「たっだいま〜!」
「おかえり」
何食わぬ顔で私の待つ闘技場ロビーに帰ってきたユキ。私だけだと全然視線は感じないのにユキか話しかけてきた瞬間一斉にこっちに視線が飛んでくる。
…これからもユキとは行動を共にするなら
「で〜?どうだった?」
ユキは姿勢を低くしかがみながら私に子首を
ひとまず聞かれたからには感想を…。でもなんだろやっぱり。
「キレイだった…。とってもキレイだったよ!ユキ」
「ありがと〜、ナユカ〜!」
この一言に
「ユキがほんとにお姫様みたいに見えたよ!口調もそれっぽかった?みたいだし!」
ユキはバトル中ロールプレイのようにいつものゆったりした口調じゃなくてお
「あ〜、あれは色々理由があるんだけどね〜。ここだと人も多いから内緒〜」
なにかあのロールプレイにも理由があるのか、そういったユキは私の腕を
「ねぇ…ユキ?」
「ん?な〜に〜?」
私はそんなユキに問いかける。
それはユキへの
「私も、ユキのようになれるかな?」
そんな私の問いに、手を引き前進していたユキは一瞬止まる。すぐに再び歩き出したユキ、そんなユキはその時とびっきりの笑顔でこう言った。
「もちろん!」
*
あれから少し歩いてたどり着いたのはオーブショップと書かれたお店。RBGにおいてど素人な私をユキが
そういえばランキング9位ってとんでもないよね?これ全世界ランキングだからとんでもないプレイヤー数の中の9位だよね?
なんか視線を集めるわけだよ…
そしてそんなとんでもないプレイヤーに個別講師受ける私って…
と、とりあえず細かいことは置いておいて、今はオーブショップ。いわゆるスキルを購入出来る場所に来ていた!
オーブショップと言っても店内は観葉植物やソファー。オシャレな何かがところどころある程度で他に目立ったものもない。
私がゲットした〔魅力〕のような白いオーブなんかも見当たらず、そもそもショーケースとかそういったものが見当たらない。
「このお店に入るとメニューの
あ、なるほど。商品として陳列して売るんじゃなくて個別にフォログラムパネルで出るんだね。
普段必要なものも買うってことをしないからここら辺は新鮮だ。
とりあえず適当に空いてるソファーに2人で座る。するといつの間にか購入したのか、ユキの手にはジュースが2つ。
「ほい、モモのジュースだよ〜。好きでしょ?」
「おおー!ありがとう!」
うんうん。ユキはわかってる〜!程よい酸味と甘さ!優しい色合い!私の大好物!
「フフ…」
「ん?」
「いやいや〜、なんでもないよ〜」
はしゃぎすぎたのか、ユキに笑われてしまった。いやまあ…。好物が出てきたら誰でもこうなるって!笑わなくてもいいじゃん!
私が少し笑われたのをプンプンしていると、そんなことにも気づかずユキはそっと語り出した。
「このゲームはいわば対戦型バトルゲームなんだけど〜。もうひとつ。RBGがRBGたる人気の
「革命…」
ユキはもうひとつの自分用のジュースを飲みながら窓の外を
僅かに今も微笑みながら楽しそうに彼女は続けてこう言った。
「革命。それはゲーム全体を変えてしまうほどの大きな要因によるアップデート。発売から11ヶ月、約1年の間に4回起きたそれはそれまでの「バトル」のあり方を根本的に変えて見せたんだ〜」
「オープニングでも言ってたけどユキが見せてくれたバトルしか知らないから想像できない…」
「そうだねぇ〜。このゲーム発売直後はそれはそれは酷かったよ〜?」
いまさっき見た光景とは全く違いそうなシュールなゲームだね?それだと…てかユキもじゃあ殴り合いしたの?
「ほんとだよ〜?そこからスキルを集めていくプレイヤー。初めの頃は〔飛行〕もなかったし〔鍛冶〕なんてものもなかったからほんとに素手での殴り合いでね〜。でも、1人のプレイヤーがその〔鍛冶〕スキルを見つけて、頑張って武器を作った。それが噂となって拡散されてゲームが突如アップデート告知を通達した。ゲームに〔鍛冶〕や〔裁縫〕そういった生産系のスキルを大量に出現するようにしたんだ〜。それからは殴り合いから武器を持ったバトルになったこのゲーム。このアップデートを革命と呼ぶ」
ユキがそういうんなら疑ってはないけどさ。やっぱりイメージは湧かないね。
「その後に〔魔力〕や〔飛行〕。〔水泳〕なんかも見つかって今に繋がるんだ〜…。ねぇ、ナユカ?」
ユキは窓の外から私に視線を向ける。それは可愛くも美しい笑顔で。そのまま私に…
「革命者。目指してみない?」