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019  ユキ視点のナユカ



*>>ユキ視点



 まったく…。ナユカがニコニコしながら私を呼ぶ。またなんかひらめいたっぽい?よくこんな短期間で思いついたね?


 今回の相手だって私の弾幕でパッパッ!とやっつけちゃうくらいわけないのに…。まあ、いいけどさ〜。



 とりあえず私はナユカの好きにしてもらう。自分から動くのはめずらしい。それだけ楽しんでもらえてるってことかな〜?



「敵さん、来るよ〜!!」


「あいあい!!」



 さて、ナユカが敵との合流地点に入る。その瞬間大量に火炎弾をばらまいた。そう全方位に…


 もちろんこちらにも飛んでくるが、事前にパーティーを組んでるからダメージは入らない。それに私は〔雪〕やらなんやらで燃焼も防いでいる。



 いきなり人が現れ、不意打ち気味に攻撃が飛んできた敵プレイヤーは、ナユカや私の登場におどろくもすぐさま反撃しようとしている。



 そこに火炎弾が到着、しかし全てかわされてしまいあたりの壁にぶつかっている。そう、激しく燃えながら…


 これの意味するところは、ナユカは全方位に火炎弾をばらまいた。つまり、それらの炎は進行方向にも展開され、このまま敵プレイヤーが進行するだけなら熱ダメージが入るであろうという算段である。



 敵プレイヤーもそれを察知さっちしてか、火を消そうと対応してくる。そう、私がさっきのバトルでしたように。


 それがナユカの手のひら上であるというのに…

 敵プレイヤーは、辺り一面に水弾をばらまいた。




 …いや、ばらいてしまった。


 辺りを火の海に変えられた敵プレイヤーは、火を消そうと水弾をばらまいた。そしてナユカの狙いはそこにある。



 と、その前に、私の使っているスキル〔氷〕について説明しておこうかな。


 魔法として使用できるのは今のところ私だけ、同じ系統のスキルが見つからないらしい。そして、この氷は何も無いところから氷を生成している。使用するのは魔力だけ。


 大まかにはこんな感じだ。


 ただし、これは絶対ではない。


 元々本来、「氷」というものは言わずもがな、熱に弱い。例えば夏の炎天下の中、氷をひとつポツンと置いたとして、その氷はあっという間に溶けてしまうのは想像に難しくないだろう。そしてその逆で、極寒の冬の日の夜はまったく解けない。氷を生成する上で、気温や環境というのは特に大事な部分だ。



 そしてRBGではこのリアルな部分も反映されている。暑い場所で氷を生成するには結構時間がかかるし。寒ければ一瞬で生成することが可能なのだ。



 これが私が【凍える世界こごえるココロ】を使う理由。あらかじめ空中の温度を下げておくことで、こっちの攻撃。「氷弾」を即座に生成。発射可能にする技。しかし、それともうひとつ氷が生成しやすい状況がある。それが今の状況だ。


 辺り一面に水溜まりがある場合。それらの水溜まり諸共もろとも周りを巻き込みながら凍らせることができる。もちろん、熱々の熱湯とかだと無理だけど。元来、火より水の方が圧倒的に強く。消火してみせるほどの水の量なら温度もほとんど冷たいままだろう。


 なぜ?水溜まりが都合よくあるのか。それが今回のナユカの作戦だ。

 まず、私が攻撃するにあたって不利になる点がある。


 それが顔が割れているということだ。このRBGをしている人ならほとんどのプレイヤーが知っている…。くらいには闘技大会優勝者の名は伊達だてじゃない。


 そしてそれは、私と戦うイコール氷弾が来る。と相手プレイヤーにさとられてしまう原因でもある。そこに不自然に私なんかが水弾をばらまいたら、どうな攻撃が来るか予想ができてしまうのだ。



 さて、今回ナユカの作戦はこうだ。


 まず、先頭をナユカその次に私が合流地点に入る。

 ちなみにこの時点で私たちの方が若干はやく到着する算段で相手は後方にいることになる。


 そして、ナユカが合流地点に入って早々に火炎弾をばらまく。この火炎弾は相手の意識を、「周りを燃やして継続ダメージを入れる」と思わせると同時に、「私が誰か分からなくする」という目眩めくらましもねている。


 継続ダメージを嫌った相手が水弾を使い火を消そうと対応してくれば。もう私たちの勝ちであろう。


 その方が相手が水溜まりを警戒しない。なんせ自分がいた水だ。


 ちなみに相手が何もせずに突っ込んできたらそのまま私がナユカを護りつつ継続して火炎弾をばらまいていく予定だった。


 そして、敵プレイヤーが水溜まりに侵入した途端…



 私が水溜まりごと相手プレイヤーを凍らせていく!!



…ピキピキ…ッ



「なっ!!?うわっ!!」



ドサッ!!



 足ともがいきなり凍り、片足がそのまま水溜まりの中に固定されたことで相手プレイヤーが走った勢いのままコケる。うん…痛そう。まあ、いっか。


「よし!【氷の心ガラスのハート】!!」



カキーン!!



 そして、そのプレイヤーは水と氷の上に寝そべる形になっている。



 あたりの気温は火炎弾の余波で少し暖かいが、相手は自分がまいた水弾で濡れているし、下敷きになった氷に体は冷やされ凍り易い。


 全身を氷が包むのに時間はかからなかった。


「からの〜〔粉砕〕!!」



ビキッ!!パリーン!!



 あとは砕けば相手は為す術なくHP全ロスだ。


「いえーい!!勝ったよ!!」


 流れるようなコンボで相手を圧倒してしまった。しかもこちらは無傷。ナユカ…。あなたの頭ってどうなってるの?今日初めてで考えつくもんじゃないよ〜…

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