目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
作製編  93 【強制終了版】

 エルフの隠れ里にリース達を託し、アルスは、再びサウス・ドラゴンヘッドへと向かう。リース達が居ない心の落胆は大きかったが、守るべき未来を認識したことで、アルスの目には力が戻っていた。モンスターが復活するまでの時間にやるべきことが山のように出来た。

 そして、まず、モンスターが復活する前にサウス・ドラゴンヘッドを建て直さなければならない。アルスにとっては関係の薄い国ではあるが、この国が一番世界の危機を知っている。それを世界中に知らせなければならない。

 更に遠い未来で、モンスターと戦う時、優秀な魔法使いを育成できていなければ対抗できなくなってしまう。ノース・ドラゴンヘッド、サウス・ドラゴンヘッド、騎士の国と魔法使いの国は、この世界になくてはならない重要な戦力なのだ。

 しかし、三週間の旅を終えて、サウス・ドラゴンヘッドに戻ったアルスは絶望するのだった。

「何だ、これは?」

 途中に立ち寄った町、今立っている王都、全てが荒み始めている。諸悪の根源を倒したはずなのに、復興する兆しが見えない。ミストの屋敷に向かう途中で立ち寄った城は、瓦礫の除去が終わったままで放置されている始末だった。

「何が起きているんだ?」

 アルスはミストの屋敷へと走った。


 …


 ミストの屋敷――。

 ミストの屋敷の周りは多くの国民に囲まれていた。一体、何ごとかと、アルスは人だかりを掻き分け、一番前に出た。

 そこにあったのは大きな掲示板。現在、手付かずになっている案件が張り出されている。財政、食料、治安、警備、流通、その他諸々が手付かず状態だ。

 その状況に、人々は不満を叫んでいる。

『一体、何で、食料が入らなくなったんだ!』

『何故、役所は町の申請を処理しないんだ!』

『泥棒や強盗が増えている! 国は、何をしているんだ!』

『何故、貴族は何もしないで自分達だけ、食料を買い占めてしまうの!』

 アルスは法律の整備が進んでいないが故に、何も出来ていないと判断した。しかし、それよりも、何故、ミストの屋敷の前に掲示板があるのか?

 屋敷の庭の即席のテントの中で、アルスはニーナ王妃を支持していた他の貴族と一緒に黙々と仕事をしているミストを見つけた。

「ミスト!」

「……アルスさん?」

 アルスは、ミストのもとへと走る。

「一体、どうなっているんだ?」

「見ての通り、大混乱です」

「法律の整備が進んでいないの?」

「それもありますが、国にお金がないのです」

 ミストの口から出て来た信じられない言葉。予想とあまりに違う回答にアルスは状況を、質問を交えて聞き返す。

「書庫と違って、お金は燃えてないよね? 盗まれたの?」

「はい」

「城に泥棒が入ったの⁉」

 ミストは苦々しく話し出す。

「そうではなく……。国の税金を新政権派が使い込んでいたのです」

「な……! じゃあ、この国は今まで、どうやって成り立っていたの⁉」

「宝物庫の国の宝を売りに出して財政を捻出していたのです」

「そんな馬鹿な……」

 アルスは眩暈が起きそうになった。

「新政権派は責任逃れのために全員辞職して引き篭もり、残った我々が走り回っている状態です」

「法律の整備は?」

「トルスティ先生を筆頭に他の貴族達が色々と調べてくれましたが、新政権派の使っていた法律は、自分達の懐に利益が転がり込むような上前を撥ねるものばかりなのです」

「そのままじゃ使えない法律ってことか……。お金がない――財政に当てるものがないってことは、売れる宝物もなくなっちゃったってことなの?」

「……はい。まず、全体を管理する人材を集めて、大元になる基盤を作るところから始めないと、どうにもなりません」

 アルスはミストの屋敷の前の人達を指差す。

「あの人達、その現状を分かってんだよね?」

「分かっているのですが、新政権派の貴族が逃げ出したことで、矛先がこちらに向いたのです」

「分かってて集まってるの? だったら、ここで抗議しても無駄なのも分かっているんでしょう?」

「一概に全てを拒否出来ないのです。はやり病の蔓延の報告などは、早急に手を打たないと国全土に広がる危機です」

「それにしたって――」

(これが頼り切っていたツケ……)

