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悪役令嬢になれなかったお嬢さまはアンドロイドに恋して変わる
おさんぽミルク
現実世界ラブコメ
2024年11月13日
公開日
30,768文字
連載中
日本屈指のお嬢様学校である私立セイント女学院2年、ジュリエット・フォン・モンタギューは一言で言ってしまえば「完璧超人」である。

世界有数の資産家にして、大貴族と言われているモンタギュー家の次期正統後継者にして、もう10年すれば絶世の美女になるだろうと確信させる愛らしい顔つき。

加えて教養があり、走れば国体出場、歌えばスタンディングオベーション、テストでは入学以来2位に圧倒的大差をつけて1位に君臨し続けているモンタギュー家の女帝と、まさに才能の暴力と呼ぶべき人外じみたお嬢様、それがジュリエット・フォン・モンタギューである。

そんな完璧超人なお嬢様の唯一の欠点、それは――





――人間不信。





幼少期の頃よりその地位を狙った親類縁者たちに毒殺・暗殺・誘拐・拉致・監禁を幾度も経験させられた結果、性格が天然パーマ並みに捻じれに捻じれ、スーパーウルトラド級の人間嫌いな冷酷美少女に育ってしまったのだ。

そんなジュリエットももう年頃である。

彼女の美貌に、地位に釣られる男たちから言い寄られ、縁談の話を持ってこられるコトに辟易していた。

人間の男なんかとは死んでも付き合いたくない。

それでも羽虫のごとく自分に近づいてくる男たち。

そこでジュリエットは1つの策に打って出ることにした。





――自分の命令に忠実なロボットに恋人役をやらせよう、と。





そしてお金にモノを言わせて完成させたのが、人類初の自立型アンドロイドにして人が造りし人間。




その名も『汎用ヒト型決戦執事』人造人間ロミオゲリオン。




……だがこのときのジュリエットはまだ知らなかったのだ。

この『汎用ヒト型決戦執事』人造人間ロミオゲリオンには、誰にも言えない隠された秘密があることに。



並べろ運命! 砕け宿命! その5本の指で未来を創れロミオゲリオン!

プロローグ ロミオとジュリエット

 世界でも5本の指に入るほどの大貴族にして、その資産は世界全体で見て数%にも及ぶと言われている大財閥――モンタギュー家。


『裏で世界を操っている』とさえ言われているそんな大財閥の現当主、テレシア・フォン・モンタギュー。


『血も涙もない超合理的人間』だとか『感情を無くした女帝』だとか悪い噂もことかかない彼女だが、その手腕は本物らしく、彼女がモンタギュー家の当主になってからというもの、彼女がスポンサーになった企業、団体、商品は目覚ましい飛躍を遂げる『幸運の女神』という2つ名もあるくらいだ。


 そしてそんなモンタギュー家の現当主様は大の温泉好きのようで「天然温泉のついた家に住みたい!」という至極個人的な理由だけで本籍どころか本社さえも日本へ移した超趣味人でもあるらしい。


 そんな超絶趣味人な彼女には2人の娘が居る。


 そのうちの1人が今年17歳になるジュリエット・フォン・モンタギューである。


 モンタギュー家の正統後継者である彼女は、一言で言えば完璧超人であった。


 まるで外国の童話から出て来たお姫様のような愛らしい顔つき。


 太陽の光を一身に浴びた小金色に輝く髪。


 どこまでも透き通る蒼い瞳に、メープルシロップに漬けたかのような潤んだ唇。


 お人形さんのような小さな出で立ちに反して、出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいるプロポーション。


 街を歩けば100人が100人とも確実にナンパ、もしくはスカウトするほどの美貌を持つ彼女だが、彼女の真価はそれだけにとどまらない。


 日本有数のお嬢さま学校である私立セイント女学院を首席で入学し、今日に至るまで2位と圧倒的な差をつけて1位に君臨している才女である。


 加えて教養もあり、ピアノを弾けばスタンディングオベーション、歌声は天上の囁き、走れば国体出場等々。


 もはや天は二物を与えないどころか「もしかして異世界から転生してきた?」とコチラが疑問を抱くレベルでの才能の暴力に、ただただ賞賛を送ることしか出来ない。


 そんな才能の見本市どころか天上の存在である彼女と、全日本イケメン代表みたいな俺、安堂あんどうロミオとでは生きる世界が完全に違う。


 なんなら生きる世界どころか遺伝子レベルで違うと言ってもいいだろう。


 顔面以外さして長所もなければ特技もない平凡な俺と、生まれながらにして勝利が約束されている彼女の人生は決して交わることがない。






 ……ハズだった。






 そうハズだったのだ。


 一体何の因果が、はたまた神様の小粋なイタズラかは知らないが、俺と彼女の物語がこのあとトンデモナイ勢いでじれ交わることになるのだが……一応最初に言っておこうと思う。


 これはジュリエット・フォン・モンタギューの物語でも安堂あんどうロミオの物語でもない。


 これは人間を信じられなくなった女の子と、光源氏も裸足で逃げ出すイケメンロボット(仮)が織りなす、絆と想いと……再生の物語だ。

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