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F127 History handed down to me




 現在、私は久しぶりのパパとママ。ついでにゆきと夕食を食べ、その後もいろんなお話をして過ごしていた。

 会えなかった時間の分。私はここぞとばかりにパパとママに何をして、何が楽しくて。そんな他愛もない話をして。

 最近はRBGを始めて。そのRBGの内容がかったような気がするけど、パパもママも最後まで嫌がらずに聞いてくれた。ユキはたまに私の話の補足をしてくれていたりもした。



 お風呂や、その他いろんなことも済ませて、今日はRBGにログインすることなく。早めに寝ようと思う。いや、結構長い時間お話してたからそんなにいつもと変わらないんだけど。




「そんなとこ立ってないでー、早くおいで。一緒に寝に来たんでしょー?」


「…うん」




 パジャマに着替えて、枕を抱きかかえながらママの寝室に行くと迎え入れてくれました。私が来るのはお見通しらしい。

 少し恥ずかしいけど。それよりも甘えたい欲求の方が勝っちゃってる今の私は、きっと顔が少しだけ赤くなってる。あ、お風呂のせいかな?


 ママの部屋は少しほかの部屋とは違い、昔の西洋のような部屋になっている。ベットも大きく天幕付きで私のよりも何倍もでかい。うん。でんぐり返しとか余裕で出来るよ!!

 ちなみにこの部屋。ママの趣味と言うよりかは、トビィがセッティングしているらしくいつも塵一ちりひとつない。

 私はこの雰囲気好きだよ。



「ねえ、ママ。なにか話して?」


 ママのベッドに入り、その温もりを肌で感じる。


「話って言っても私ー、あんまり話せるようなお話知らないよー?子守唄でいい?」


「うん」


 小さい頃から私がこうしてママと寝てると、ママはママの故郷に伝わる子守唄を私にうたって聞かせてくれていた。

 何回も聴いてたから内容も全部覚えてしまっているが。


 私はこの子守唄が好き。

 歌の名前は「花輪かりん数ゑ唄かぞえうた



 ママは静かに歌い出した。









 まず1りん この花にうたえよう

 きっとたくさんの花が咲き そして美しい世界に いろどりを足すであろう




 1 それは赤い実をつける 野生の花

 生き物をき付ける 力 大きな果実「家族」となった ここにあるのは 小さな種 たくさんの未来と 詩の続きを 君にたくそう 




 1輪 それは予言の花 絶望の予言

 集まった「家族」をらすと伝えた 力 今ではなく ここにあるのは 大きな平和 笑顔の先の 小さなおべべ 詩の続きを 君からもらおう




 1輪 それは願い事の花 希望の世代

 枯れた1輪と新たな「家族」 力 それらを輝きとして ここにあるのは 受け継がれし笑顔 叶う 今はまだ 詩の続きを 君へ伝えよう




 1輪 それは叶わぬ恋の花 清廉せいれんなる家

 見つめ続けた窓に 力 悲しみに負けず 生きてゆけ ここにあるのは 見えない物 叶え 次につながる 詩の続きを 君へ送ろう




 1輪 それは冷酷れいこくの花 無常な城

 囲われたつぼみに 力 落ちるつゆの 暖かな空気を欲す ここにあるのは なんなのか 見えない気持ち 詩の続きを 君から教えて




 1輪 それは忍耐の花 毒を盛って

 自らを制す 力 赤い花びらに 次の季節を探す ここにあるのは 春の季節 続いてゆけ 私の「家族」 詩の続きを 君から受け継ぐ




 1輪 豊かな心を持つ花 暖かな気持ち

 周りをも巻き込む熱い 力 鳳凰ほうおうのような そんな私になれたかな? ここにあるのは 温もり 次の「家族」 詩の続きを 君と送ろう




 1輪 それは空を飛ぶ花 鳥のように 鳳凰のように 力 胸のふくらみは きっと気のせいではないのであろう ここにあるのは 大きな「世界」 次の話と 詩の続きを 君へゆずろう




 1輪 それは灯火の花 暗闇を照らす

 偽物の 力 間違った 諦められない空は 不器用な私 ここにあるのは 真実の願いと 次の光 詩の続きを 君に願おう




 1輪 それは修復しゅうふくの花 壊れた心を照らす

 真実の 力 甘い香り 母の笑顔と 不器用な願い ここにあるのは 「家族」のきずな あなたと一緒に 詩の続きを 君にわたそう




 1輪 それは貧欲ひんよくな花 想像を見せる

 技術の 力 晴れた「世界」に 再びあかりをともそう ここにあるのは 綺麗な「家族」 これからの 詩の続きを 君に渡すよ




 1輪 それは枯れない愛の花 うるやかなる

 たくわえの 力 暖かな心に 見せる小さなとげさえ 愛ゆえに ここにあるのは 守りたい「家族」 そのための棘 詩の続きを 君に与えよう




 1輪 それは信託しんたくの花 甘えと別離べつりするための 軽やかな 力 見つけたい この広い「世界」から ここにあるのは そんな気持ち 受け継がれたそんな意志を 詩の続きを 君に飛ばそう




 1輪 それは健康の花 けがれを知らぬ

 清楚せいそな 力 大きなかわに 「家族」を包んで ここにあるのは そんな香り しなやかな枝 見よ 詩の続きを 君に落とそう




 1輪 それは元気いっぱいな花 心踊る 笑顔 無邪気な 力 様々な色に 「世界」を染めて はしゃぐ ここにあるのは そんな「家族」と 見つめる私 詩の続きを 君につなごう




 1輪 それは忠実ちゅうじつな花 青い空

 何も無い 力 そんな花でも 「家族」はあった ここにあるのは 感謝の気持ち 幸せな時間 さあ 

詩の続きを 君にも渡そう




 1輪 それはきよらかな花 信頼できるもの達からの 贈り物の 力 受け継がれた青と 新しき青の花弁かべん ここにあるのは 母なるめぐみ 詩の続きを 君に分けよう




 1輪 それはほこりの花 小さな心

 罪なき小さな 力 あらがおう 善良ぜんりょうなる「家族」のために ここにあるのは まっすぐなくき 「世界」へ示す 詩の続きを 君に願うよ




 1輪 それは戦いを宣言した花 抗う意思と

戦う 力 守ろう 大切な「家族」と 「世界」のために ここにあるのは たくさんの意志 決意 詩の続きを 君と逃がすよ






 始まりの唄と全部で19の唄がつむがれる。

 その唄は、時に優しく。時に苦難を示しながらも「誰か」を思う気持ちで構成されていた。ゆっくりと唄われるそれは。



 唄が終わり私が話しかけようとママの方に顔を向けると…



「那由花…。ママの故郷ではね。19の唄までしかないの。でも今から20番目の唄。那由花に唄ってあげるね」


 静かにそう私の口に人差し指を当てながら、静かに。でもいつもより真っ直ぐな漆黒しっこくの瞳がこっちを見てそう言う。そんなママは一言一言。丁寧に紡ぐように唄いだした。



「 1輪 それは呪いの花 愛する「家族」 取り返すための 力 暗闇の中の恋に たくさんの花を咲かせて ここにあるのは 真っ黒な世界に 生まれた家族 詩の続きを 君に任せる 」


 歌い始めたその20番目の歌詞を私はたぶん、1回で覚えた。それだけほかと雰囲気が違う…。たぶんこれは20の唄の中でも、1番の悲しい唄。最もその歌詞の意味が、力がすぐ近くにある温もり。…そう感じたから。これはまるで…







第2話 「F」lower Song





作者コメント


RBGは単なるゲームものではありません。ゲームが中心になった近未来の物語です

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