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スパダリ外交官からの攫われ婚
めぶき
恋愛現代恋愛
2024年11月14日
公開日
27,668文字
連載中
「お前は俺が攫って行く――」

 気弱な父と琴を毛嫌いし意地悪ばかりの継母、そして彼女を召使のように扱う血の繋がらない姉たち。そんな家族と暮らし旅館の中居として働く琴。
 これからずっと変わらない、そんな自分の置かれた立ち位置に悩み母の好きだった庭で涙をこぼす彼女に……

「俺が攫ってやろうか?」

 出会ったばかりで印象最悪の加瀬からの言葉に悩みながらも、彼女の出す答えは――?

 継母に騙されて年の離れた男性との結婚を迫られた琴、自暴自棄になりそうな彼女を加瀬は見合いの席から連れ出してしまう。
 そのまま強引に飛行機に乗せられて連れていかれたのは……

「私、そんな所についてはいけません!」

「諦めろ、向こうではもう俺たちの結婚式の準備が始められている」

 そんな事あるわけない! 琴は志翔の言葉を信じられず疑ったままだったが、ついたパリの街で彼女はあっという間に美しい花嫁にされてしまう。
 嫌味なだけの男だと思っていた志翔に気付けば溺愛され、逃げる事も出来なくなっていく。

 強引に引き寄せられ、志翔の甘い駆け引きに琴は翻弄されていく。スパダリな外交官と純真無垢な仲居のロマンティック・ラブ!

表紙イラスト おこめ様

攫ってやろうかって何ですか


「俺が攫ってやろうか?」


 突然の申し出にことは時間が止まったのかと思った。

 とんでもないような発言なのに彼女の目の前にいる青年は冗談を言っているようでも、琴を揶揄っているようでもなく。

 唖然とする彼女を見ても余裕の笑みを見せている。


 小さな庭の木がさわさわと揺れ、葉が重なる音まではっきり聞こえるほどにここは静かだ。

 彼の手を取れば何か変わるのだろうか? そう思わないわけではない。


 ――どうして加瀬かせさんはこんな事を言うの? 出会ったばかりの私に。


 琴は加瀬のいきなりの申し出に戸惑いながらも、第一印象が最悪だった彼との出会いを思い出していた。 




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