*>>三人称視点
「どう見る〜?」
「まだ、なんとも言えない。情報が少ない」
観戦席でそう問いかけたユキに、分からないと返すヒカリ。実際、今の闘技場はランキングの入れ替わりが激しく人の出入りもいつもよりも多い。
原因は言わずもがな「革命」のせいだ。
革命後に起きたオーブショップの混雑もそのせいと言える。店で当たり前のように昔からありましたよ?と普通に売られ始めた原型のオーブ。
それらが誰でも買えるのだ。ランキングを
そして、いざゲットしたなら誰よりも早く使いこなしたいと思うのは必然なのだ。
だがしかし、いざログインしてみれば周りはモンスターばかりでそれどころじゃなかった午前中。
さすがにランキングバトルなんて言ってられなかったのだか…
そんなアクシデントも終わり、落ち着いてきた今は闘技場に入り
さて、軍曹もそうであったように、原型を使い新たな「個性」としてバトルを「魅せる」物に変えてきたもの達が増える。
それはユキの〔妖力〕や、ナユカの〔魅力〕に感化されたプレイヤーが発端であるが、その新たな「他の人間のイメージや感情を自己の力にする」という、なかなか馬鹿にならない戦闘スタイルが流行り始めた
「大会。「見せる」作戦だった」
「初めは〜、ナユカを上の人達に「見せる」のが目的だったんだけどね〜。それを「魅せる」に変えたのは
「あの子。ナユカ。ほんとに不思議な子」
「でしょ〜?昔から元々の性格はあんなだよ?」
ナユカを
「私のナユカの半公式プレイヤー入の件。明日まで待ってもらえる?」
「ん。上に言っとく。でも明日にはナユカ。ログインの時。メールが行ってると思う。公式から」
「うん!それでいいよ〜」
これで話は終わりだね!と、そんな雰囲気を背中で
「ユキ。お願いがある」
「ん〜?なんか珍しいね?」
既に席を立っていたユキに合わせるように、ヒカリも観客席から体を持ち上げ、そのままユキの方の全身向ける。その無表情ながらも真剣な立ち振る舞いにユキは何事かと少し身構える。
「ギルド。楽しそう。私も入れて」
…
「はい?」
真面目な話をするのかと思ったがその口から出てきた言葉は予想の斜め上をいったようだ。
「えっと?それはギルドに?」
「ん」
「あんた、アキアカネは〜?」
「たぶん、今日中に同じく。参加を求む」
まじか…。そう言葉が出かけたユキ。何とかそんな内面を打ち消しながらそんな提案の意図を探る。
「私たち。半公式プレイヤーで気軽に入れるギルド。「リリース」位しかない」
「なんでよ?そもそも半公式プレイヤーがギルドに入ってもいいの〜?」
そういうのは上から止められるのでは?と思うユキ。自分達はギルドに既に所属しているのでノーカンである。
「半公式。完全な公式じゃない。半分は普通のプレイヤー。だから、私。自由。公式の仕事は。ある程度「実況解説」しとけば。ぐーー」
「ん〜…」
ヒカリをギルドに入れるのは別にいいと思ってる。しかし、自分だけで勝手に決めるのも悪いと思うためユキは。
「それも回答は明日でいい〜?私は別にウェルカムなんだけど〜…」
「ん。いい。明日、またここでいい?」
ユキは少し、考えて。
「ま!たぶんOKだからね〜。こっちに明日ログインしたら連絡ちょうだ〜い」
そう言いながら今度こそ観戦席を後にした。
*
「あ、いたいた!!軍ちゃーーん!!」
「負けたであります!!」
試合が終わり、ロビーに帰ってきた軍曹。そこに駆け寄る元気いっぱいな女の子。プレイヤーネームはヒリリー。
「負けても元気いいねー!軍ちゃん!楽しかった?」
そんな彼女は軍曹が負けたのに、そんなに気落ちしておらずむしろ嬉しそうなのを見て
「わかるでありますか?」
「ニマニマしてるねー!」
「いやー!惜しかったでありますねー」
ナユカとの勝負に負けた軍曹は思い出すようにそうつぶやき笑う。心底楽しそうな雰囲気にヒヒリーもそれは良かったと微笑んだ。
「〔魅力〕勝負では、やはりナユカさんには敵わないであります」
あの時、魅力のCPの上昇によりバフが入ったであろうナユカ。実際、軍曹の主観であるがCPはかなり上げずらいことがわかった。そんな物をナユカはいとも容易く上げるのである。
「ナユカちゃん可愛いよねー!!」
可愛さももちろんだが、それとは別に彼女にはなにか別の何かがあるのでは?そう思うほどに敵ながら軍曹でさえ彼女を応援したくなるのだ。
「さて、ヒリリーも試合、行くでありますよ!」
「はーい」
考え事も程々に。星も違う彼女にもし次会えたなら。…2人は受付ボックスに向かう。もっと強くなるために。もっとたくさんの楽しいを見つけに。
「それにしても、この人形兵。すごいであります!」
「結構
「ドールのおかげであります!!」
「帰ったらお礼言っときなよーー!」
「もちろんであります!!」
2人のゲームはこれからも。