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V1.26  物語は現実で

*>>ナユカ視点




 あれから私は数回程ランキングバトルをした。しかしいくら公式戦でHPは戻るとはいえメンタル的な疲労を積み重ねるのは良くない。とりあえず休憩がてらユキの元へ向かった。

 そこには、何人かのプレイヤーが集まっておりユキと真剣に交渉している。どの人たちも私の知らないプレイヤー。ちょっと話しかけるのは躊躇ちゅうちょしちゃうなぁ…


 しかし、ユキが私の姿に気付くと話を早々に切り上げ、その集まっていたプレイヤー達はどこかに行ってしまった。あ、あれ?


「おかえり〜どうだった〜?」


「一応全部勝ったよ!1戦目は大会で当たった人だったよ!」



「うんうん、見てたよ〜?よく勝てたね〜?えらい!」


「んへへ〜」


 休憩ついでにユキの元にやってきたのだが、もう既にお仲間探しは終了でいいらしい。私…結局何もしてなくない!?


 ユキは街作りに関しての協力者を募ることができて良かった。と闘技場から帰りながら言っていたので、そこそこ、いい結果を出せたのではないだろうか。見てないから知らないんだけど!…まあ、こういったことはユキの得意分野だ。任せた方が上手くいく。やっぱり私いらないじゃん?



 そんなこんなで、ノアに戻った頃には夕方になっていた。結構な時間バトルしてたのに…。ユキはその間ずっと今後の計画について、他のプレイヤーと話してたらしい。


 時間もいい感じなのでギルドホームになった博物館でログアウト。今日はいろいろあったけど楽しかったね!



*



 ログアウトしてすぐに、何故か私の真横で目を覚ましたユキ。

 添い寝してるのはもう何も言うまい。というか言っても聞かないもん!




 目覚めた私たちを察知したのか、ナビィが室内に設置されているスピーカーで(パッと見見当たらない)話しかけてきた。



『お目覚めですね。姫様』


「うん?どうしたの?」


 普段、そんなに頻繁ひんぱんにスピーカーを使ってまで私に話しかけてくることもないのでなにか用事があるようである。


『勇人様と花恋様がお戻りになりました』


「パパとママが!?もう家にいるの?」


 え?まじで?


 先週帰ってくるとは聞いてたけど!!いつもより早いね!



『リビングにいらっしゃいます』


「すぐ行く!!ゆきも!行くよ!!」


「こりゃ〜。手間が省けた〜」


 とりあえず、急いでベットから降りた私に聞こえたゆきのつぶやきは。


「なんの手間が省けたの?」


「ん?ううん。なんでもないよ〜」


 ゆきの笑顔にかき消され、普通に誤魔化された。


 まあ、今はそれどころじゃなかった!パパとママに会いに行かないとね!!

 1年ぶりくらいじゃないかな?2人がここに帰ってくるのは。とりあえず長い廊下をゆきと一緒に駆け出した。




*




 私はゆきの手を引きながら家の廊下を疾走しっそうする。〔スーパーアクセル〕なんてものは無いけど、気持ちだけはそんな感じで、早くパパとママに会いたいから。

 家が広すぎてまだリビングにつかないけど…。デカすぎるんだよ。この家。





「おかえり!!」


 リビングに入るなり、私は元気よくそう言った。リビングにはもちろんパパとママがいて。椅子に座ってコーヒーを飲んでいた。


「あぁ。ただいま」


「ただいまー!!ナユカー!元気にいい子してたー?」


 そう言って私の両親は出迎えてくる。


「もー。もう子供じゃないよ?」


「私たちにしてみれば大事な子どもよー」


 別に嫌なわけじゃないけど…。そんなはっきり言わないで欲しい。照れる。


「こんにちは〜。勇人さん。花恋さん」


「雪ちゃんもこんにちはー!んー?今はこんばんは?」


「どっちも変わらんだろう…。いらっしゃい雪。変わりはないようだな」


 ゆきもパパとママはもちろん知っている。小さい時からずっと私とゆきは遊んでいるからね。


「いっつもありがとーねー?最近はゲームも一緒に誘ってくれたんでしょー?那由花、迷惑かけてない?また、変なことしてない?」


 いや!してないからッ!!



「はい〜。結構暴れてますね〜。最近だとゲーム内容を180度変えちゃったり?」


「それユキが主犯だからッ!!私は悪くないよ!!」


「あらあら、やっぱりー?」



「ママもそれで納得しないで!!」



 ゆきったら私が悪いみたいじゃん!!みんなで変えたんだからね?決して楽しそうとか、そんなノリで…


 …やったなぁ。けっこう乗り気でやったなぁ…




「後で動画見とくわねー」


「ちょっ!?なんで動画のこと知ってるのっ!!?」


 あれ?私、ビュアさんのことなんて一言も家で言ってないのに!!



『姫様のことならおまかせください』


「お前かッ!!!」


 サラッとナビィがママ達にそのことを漏らしていたらしい。


『報告義務がありますから』


「先生ーー!!プライバシーというものは私にはないのでありますでしょうかーーー?」


『別に、全部を報告しているわけではありませんよ?例えば、最近姫様がたまに就寝前、「ちょっっっと待てーーー!?!!?!やっていいことと悪いことがあるでしょッ!!?何くちばしろうとしたッ!?」別に悪いことではありませんよ?』


 まじで私のプライバシーがないんじゃねッ?ない!!


「ダメッ!」


「あらあらー!那由花は寝る前に何やってたのー?」


 ちょっ!?


「ママも聞かないでッ!!」





「あー…。そろそろいいかな?那由花に少し真面目な話をしなくちゃいけなくてね」


 なかなかがしくなってきたが、それを見かねたのかパパが話題をらしてくれた。と、とりあえずパパありがとう。たぶん色々バレたとは思うけどなッ!!



「なに?」


 ちょっと不貞腐れた私の声が、怒気を含んでいても仕方ないのだ!


「あ、あぁ…。花恋の故郷についてなんだがな。…見つかったかもしれないぞ」







 …へ?



「ほんと?」


「まだ可能性だけどねーー!」


「じゃ、じゃー!パパとママはもう旅をしなくてもいいの?」


 ママの故郷。こことは違う。太陽系の外の故郷。



 それを探す旅の終着点が。…見つかるかもわからなかった終着駅が。



「まだしばらくは、調査やらビーコンの管理。色々なことを遠方から確かめないといけないが、ここしばらくは家にいることになるだろう」


「やったーー!」


 それってしばらくはパパとママが家にいるってことだよね!!もし、その故郷について確かめることがあってもビーコンがあるってことはすぐに帰って来れるってことだし。


 いっぱいRBGの話とかしたいし。


 「リリース」のみんなのこととか話したり。


 パパと遊びたいし。


 たまには…。ママと一緒に寝たりしたいし…




 少し…。甘えてもいいよね…?








 私は、米嶋よねじま 那由花なゆか。人と宇宙人との間に産まれた。ハーフ。

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