「――以上の事からキサマは『アンドロイド』ではなく、『人間』の安堂ロミオと断定できるワケじゃ」
どうじゃ? と応接室の机の上に広がった資料を前にドヤ顔で俺を見てくるマリア様。
机の上に広がった資料は何と言うか……俺が『汎用ヒト型決戦執事』人造人間ロミオゲリオンではなく、ただの顔面がやたらとイケている普通の男の子『安堂ロミオ』として証拠の数々だった。
俺の戸籍やら、DNA判定やら、この1カ月の行動やらと、「もうそこまでされたら降参するしかないわ♪」と逆に尊敬するレベルにまでキッチリ調べられていた。
もう女体を前にした男子中学生のように物凄い執念を感じたよね!
息子のエロ本を炙りだすコトに
俺はそんな彼女の努力を祝福するかのように……執事服をその場でパージした。
「さて、これを踏まえた上で何か言い訳はあるかのぅ? 安堂ロミオど――のぉぉぉぉぉぉっ!? ちょっ、待てキサマ!? ナゼ今服を脱ぐ!? そんな雰囲気ではなかったぞぇ!?」
「これで勘弁してください」
怒鳴り散らすマリア様の目の前で、文字通り一糸まとわぬ姿で日本の伝統文化DO☆GE☆ZAを繰り出すナイスガイ、俺。
あまりにも俺の所作が
「いや意味が分からんわ!? 何故このタイミングで服を脱ぐキサマァァッ!?」
「裏表のない誠意をマリア様に示すために」
「いやほんと意味が分からんわ!? いいから早く服を着んか、この
俺の誠意ある行動に胸を打たれたのか、顔を真っ赤にしてプルプルと震えだすマリア様。
ここだっ!
畳み込むならここしかない!
俺は持てる力の全てを振り絞るように、彼女に
「
人間嫌いのお嬢様の隣に居られるのは、俺が無機物のアンドロイドだと信じてくれているからであって、もし人間だとバレたら俺はもうお嬢様の隣には居られない。
あの春の木洩れ日のような温かい眼差しも、言葉も、想いも、全部失ってしまうのかと思うと……怖くて足が
あぁっ、ジュリエット様を騙している最低のクソ野郎だと罵ってくれても構わない!
それでも俺は彼女の隣に居たいのだ!
もうこの時点で『バレたら
するとマリア様も鬼ではなかったのか、慈悲深そうにニッチャリと邪悪に微笑みを浮かべ、
「それは別に構わんが……さすがにタダでというワケにはいかんのぅ」
「と、言いますと?」
「こんなジュリエット工房始まって以来の
「……なるほど。身体ですか?]
「違うわバカタレ!?」
俺は自分のイケてるナイスなバディを両手で抱きしめるようにしながら、半歩マリア様から距離を取った。
肉食獣を彷彿とさせる瞳で全裸の俺を見据えるマリア様に、俺は思わず
「そ、そうかっ! だから俺の身体から無理やり衣服を剥ぎ取ったんですね?」
「被害者
「ひぃっ!? そ、その
「湿ってないし、いやらしくもないし、何もせんわ!
「信じられない……コレが良家のお嬢様がすることですか!?」
「おい、
だから違うと言っておろうが!? と自分の無実を主張するマリア様に、湿った視線を送り続ける俺。
いやいや?
今のは
俺には分かる! 何度も薄い本で同じシチュエーションを見たことがあるから、間違いない!
チクショウッ、薄い本が厚くなっちまうぜ!
「妾が求める見返りはただ1つ! 姉上が帰国する
「へっ? せ、専属の専用使用人……ですか?」
このまま魔法使いの権利を剥奪、もとい卒業式を敢行してしまうのか!? と歓喜に震え――違う、警戒していた俺に予想外の言葉が投げかけられた。
『現役JKお嬢様とめくりめく酒池肉林の日々がスタートするんだね、パパッ!』と喜びに若干ふっくら♪ していた我が息子もパンツの下でピタリッ! と動きを止めたのが分かった。
え~と……えっ?
どういう意味だ?
「あ、あのマリア様? 専属の専用使用人と言うのは?」
「言葉通りの意味じゃ。姉上がイギリスから帰国するまで、妾の専属使用人として働いてもらう」
「それは……何故でしょうか?」
「キサマが姉上の、いやモンタギュー家の使用人に相応しいかどうかテストするためじゃ。もちろん妾も鬼ではない。至らぬ点があったら優しく指導してやろう」
天使のような微笑みを浮かべるマリア様にうっかり惚れそうになる。
おいおい? てっきり俺の弱味を盾にこのイケてるボディを10代の溢れんばかりの知的好奇心、いや痴的好奇心を持って蹂躙してくるか、もしくは俺を桜屋敷から追い出そうとするかのどちらかだと思っていたのに、まさか俺がよりジュリエットお嬢様の隣に居られるように修行をつけてくれるだなんて……。
彼女はどれだけお優しいんだ!?
聖母の生まれ変わりか?
それなのに俺って男は、心優しきマリアお嬢様に疑いの目を向けて……恥を知れ!
「もちろん断ればこの話はナシじゃ。ただそのときはキサマの秘密を姉上に話すことになるが……どうする?」
どこか挑発するような彼女の声が鼓膜を震わせる。
こんな嫌らしいネチネチした言い方も、きっと俺の反骨精神に火を
使用人として稽古をつけてくれるだけではなく、俺のメンタルもしっかりと管理してくれるだなんて、マリアお嬢様の優しさには天井が無いのか!?
俺はマリアお嬢様の谷間の如き深い慈愛の心に胸を打たれながら覚悟を決めた。
女の子にここまで言わせたんだ、もはや俺の取れる選択肢は1つしかねぇだろうが!
俺は全裸のままマリアお嬢様の足下に片膝をつき、王に忠誠を誓う騎士のように彼女の手を取り頭を下げた。
「今日からご指導ご
気がつくと自然と笑みが