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012  君はいつも強いから



「先手はあげるよ〜。好きなタイミングで初めてね〜」



 さすがに余裕の表情なユキ。それもそのはず、ユキはバトルの時の実況解説によるとランキング9位。数多あまたいるプレイヤーの中の強者。そして私は知っている。


 ユキはこんな平和な現代においても必要ないほど強いということを…



 まず勝てない。でもこれは私のためにユキが設けてくれた機会。じゃあ…遠慮えんりょなく攻撃していこうか。


 まず1発。魔弾をユキ目掛けて飛ばす。




 真っ直ぐ飛ぶ魔弾。それを難なく同じく魔弾で撃ち落とすユキ。


 私は続けて攻撃する。ユキ目掛けてもう1発。今度は少し速度をあげる。スキル無しだと最速。


 ただやはりこれも撃ち落とされる。と、今度はユキが魔弾を飛ばしてきた。こちらも魔弾を作り撃ち落としにかかる。


 両方向からぶつかる魔弾。ユキの攻撃を見事に打ち消すことに成功した。

 今のところ大方予想通りに魔弾は動いてくれている。

 更にユキが魔弾を飛ばしてくる。次々に…。ガトリングみたいに複数を一直線に私目掛けてとばしてきた。


 今度は打ち消すのではなく私自身が横に大きく動いて避ける。私の居た場所をれを成して通り過ぎる弾幕。それを確認する間もなく、すぐさまユキが腕を横に振り抜き魔弾を散らすようにばらまいた。



 おぉ〜、キレイ!!でも見とれずに。落ち着いてそれに対処する。


 目の前だけではなく、広い視野を持ち、余裕を持って弾幕をかわす。こちらも反撃。ユキがやったように左手を振り抜きながら複数の魔弾を使って攻撃する。


 ここまで両者無傷。



 だいたいの魔弾調整はできるかな?あとはそうだね…。いろいろ試していこうか。



 次はこちらから仕掛ける。さっきと同じように左手を振り抜き魔弾を散らす。今度は魔弾ひとつひとつの速度を変えて。



「うわ!」



 それをユキは予想していなかったのか。少しおどろくも、即座に対応。

 当たらないようにかわしつつ、進路上にある魔弾を撃ち落とし。さらにこちらに仕掛けてきた。



「いいね〜!今度はこれ!!」



 ユキが放った弾幕はひとつ。今までと違うのは…。赤色?に変わった?いや、点滅してる?


 それを撃ち落とすために魔弾を飛ばす。


 お互いの魔弾がぶつかる。


「おあ!?」


 その瞬間大きな爆発が発生。身構えてなかったため爆風で後ろに転けかけた。

 すぐさま次の攻撃をユキが放つ。今度はユキが火弾を放ってきていた。

 それを確認した時には既に近距離。急いで身をひるがえす。その甲斐かいあって被弾せずにギリギリで回避に成功した。…てっうわ!?かわせたのに!?ダメージ受けてる!!


 なるほど…属性弾ね。


 〔火〕なら私も持ってるから真似てみようかな。まずはユキがやったように〔火〕を魔弾に使いながら、飛ばすッ!

 綺麗なオレンジ色の魔弾がユキ目掛けて飛んでいく。さて…、私が放った火弾をユキは…。今度は水かな?水弾がユキの周りに展開し火弾目掛けて放たれる。

 今度はシュー…と音を立てて跡形あとかたもなく鎮火ちんかされ水弾はそのまま地面をらす。今度は爆発せずに消えた。

 なるほどね。やっぱり属性の相性とかもあるみたい。次にユキは…。手を上に挙げて沢山の弾幕を上に飛ばす。空高く舞い上がった弾幕たち、それは徐々に失速していき…


 やっぱり降ってくるよね!?


 そのまま今度は重力にしたがって落下してくる弾幕の雨。それを冷静に見て躱す。そう考えながら上に意識を集中していた。次の瞬間。


「キャッ!!?」


 いきなりの衝撃が前から流れてくる。そのまま後ろに少し吹き飛ばされた。


 そこに落ちてくる弾幕…



 やばいッ!どうにか逃げないと!!


 吹き飛ばされた衝撃で体制がくずれた私に上からの弾幕が襲いかかる。


 何とかダメージを受けながらも弾幕の範囲から抜けようとする。幸い、ユキはそこまで弾幕を飛ばしてきていた訳では無いので密度も薄い。なんとか生きてる。

 ただし、弾幕の雨を抜けきった時点で、HPバーは残り3割しか残っていなかった。


 何とか出れたよ…。ダメージいっぱいくらっちゃったけどね。どうしよう。追撃来そうだし。少し考える時間が欲しい。


「ユキ!!少しターイム」


「許す!!」


 いいんかいっ!!


 これが本番だったら絶対ないけど。ユキは優しい。ユキのくれた温情に感謝しつつ私は一旦立ち止まった。

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