 アルスは、あまりのだらしなさに頭が痛くなった。また、改めてミストを見ると、二ヶ月前よりも明らかにやつれている。

「ミストは、ちゃんと休んでるの?」

「ええ、元気です」

 笑って見せるが、明らかなオーバーワークは目に見えて分かる。

「新政権派から国のお金を取り戻すことは出来ないの?」

「その法律がありませんから……」

 アルスは屋敷の周りの国民を見る。

(何とかしなくちゃ……)

 不平不満を言い続ける国民、基盤のない法律、逃げ出した新政権派の貴族……。四十年の間に、サウス・ドラゴンヘッドの政治は見えない根底から崩れていた。

「ミスト、あの人達から人材を登用できないかな?」

「あの人達ですか?」

「不平不満を言えるっていうことは、この国の政治の悪いところや改善したいところを知っているということでしょう?」

「そうなりますね」

「少し話し合ってみていいかな?」

「構いませんが……、話を聞いてくれるでしょうか?」

「やらなきゃダメだと思うよ。埒が明かないもの」

「では、お願い出来ますか?」

「うん」

 アルスが人だかりの前に進み出ると、人々の視線はアルスに集まり、やがて何人かが獣を追い払った人物だと気付き出した。それにより、騒ぎは少しずつ静まり始めた。

『救世主様……』

「僕は、そんなものじゃないよ」

『しかし……』

「でも、もし救世主だと思っているなら、少し話をさせてくれないかな?」

 人々はお互いを見合い、頷いて返事を返した。

「皆が怒るのは当然だ。きちんと納めていた税金を国の貴族が湯水のように使って、今の現状を作り出してしまったんだから」

『その通りだ!』

「そして、流通が止まり、行き渡らなくなった食料を買い占められれば、僕達は生活できない」

『さすが、救世主様!』

 ミストは、一筋の汗を流す。

(アルスさん、煽っていませんか?)

 見守るミストが不安に思うのも仕方がないが、アルスもアルスで前に出て声を張るなど、正直、自分の役目ではないと思っていた。

 しかし、あえて前に出て声を張り上げた。これに似た状況をイオルクに聞いていたからだ。アルスは、ドラゴンチェストのヒルゲの町を開放した時の話を思い出していた。

 まず、やる気を出させ、人々が動かなければ何もならないと、イオルクは言っていた。状況は違うが、やる気を出させ、一人一人を行動させなければいけないのは同じ。状況が違うなら自分なりに考えを構築し、人々を誘導する必要がある。

 誰かが纏めなければ、人々の気持ちは纏まらない。本来、若造のアルスの言葉など通らないが、この国で作った一つのカリスマ性――救世主という武器をアルスは持っている。これを利用しない手はない。いや、これを利用するしか手段がない。

 アルスは、失敗するかもしれないという不安と緊張感を持ちながら続ける。

「馬鹿な新政権派の貴族のせいで、国のお金は空っぽ。いい加減な政治のせいでガタガタ。だけど、早めに気付いて良かったこともある。もし、国が借金をした状態で真相が分かっていたら、今以上に困窮して、どうしようもなかった。そして、一番重要なのは、役に立たない新政権派の貴族が居なくなったということ」

 国民達は意味が分からずに沈黙する。

「いいですか? 今は、上から命令する者が居ないんです。つまり、権力的には全員が平等ということです」

『平等? 俺達の意見が通るということか?』

「そうです。貴族も平民もありません。だけど、この国は動いていない……。何故でしょうか? 簡単です。皆がここに居て、普段している仕事をしていないからです。――しかし、それが悪いとは責めません。何故なら、働いた分は対価が支払われるからです。その対価が支払われないから、働きたくても働けない。意欲が湧いてこないのです」

