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026  あいきゃんふらい



タッ!!


 窓のふちをしっかりと踏みしめ投げ出される私の体。〔ジャンプ〕の効果で人間ではありえないジャンプ力を発揮はっきした。


「んりゃぁーーーッ!!」


 そしてぐんぐん近ずいてくるオーブを右手で触れる…


 よし!!取れたッ!次は壁!!!


 私のすぐ目の前には向かいのマンションの窓が迫って来ている。計画通りにするのであればこのまま窓をタックルなりして破壊。そのまま向かいのマンションの部屋に転がり込む予定であった。


「私渾身のタックルッおりゃーーグベッ!!?」


 この時代。窓ガラスひとつでもかなり丈夫な作りになっている。防弾ガラス顔負けのそれは私の全体重のタックルにも耐えるのだ!丈夫にできてるらしく安心だね!


 …。ッてそうじゃない!!


「んなああああああああぁぁぁぁーーーー」


 そのまま真っ平らな壁。8階くらいの高さから落っこちていく体。未だに私は飛べない…。おう…


 いやーーーー!!!落ちてるーー!?てかほんとにやばい!!どうしよう!?なにか!!なにかないかな!?やばいやばいやばい!!もう地面gッ!!



 1〜2秒程の落下時間で何か出来るはずもなく、私は地面と仲良くなることになるだろうと、ここに誰かいたなら満場一致でそう未来予想してしまう状況。しかし、そうはならなかった。


「うわぉ!」


 私の体は地面にぶつかるかという瀬戸際せとぎわ突如とつじょバウンドしたのだ。

 え?ねた?咄嗟とっさに色々スキル使う最後の足掻あがきの意味を込めて使ったスキルが!!なにが良かったのかな?

 そのまま今度は綺麗に着地を決める。

「おとと!」

 こうして無事?私は生きて地面に着地することができた。


《スキル・魔法陣を獲得しました》


「私!生きてるー!死んだかと思った…」


 さて、なぜ生きてるのか確かめないとね。何となく予想はついているのだけど…。んじゃ試しに。


「よいしょ!!」


 そうして私の体は10メートルほど上空へ跳ねる。〔ジャンプ〕の効果で跳躍力が上昇しているからこれまたびっくりなジャンプ力だ。

 で、問題はここからだ。今私の体は空中に浮いている状態だけど、何もせずにいるとすぐに降下して地面に着地するだろう。でも…


「ここでもしさらに〔ジャンプ〕を使ったら?」




 結果、私の体は地面に着地することなくさらに上にねるようにして上昇する。


 やった!!跳ねた!!〔ジャンプ〕は必ずしも地面に足をつけていなければならない訳じゃない!


 〔ジャンプ〕


 さらに追加で〔ジャンプ〕を使用する。 おおっ!しかもこれ、空中でも連続使用可能なんだね。てことは…。上手く使えば空中戦できるかな?色々試してみないと。


 ということで色々この場で実験してみることにした。これがあれば私も空中戦出来るかもしれないから、使えるなら〔ジャンプ〕の仕様について理解しときたい。


 まずは、今いる空中で横にジャンプできるか…。私は空中に〔ジャンプ〕した状態で体を横に倒し、空中を蹴るようにして横に〔ジャンプ〕を使用する。


 結果は成功。



 次、このまま今度は急旋回きゅうせんかいして反対側にジャンプできるか…。今度はそのまま横に移動している状態から体を何とか捻って進行方向に足を、その状態で〔ジャンプ〕して180度直角旋回を試みる。


 結果できた。



 次、ジャンプのすぐ後に別の方角にジャンプを繰り返す…。連続して〔ジャンプ〕を様々な角度で試してみる。


 こちらも問題なく作動。ふむ。



 次、下方向にジャンプできるか…。現在の状態から今度は空中で足を上に、頭を下にしてその状態で真下向けて〔ジャンプ〕を起動する。…あ、これはできないみたい。〔ジャンプ〕できない。斜め下も試して見たけど同じく〔ジャンプ〕できず。



 次、壁でジャンプできるか…。先程の廃墟マンションの壁に再度接近。今回はちゃんと足でタッチしたもんね!!その状態で〔ジャンプ〕。おぉ!できた!



 何回か試してみたんだけど、壁ジャンプに関しては好きな方向に飛べるね。壁に足をつけていれば斜め下もジャンプできる。

 ただし壁面に対してほぼ平行になる真上と真下方向へのジャンプはさすがに無理と。



 次、ジャンプする高さは15メートルくらい。残念ながら調節はできないみたい。だから1mだけジャンプとかもできない。室内だと頭をぶつけちゃうかもしれないってことか。



 次、最後。

 空中でのジャンプを使用する場合、1回ごとにMPを持っていかれること。細かい数値は分からないけど毎回同じくらいMPを取られている。ちなみにMPの見方はユキにサーチの空いた時間に教えて貰ったよ。もう少し早く教えて欲しかったかな。教えて貰った時はもうほとんどMP空っぽだったからね。


 こんなとこかな?まだまだいろんなことできそうな気もするけどね…。そしてなんと言っても!!これがあれば空を飛べるね!!正確には飛ぶではなくてぶ、だけど細かいことは気にしてはいけないのですよ。


 そしてごめん!〔ジャンプ〕は飛行系スキルだった。


 よーし。テンション上がってきたしもっとオーブ集めにいっくぞー!!




*>>三人称視点



 現場少し離れて。

 ナユカがテンション爆アゲでルンルンしながらどこかに走っていくのを、こっそりとマンションの影から覗き込む人影がいた。


(なんか…変な声が聞こえて来てみれば、すごい子見つけました!?なにあのスキルッ!空中で直角に曲がってましたよ!?)


 まるで昔の新聞記者のような服装の彼女の名前は。


(あれスキルですね…。気になります…)


 少し、悩んだあと彼女はおもむろに歩き出す。ナユカの走っていった方向へ。


(やっぱり気になるものは自分で調べないとです。さて、さっきの子をストー…。見守ってあげないと)


 彼女はナユカのスキルがなんなのか、あとはただただ可愛い子とお近づきになれたらいいな!という下心でナユカのあとをついて行く。やっていることは思いっきりストーカーなのだが、あいにくそれを指摘してきできるような人物はここにはいなかった。


「【見守る者パパラッチ】」


 そう技を発動させた彼女はあっという間に姿かたち、影や音さえも全て跡形あとかたもなく消えていった。





ステータス


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名前 ナユカ


所持金 1000G



HP 0├───────────┨


MP 0├───────╂───┤


スキル

パッシブ

魅力 魔力


アクティブ

火 回す 植物鑑定 躱す 火炎 叩く ジャンプ 赤 魔法陣


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