地球の寿命が判明した。
正確には地球自体が無くなるわけでもなく、巨大隕石が落ちてくるとかでもない、ただ現在地球上に繁栄しているあらゆる生物が適応できる環境を維持できなくなるらしい。
人類が未来を手にする為に作り上げた確定予測演算装置マザーが出した答えは、人類滅亡までの、終わりまでのカウントダウンだった。
想像以上に遠くない終わりに対して人類は、それでも種としての生存を望んだ。
確定予測演算装置マザーはそれに応えて答えた。
奇跡としか言いようのない方法や仮説が並ぶフローチャート、もしもの連続。
それでも人類は諦めなかった。
人類滅亡に対して、文明は飛躍的に向上した。
まず、人類は地球に極めて類似する惑星を観測した。
これによりマザーは人類の生存確率を上向きに更新した。
次にその惑星への航行を可能にする為に亜光速航行を可能とする超出力エンジンを設計し。
これにより生存確立はさらに上がった。
ナノマシン結合により情報により形状や構築を変形させ、完全な破壊不可にいたる強度と剛性を持つ物質、アン・ドゥ・メタルが完成。
続いて亜光速航行を可能にする為の動力源として、
アン・ドゥ・メタルにより物質を圧縮し続けて爆縮すらも閉じ込めて動力源とした縮退炉。
縮退炉を用いた亜光速に至る加速を可能とする超弩級高出力エンジン。
二千光年以上にも及ぶ恒星間航行に耐えうるアン・ドゥ・メタル装甲。
二千光年以上を航行する為に人類を眠らせる状態固着睡眠カプセル。
それらを組み合わせ、一億人を収容出来る超巨大な宇宙船を建造、さらに量産。
思いつく限りのサイエンスフィクションを片っ端から実現させて、漸くマザーは人類に生存確率を
それがこの二百年で行われた。
長いと言えば長いだろう。
世代が何度も移り変わり、ひとつの目的に対して全人類が団結して進み続けたのは凄まじい。最初に計画に乗り出した人々は自分には関係の無いことだったはずなのに。
短いと言えば短いだろう。
二百年なんて精々、電話や自動車が出来て低燃費小型軽量化して普及しきった程度だろう。それが人類がまるっと別の惑星へ移せるほどの進歩を見せたことはない。
この二百年の間にも、様々な世界規模の政治的な交渉があって、足並みを揃えるために力を尽くした男とか、不可能を可能にする為に知恵だけじゃなくて発想と閃きを捻り出してきた技術者たち、少しでもタイムリミットを伸ばすために環境を改善しようと奮闘した聖女、数多くの偉人伝が生まれた。
長くて短いその準備期間に、様々なドラマが圧縮されていた。
まあそれはまた別の話であり、今回はあまり関係ないけど。
二百年間、地球は容赦なく環境を変化させて演算装置の確定予測通りに終わりへ向かっていった。
しかし、人類は間に合った。
人類生存環境保全亜光速超長距離恒星間航行
五十三億人の人類を乗せて、地球を離れて目指すは惑星
これは、そんな旅を始めた人類の話だ。