『その通りだ!』

「では、対価が支払われないからと言って、このままでいいんですか?」

『それは……』

「例えばです。主食のパン。これが出来るまで農民が小麦を栽培し、商店が小麦を買い、商店が小麦粉にして売り、パン屋が小麦粉を買い取ってパンを作り、一般の人がパンを買う。この流れの一つでも止まれば、僕達はパンを口にすることが出来ません。この中で、そういう仕事を生業にしている人が居れば、僕達のもとにパンが届かず食料が手に入らないことになります」

『…………』

「不平不満、納得のいかないこと、そういうものが多々あると思います。だけど、今は普段通りの仕事をして、皆が生き残らなければいけません」

『だけど、対価もなしに……』

「暫くは無償で労力を提供することになるでしょう」

『その無償の間、国はどうなるんだ?』

「僕達で国を建て直すんです」

 周囲はざわつき出す。

「新しい政治……。もしくは、新政権派に荒らされる前のサウス・ドラゴンヘッドの政治に戻すんです」

『そんなの出来っこない……』

「そのための知識を出し合うんです。少なからず、今、僕と皆は、この国のことについて話し合った。その話の中で、何が不足していて、何があればいいかは分かっていたはずです」

『確かに……』

「法律は、その延長です。皆でルールを創って、守って、より良い生活をするための手段でしかありません。幸いにも貴族の中でも、頑張って残ってくれている人達が居るでしょう?」

 アルスはミスト達に視線を送る。

「あの人達と協力し合いませんか? 僕達よりも政治に関わっていた経験があります」

 周囲は、再びざわつき出す。

「あとは政治を創る人材が、少しずつサウス・ドラゴンヘッドを建て直していくしかないです。この掲示板だって、今までは不透明だった国の仕事が透明で分かる工夫の一つでしょう? 今度、国を建て直したら、全員の意見が通る国を創りたいでしょう?」

 ミストの屋敷の前の国民は、ようやく自分達で出来ることを考え始めた。

『少しやってみるか……』

『ここに居ても、何も変わらないし……』

『俺達自身が流通を止めてもな……』

「意見は、どんどん言ってください。でも、押し付けるだけじゃなく、自分達も動きましょう」

『……そうだな』

 国民の気持ちが少し動き出した。

「アルスさん、対価も払えるだけ払いましょう」

「ミスト?」

 振り向いたアルスの前で、ミストは自分の屋敷を指差した。

「この中のものを売って、皆さんの対価に充てましょう」

 ミストの一言に、アルスは慌て出す。

「ちょっと! この中には、ご両親の大事な思い出の品とかもあるんでしょう⁉」

「同じように身を切らないで、対等の立場にはなれません」

「いや、でも……、ミスト?」

 ミストの目は既にアルスを見ておらず、周囲の人々に向けられている。

「私の財産を全部手放しても、一ヶ月分の給金が払えるかどうかですけど……。私は、自分の財産を手放すことを宣言します!」

(言っちゃった……)

 アルスが額を手で覆う後ろで、ミストの屋敷の前に集まった国民から歓声があがった。

「私達で、何とかしましょう!」

 王都に詰め寄った国民の混乱は、ここから少しずつ治まり出すことにはなる。しかし、まだ小さな波紋を起こす小石が投げられただけで、国中に認識を広げるには継続的な説明と努力を積み重ね続ける必要がある。

