ですか?もうあいつらは行きましたよ」
春陽は雪愛に対し知らないフリをすることに決めた。
「……ありがとう、ございました…」
少しの
「いや……こっちこそ、最後彼女だなんて言ってすみませんでした。追い払うための
「……わかってます…」
春陽には一瞬雪愛の身体がビクッとしたように見えた。
男性が苦手とか好きな人がいるとか
「それで、この後は一人で帰れますか?それか誰かご家族が迎えに来たり…」
「…………」
今度は沈黙。
春陽は困ってしまい、それが表情にも出てしまっている。
雪愛ももう早く帰りたいという気持ちはある。だが、今の
今は一人になりたくない。けど、母は仕事でまだ帰ってきてはいない。
それが沈黙となって表れていた。
「えーっと、水だったからシミとかにはならないと思いますけど、服濡れちゃってるから早く着替えるなり乾かしたりした方がいいんじゃないかと……」
「…………」
またも沈黙。ただし、今度は肩にかけられたジャンパーコートを
沈黙を続ける雪愛に対し春陽は、早く店に戻りたいという思いから一つの決断をした。
「……あの、良ければバイト先の店に来ますか?飲食店なんですけど、オーナーの
その言葉にバッと顔を上げた雪愛は
その反応に、春陽は声には出さず、ため息を吐き、どうしてこうなったと空を見上げた。
店に向かう道中で雪愛から、そういえばお名前は、と
どのみち店ではハルとしか呼ばれない。
雪愛は春陽の答え方にはぐらかされた感覚を受け、あまり自分のことを答えたくないのかなと思った。
以降は、特に会話も無く二人はフェリーチェに
「ここが俺のバイト先です」
春陽は建物に目を向け雪愛に
「え?このお店って……」
雪愛は
「どうかしましたか?」
「あ、いえ。今日ここで晩御飯を食べようって考えていて…。まさかこんな風に来るなんてって……」
「そうだったんですか。それならぜひ食事もしていってください」
春陽は、まさか何も起こらなくても雪愛がこの店に来る予定だったと聞いて心の中で驚愕していた。いったい何の
だが、そんなことはおくびにも出さず雪愛に食事をしていくように誘う。
すでに春陽はこの後の麻理への事情説明が
そして、扉を開け、雪愛が入れるように扉に手を
「いらっしゃ―――ってハル?遅かったわね」
「あの、麻理さん実は―――」
説明をしようと雪愛が店内に入ったことを確認してから麻理に近づこうとした春陽だったが、春陽が入った直後に春陽が着ていたはずのジャンパーコートを着た雪愛が入ってきたのを見た麻理が先に声をあげた。
「ハル!?あんた何で女の子
麻理が
この時点で頭が痛くなってくるのを必死に
頭の中では、なぜこうなってしまったのかと全部自分の言動が原因の一連の流れを
雪愛の服は濡れており早くしないと
春陽は、早く雪愛の状態を何とかしなければと、後悔で疲れ切った心を
「麻理さん、実は――――」