マリア様とラブラブデート(?)をした翌日の朝7時。
ゴールデンウィークもいよいよ後半戦に突入しようとしたこのタイミングで、我が桜屋敷ではちょっとしたトラブルが発生していた。
そう、あのお優しいマリア様がお熱を出して横になってしまったのだ!
「だ、大丈夫ですかマリア様っ!? し、死んではいけません!」
「こ、この程度の熱で亡くなるかバカ者……」
「で、ですがっ!? さ、38度5分もあるんですよ!? 高熱ですよ!?」
「声がデカいわ……頭に響くからやめぬか。こんなモノ、1日大人しく寝ておればすぐに治るわ」
「ほ、本当ですかっ!?」
「うぅ……だから声がデカいと……ハァ。もうよい、横になっておれば治るから、おまえは自室に戻っておれ」
いつもなら小言の1つや2つくらい飛んできそうなタイミングなのに、マリアお嬢様は寝巻き姿のまま、ベッドの上で
これは非常事態だ! 緊急事態宣言だ!
俺は改めてベッドの上で横になっているマリアお嬢様を見つめた。
瞳も潤んで、頬も若干紅潮しており、熱っぽい吐息を何度も繰り返し吐き出しているマリアお嬢様のお姿は何ともツラそうだ。
どうやら本気で具合が悪いらしい。
どれくらい悪いのかと言えば、我が偉大なる盟友、大神金次狼の中学時代の成績ぐらい悪いと言えば分かりやすいだろうか。
なにソレめっちゃ悪いじゃんっ!
た、大変だぁっ!?
従兄弟は頭が悪いし、マリアお嬢様は具合が悪いし、後輩は性格が悪いし……いったい俺はどうすればいいんだ!?
恥ずかしながら生まれてこのかた病気には一度もかかったことがないため、看病の仕方がまったく分からない!
こ、こういう時、俺は一体どうすればいいんだ!?
祈ればいいのか?
踊ればいいのか?
脱げばいいのか!?
「ま、マリア様……」
「……むっ? まだ居ったのか?」
「じ、自分に何か出来るコトはありませんか? な、何でもヤリますよ!?」
「なんでキサマがそんなに慌てておるんじゃ……? 別に何もせんで良いし、そう
「で、ですが……」
「妾の事は気にするな。もう慣れたモノじゃから」
「? な、慣れたというのは、どういう意味ですか?」
本当なら病人を静かに寝かせてあげるのが1番なのだろうが、このときの俺はそんな発想なんぞまったくなかったため、ついマリアお嬢様に聞き返してしまった。
マリアお嬢様は珍しく苦笑を浮かべながら、真っ直ぐ虚空だけを見つめて、うわ言のように唇を動かした。
「もともと妾はそんなに身体が丈夫な方ではないんじゃよ。ちょっと無理をすればすぐにガタがくるポンコツなんじゃ。ほんと自分の身体のことながら
まぁ普段は気を張っておるから、多少無茶をしようが気合で乗り越えることが出来るんじゃがな。
と続けるマリア様。
「それでもたまに予期せぬ外部からの刺激により、張っていた糸が
「『予期せぬ』って、昨日何かあったんですか? あっ、もしかして自分がマリアお嬢様を無理やり遊びに誘ったからソレで!?」
「だから気にするなと言っておろうが」
さすがに喋り疲れたのか、マリア様は瞳を閉じて、大きく息を吐き出した。
うん、コレ以上無理をさせるのはよろしくないよな。
俺はマリア様の言いつけ通り退出するべく、彼女に向かって小さく頭を下げた。
「分かりました……では自分は仕事に戻ります」
「うむ。精進するがよい」
そう言ってマリア様は力尽きたかのように全身を脱力させた。
俺は彼女の規則正しい呼吸音を聞きながら、しぶしぶ本来の仕事に戻るべくマリアお嬢様のお部屋を後にするのであった。