 アルスは、ミストの悪い癖が出たかもしれないと溜息を吐いた。


 …


 夜――。

 ミストの屋敷を訪れたトルスティは、ミストのしたことに溜息を吐いていた。

「この子は、本当に……」

「でも、こうでもしないと資金の捻出は出来ません。屋敷の物を売るのは考えていたことです。アルスさんが作ってくれた機会を十分に活かしたかったのです」

「まあ、いずれこうなるとは思っていましたが……」

 トルスティは持参していた鞄の中から一枚の紙を取り出した。

「ニーナ王妃を支持していた貴族達からの資金援助の約束を取り付けたものです。それでも、ミストみたいに全部を投げ打ってしまう者など居ません」

「う……」

 ミストは小さく呻いて俯いた。

 そんなミストを見て、アルスは質問する。

「ミストは大事なものとかないの? ここには、ご両親が残されたものも多いんでしょう?」

 アルスの問い掛けに、ミストは少し寂しそうな顔を浮かべて頷く。

「一番大事なものは、もうないのです」

「それは、ご両親が大事なものだったっていうこと?」

 ミストは首を振る。

「母が私にくれるはずだったものです」

「……何なの? それは?」

 ミストは一拍間を空けると、静かに話し出す。

「両親は不慮の事故で亡くなったのですが、葬式のあと、勝手に親戚の人間が家に上がり込み、形見分けと称して、私に渡るはずだった母との約束の形見の品を持って行ってしまったのです」

「そんな……」

「彼らからすれば、莫大な財産を受け継いだ私から微々たる物を取ったと思っていただけかもしれませんが……。それ以来、あまり物に価値があると思わなくなりました。だから、この家の物を売りに出しても、私はあまり気になりません」

「もしかして、この屋敷の数部屋しか使っていないのも……」

「はい。同じ理由です」

 アルスは少し不安な気持ちになった。

「それが切っ掛けで、お父さん、お母さんが嫌いになってしまったわけではないよね?」

「はい。だから、御下がりのローブだけは身につけています」

(そうか……。ミストに違和感があったのは、これなんだ)

 貴族にしては一切の化粧をせず、貴金属類の一切を身に着けていない。故にミストのローブだけが高価で目立つのだ。

「トルスティさんは、ミストのことを知っていたんですよね?」

 トルスティは頷く。

「私は、ミストのご両親が健在な時から家庭教師をしていましたからね。正直、あの出来事が、こんなにもミストを変えてしまうとは思いませんでした。でも、その反面、物より人に対しての大切さを理解してくれていると思っています」

「そうなんだ……」

 アルスはミストを見る。

「でも、少し寂しいね」

「そういうアルスさんは、どうなのですか?」

「僕? ……僕は、家ごと全部燃えちゃってた」

「人のことをどうこう言えないじゃないですか……」

 アルスは笑って誤魔化した。

(この二人は、案外似たもの同士なのかもしれませんね)

 アルスとミストを見て、トルスティは苦笑いを浮かべる。

「さて、話を戻しましょう。アルス君のお陰で、少し王都の人間が動き出しそうなのは分かりました。この波紋が広がって、サウス・ドラゴンヘッド中に広がれば、今の混乱は徐々に治まっていくでしょう。そこで、ミストにお願いしたいのは調達した資金を投資するところの洗い出しです」

「国が請け負って、対価を払っていたところですね?」

「はい。そうやって、無理にでも国の経済を回しましょう。そして、この投資の間に、以前と同じように自給自足できるような規則を作るのです」

「はい」

「そのためには、やはり政治に携わっていた人材が不可欠なのですが……。今は、当てがありません」

 トルスティのあげた問題に、昼間あがった話をミストは思い出す。

「先生。そのことなのですが、ここに押し掛けている国民からも人材を徴用したいのです」

「国民?」

「この国は新政権派の貴族中心で動く政治になっていましたが、ニーナ王妃が居た頃は、貴族は平民のために盾になり、それを支援することを国民は認識して成り立っていました。つまり、今のように貴族が仕切るのが当たり前で、それに平民がぶら下がるのが当たり前ではなかったはずです。しっかりと貴族と平民に信頼関係が備わっていたのです」

