雨で重くなった執事服をそのままに、実に数十分ぶりの帰還を果たした俺は
そのままジュリエットお嬢様の部屋へと駆け込み……全身の血の気が一気に凍りついた。
「お嬢様が……居ない!?」
部屋の主であるハズのジュリエット様の姿がそこにはなく、気がつくと俺は桜屋敷の部屋を片っ端から開けてお嬢様の姿を探していた。
「ここにも居ない……クソッ! ここにも居ない……」
廊下に飛び出し、近くのドアから順に開け、中が空っぽなのを見て落胆し、すぐさま別の部屋の扉を開ける。
「ここでもない。コッチでもない。お嬢様っ! ジュリエットお嬢様っ! 居るなら返事をしてください!」
扉を開ける度に嫌な想像が膨らんでいく。
もしかしたらお嬢様の身に何かあったんじゃないだろうか?
残る部屋は『元』物置の俺の部屋と脱衣所と浴場だけ。
もしそこにも居なかったら、山の
それでも居なかったら街中を這いずり回ってでも探す。
それでも居なかったら、え~と、え~とっ!?
「えぇい、とにかく探す!」
そうだ!
探せ、探せ、とにかく探せ!
俺は雨のせいなのか、それとも汗のせいなのか分からないドロドロな姿のまま、次の自分の部屋のドアノブへと手を回し、
「お嬢様っ!?」
「――ロボくんっ!」
「うぶっ!?」
扉を開けた瞬間、金色の弾丸が俺の腹部にめり込んできた。
あまりの勢いに弾丸の威力を相殺することが出来ず、廊下に尻もちをついてしまう。
な、なんだなんだ!?
敵襲か!?
チクショウ、こんな忙しいときに!?
と、俺の思考がかつてない程に高速回転し始める。
が、自分の胸に納まっている小さな獣の姿を認識した途端、全身に
代わりに、自分でも驚くほど穏やかな声が口から漏れ出ていた。
「……ただいま帰りました、お嬢様」
「ぅ、ぁぁ、あぁ……うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん~っっ!?!?」
胸の中で泣きじゃくる小さなお姫様を前に、どうやら俺は正解に辿り着いたらしいと確信する。
「こ、ここ、怖かったぁ~っ! 怖かったんだよロボくぅぅぅ~んっ!?」
「よく頑張りましたね、お嬢様? もう大丈夫ですから……自分が帰ってきたからにはもう大丈夫ですから」
「ろ、ロボくん……ロボくぅぅぅ~っ!?!」
「自分はココに居ますから。お嬢様の隣に居ますから。今だけは思いっきり泣いてもいいですよ? その涙は全部自分が
ジュリエット様を安心させる言葉だけを
俺は胸の中で泣きじゃくるジュリエット様の小さな身体を優しく抱きしめた。
彼女が1人で悲しまないように、自分が傍に居ることを思い出してもらえるように。
ジュリエット様の