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V1.34  半公式プレイヤーの2人





 なんか大きい同盟組んでみたり、ヒカリさん達が「リリース」に入ったりした後、ビュアさんの動画をみんなで撮影してから解散となった。のだが…




「ん」


「まだ予定より早いよ〜?」



 なんかヒカリさんが私の方を無表情でじーっと見てきてる…え、なんかしたっけ?



「お昼ご飯食べたら。闘技場。すぐに来て。待ってる」


 そう呟いて会議室から出ていった。…あれ?


「あ、ちょっとヒカリ!待ってって!そ、それじゃーそーいう事なんでッ!お先、失礼します!だから待ってってば!!」


 そーいう事ってどういうことッ!?


 ヒカリさんのよく分からない意味深な言葉に翻弄ほんろうされつつも、私はユキとともにログアウトしていった。




*>>三人称視点



「なかなか急だよね?私も少しは考えついたんだけど、ヒカリみたいに即行動は取らないからさ」


「遅い。置いてく?」



「私は慎重しんちょう派なだけですぅー」


 ヒカリとアキアカネが先程の会議から自分の仕事をしに戻るために、闘技場へと空を飛んで向かっていた。


「それで?間近でご本人を見た感想は?」


 ヒカリはまっすぐ目的地を見据みすえながら、表情をぴくりともさせずにアキアカネにいう。


「不思議な子」


「これまた大雑把おおざっぱな回答で」



「ユキ。もそう。ナユカもなんとも言えない。ん。風格?威厳いげん?可愛さ?みたいなの。ある」


「言ってること矛盾してるからね?可愛い風格って何さ?」


 ナユカ達がこの先どうなるのか…その未来が楽しみなのだろうとヒカリの無表情から読み解いたアキアカネ。2人ともリアルでの付き合いもそれなりに長いのだ。そのくらいわかる。


「ショップ。いく」


「ほう?これまた突然どうしたの?」


 突然の進路変更に、アキアカネはヒカリを少しびっくりした表情で問いかける。てっきりそのままログアウトし自分たちも昼食を取るつもりなのだろうと思っていたようだ。


「私たちも。「リリース」なら。少しは。戦えないといけない」


「んー。確かにそれはごもっとも。6人でげ。作り。広げた力について。私たちも少しは知っておかないとね」


「ん。解説する上で。大切」


「じゃ!行きますか」


 この後、突如オーブショップに現れた半公式プレイヤーの存在と、同時刻にアップされたビュアの動画のおかげで2人はなかなか大変な目にあったという。





*>>ナユカ視点




 ユキと一緒にナビィの作ってくれたお昼ご飯を食べ、再びログインする。

 ちなみにお昼ご飯はオムライスだったよ!!


「さて〜、ログインしたし、公式さんの言う通り闘技場に向かおうか〜」


「うん!」


 私たちは博物館にログインしてから、すぐに闘技場に向かう。それにしても公式から呼び出し喰らうってほんとに心当たりが…。ない…よね?


 やばい、最近の自分の行動がその可能性を否定しきれない…!


「なにそんな深刻そうな顔してるの〜?」


 あれ?表情に出てた?


「いやー、なんで呼ばれたのかなって…。もしかしてユキがやったビル爆破事件のことで怒られるのかなって!!」


「あれくらいの破壊なんて日常茶飯事だよ〜」



 世も末よな…

 ってちがーう!!あんな破壊が頻繁ひんぱんにおきてたまるかッ!


「あれはユキが悪いので私悪くない。つまり帰ってもいいのか!」


「さすがに、違うからね〜?そもそも怒られない…。はず…」



「はずー!?」


 途中までの確信的言動からどんどんトーンが滑落してきた!!もしかしての可能性があるのね!?あるんだね!?


 残念ながら闘技場は飛んで行けばすぐ近くにあるわけで。そんな不安よぎる会話の後には既に目の前に闘技場が…

 あー、神様〜。あー、仏様〜。あー、始祖様〜。名無〜。



 そんな馬鹿げた思考でふざけていると。



「ん。きた」


 またもや目の前には、さっきお昼前に会ったヒカリさんとアキアカネさんが私たちを待ち構えていた。

 ヒカリさんはこれは見事に闘技場入口に仁王立ちである。



 …なんで?



*


「会場権限取得」


 アキアカネさんがそういうと。


《アクセスを確認》


 なんか私の知らないことやってるのはわかる!なんか知らないコマンドみたいな?


《パスを要求》


「ホスト」


《承認》


 そのまま待ち構えていた2人に案内されるように入った闘技場。ただしいつもと違うのは、ここが一般立ち入り禁止区域だということ。そこに入るのはもちろん初めてだ。しかもこんな場所があること自体初めて知ったのだけど。



 次の瞬間!!


 で、そんな普段知らない闘技場の内側を覗いていた私たちは突如!別のどこかに飛ばされる。


 あたりは白一面の何もない空間。そこに飛ばされたのは、私、ユキ、ヒカリさんとアキアカネさん。

 これはさっきのなぞコマンドでアキアカネさんが何かしてるの?


《操作を入力してください》


「モデル形成、ちょっと豪華ごうかな談話室を作成」


《実行開始》


 アキアカネさんがそういうと真っ白だった空間はまたたく間に威厳いげんあふれる部屋に作り替えられていく。

 これは…VRだね?てことは私は今、普段RBGをプレイしている現実同期のARじゃなくてVRの世界にいるってことだ。


 そもそもこのゲーム。ARで現実世界とリンクしているのだが…

 たまにVRでの仮想の空間が混じる。闘技場は入口超えたらもしかして全体がVRなんじゃないかな?会場がでっかくなったりするし。というか現実には闘技場なんて建物ないし。


 たぶん違和感なく切り替えてるんだろうね。別に実際の体は今も家のベットの中だし、やろうと思えばできるのか。



「ん。じゃあ。話そうか?」


 お、お説教ですか?


「まずは大事なお知らせから」


 ゴクリ…!!アキアカネさんの真面目な態度に唾を飲み込む私。覚悟を決めいざ!話を聞けば…


「ユキさん。ナユカさん。おふたりを半公式プレイヤーに迎え入れたい」


「はい?」


 アキアカネさんの口から飛び出したのはお説教じゃなかった。一安心だよ。ってちがーーーうッ!!今なんてったッ!!!





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