「その通りです。そして、その状態に戻すのが私達の目的です」

「だったら、一緒に手を携えるべきではありませんか? 彼らは確かに政治に対して素人ですが、今の私達も初めから創り直さねばならない手探り状態です。素人と違いはありません」

「確かに、そうですね」

「だったら、私達が創ったとするより、私達全員が携わって創った――貴族も平民も関係なく国民がサウス・ドラゴンヘッドのために動いて、国民がこの国を建て直したと共通するべきではないでしょうか?」

「なるほど」

 トルスティはミストの意見を取り入れて考え始める。強固な信頼関係を作るなら、共同作業で共通の達成感を得るのは最適かもしれない。平民が政治に関わり、法律を創るのに加われば、将来的には貴族と平民という垣根すらなくなり、平等な立場で国が動くかもしれない。

 何より、今回の事態を引き起こしたのは、身分により裁かれなければいけない者が裁かれなかったこと。果たさなければいけないことが果たされずに、貴族というだけで高い賃金が払われていた劣悪な政治のシステムに依るところが大きい。

 ならば、貴族も平民も一緒に政治を創り、対等な立場に引き上げれば、平民も政治に携われる役職に就くことが出来る。そうなれば、貴族だからと言って無駄に高い給金を税金から払う必要もなくなり、国は潤っていくはずだ。

「かなりの改革になりますね。そのためには知識のある平民を選ばなければなりません」

「そこの緩衝材には、先生がなってくれませんか?」

「緩衝材?」

「貴族だけが分かる難しい言葉や規則を普通の人に求めるのがおかしいのです。私達が彼らの視線に合わせて、分からない言葉や規則を分かるような言葉で伝える必要があるのです。同じ国の中に居るのに、同じ意識を共通できないのでは意味がありません。捨てるのは、私達の格式や見栄です」

「ミスト……」

 ミストは両手を胸に持っていく。

「あの場所に居ると、皆さんの声が聞こえるのです。彼らは間違ってなく、言っていることは正しいのです」

「ふむ……」

 トルスティは腕を組み考える。

「今こそ、ただの人間として纏まる時なのかもしれませんね。貴族と平民――この言葉を意識して捨てるところから始めましょうか」

「先生……」

「長年使って染み付いてしまったものが直ぐに抜けるとは思いませんが、ゼロから始まった時は、身分など存在しなかったはずです」

「はい」

 アルスはトルスティとミストを見て、胸の中で何か熱いものが込み上げてくるようだった。

「僕は、何が出来ますか?」

 思わず、その言葉が口を出ていた。

 トルスティはアルスを見ると、少し含みのある笑顔を浮かべる。

「アルス君には重要な役割があります」

「重要?」

「私達のマスコットになってください」

「……は?」

 かぶりを振って、トルスティは説明する。

「さっきの話で証明されたように、幸か不幸か、君には救世主というカリスマ性が生まれています」

「正直、その呼び方は大嫌いなんですけど……」

「それを利用して国民を誘導し、私達の代弁者になってくれませんか?」

「それって……」

 トルスティは、アルスの肩に手を置く。

「簡単に言えば、私達のために客を呼び寄せるピエロになってくれと言っています」

「……ピエロ?」

 アルスは、がっくりと項垂れた。

「これは、君にしか出来ません」

「それはそうですけど……」

「自分から言い出したのだから、嫌だとは言いませんよね?」

「ぐ……!」

(逃げ道を塞がれた……。この人は、こういう人だった……。勢いに乗せられて、僕はとんでもないことを言ってしまったんじゃないのか?)

 気付いた時には後の祭りだった。アルスには逆らう理由がない。

「……頑張って、ピエロを演じ切ります」

「そう言ってくれると思いました」

「先生……」

 翌日からアルスは、トルスティ達、ニーナ王妃を指示していた者達のメッセンジャーというピエロの役をすることになるのだった。

コメント(0)
この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?