翌日――。
大きなイベントが終わり、王都の街では騎士達の戦いがもっぱら話の中心になっていた。大会直後の町の住人の熱が冷めるのは、一週間は掛かるだろう。
しかし、その大会の参加者でもあったはずのイオルクには苦い記憶しか蘇らない。イオルクは二度とティーナを本気で怒らせてはいけないと後悔しながら、いつも通りの時間に家を出た。
(こんな朝早いのに、どこか賑わってるな。俺の方は暫く放っておいて欲しい話題だ)
溜息を吐いてから玄関から門まで歩き、門を出て直ぐにイオルクは家の前で人影を見つけた。その人影は。その例の大会で知りあった人物であった。
黒装束に覆面を付けたアサシンのイチが、イオルクの家の前で待っていた。
「おはよう、イチさん」
「おはようございます」
改めてイチを見たイオルクは戦いの場では気にならなかった身長が、本来は自分よりもずっと低い小柄な人物だったのだと気づく。面と向き合った時のプレッシャーは、体格の差などを気にさせない実力の持ち主なのだとイオルクは思った。
そういう印象を持ったイチに、イオルクは右手の掌を反して訊ねる。
「こんなに早く、どうしたの?」
「その、辞令が下りました……」
そう返したイチだったが、どこか歯切れが悪い。
イチの困っているような仕草に、イオルクはピーンとくるものがあった。
「ひょっとして、異動のことしか書いてなかったんじゃないですか?」
イチは覆面の下で困り顔を作って答える。
「実は、そうなのです」
「俺と同じですね」
「同じですか……」
イオルクの予想通り、ユニスの手紙には最低限のことしか書いていなかったようだ。
「俺の初日は、そのまま城まで行って衛兵に止められたところで隊長に出くわして、許可証を発行して貰うところからでした」
「そうだったのですか。では、私に不手際があったというわけではなさそうですね」
イオルクは頷きながら首を傾げる。
「あれ? でも、イチさんは許可証を持っているんでしょう?」
「はい」
「ユニス様の部屋に直接行けばよかったのに」
「命令もなく、突然、訪れるのも……」
そう言い黙ってしまったイチに、イオルクは軽く笑いながら言う。
「真面目ですね。では、一緒に行きましょう。俺が案内すれば、ユニス様に変な気を使わせなくてもいいですから」
「はい、助かります」
イオルクとイチが城に向けて、歩き出す。
「昨日、イオルク殿は途中から試合に出ていませんでしたね?」
「ああ……。ドクターストップになりまして」
(気付いたら夜だった……)
「試合には出てもいないのに、何処で怪我をしたのですか?」
「イチさんが去った後で隊長に……」
「何故?」
「イチさんを俺の独断で入れたから」
イチは覆面の下で複雑な表情を作っていた。今の話では、イオルクの判断で異動が決まったように感じた。異動を決めるのは、姫であるユニスか上司のティーナであるはずだ。
「イオルク殿――」
「名前でいいですよ。俺、鉄の鎧だし」
「そうですか……。では、イオルク。イオルクではなく、姫様が入隊を許可した状況を教えてくれませんか?」
イオルクは歩きながら答える。
「俺が『イチさん、いいじゃん』と思ってユニス様に報告して、二つ返事で決まった感じですけど」
「それで……辞令が下りたのですか?」
「はい」
「分からない……。そんな理由で辞令が下りるなど……」
城の中で猫を被っているユニスが、本来、どんな性格をしているかを知る者は少ない。本当にイオルクの進言を面白そうだと感じて入隊を決めてしまったのだと言われても、なかなか信用できるものではない。
イチは悩みながらも続ける。
「姫様直属の部隊は、少数で狭き門と聞いていますが?」
「狭き門でしょうねぇ……。なんせ、ユニス様の趣味と一致しないと入隊できませんから」
「は?」
「ユニス様は、むさ苦しいのとお堅い輩が大嫌いです」
イチは足を止めた。
「……冗談を言っているのですか?」
「事実です」
同じように足を止めて答えたイオルクに対し、詰め寄るようにイチが質問を続ける。
「では、貴方の選考基準は何だったのですか?」
「俺の場合は好奇心ですね」
「……は? 好奇心?」
イオルクが腰に右手を当てて言う。
「四年連続で皮の鎧に居た男を知っていますか?」
「何を突然……」
「まあ、答えてみてよ」
「……聞いたことはありますが、噂で聞いただけですよ?」
「それ、噂じゃなくて本当です。俺です」
「…………」
イチは変な噂の人物を前に言葉を失った。
「ユニス様は、俺の筆記試験の落第の真相を知りたくて、俺を入隊させました」
覆面の下でイチの顔が引きつる。
「う、嘘……ですよね?」
「本当です」
「で、では、ティーナ殿は⁉」
「理由は知りませんが、あの人は実力で選ばれたと思います」
「そう……ですよね」
イチはホッと息を吐く。
「むさ苦しくありませんし」
イチが安心したのも束の間、覆面の中では眉間に皺が寄った。
覆面に両手を当てて、イチは自分の姿を気に掛けて零す。
「ひょっとして、覆面は外した方が良いのだろうか?」
「そこはユニス様の判断に任せていいんじゃないの?」
「…………」
イチは、ユニスのことが分からなくなった。
…
城に着くと、イオルクはイチを連れてユニスの部屋ではなく修練場へと向かう。
「朝は隊長と手合わせしているんです」
「そうですか」
(それで、待ち時間も少なく顔を合わせることになったのか)
イチは普段より早めに家を出たにも関わらず、イオルクと直ぐに出会えた理由に納得した。
そして、入り口から遠くない場所にある修練場に着くと、ティーナが先に軽いストレッチをしていた。
「隊長、おはようございます」
「本日から御世話になります」
イチがティーナに頭を下げると、ティーナはストレッチを切り上げてイチに近づく。
「イチ様、そんなに畏まらずに」
「御心遣い感謝します。それと、私のことはイチで構いません。アサシンとしての偽名に様をつける必要はありません」
ティーナは静かに頷く。
「分かりました。同じ隊ですから、気を遣わないようにします」
「そうして頂くと、私も気が楽です」
ティーナとイチは急速に打ち解けているようだった。
また、ティーナは、ここ一年近く味わっていない普通の会話に少し感動していた。
「隊長、今日はどうします?」
しかし、イオルクが、否が応にも現実へ引き戻す。感動に浸る時間は長くは続かない。
ともあれ、今は修練のための時間であって、会話をするための時間ではない。
ティーナは気持ちを切り替える。
「そうだな……。模擬線を交代でやるか」
その答えにイオルクは頭を傾ける。
(交代制だと一人余って、時間が勿体ない気がするな)
何か効率のいい方法はないかと考え、イオルクは直ぐに手を挙げる。
「隊長、提案!」
「何だ?」
「三人一編にやりませんか?」
「何?」
「三人全員が敵という設定です。より実践的でしょう?」
ティーナが腕組みをして考える。ティーナ自身は、それはそれで面白いと考えた。
「イチは、どうしますか?」
「私は……暫く訓練は自主練習でしたので、是非」
「分かりました。イオルクの案で模擬戦をしましょう。――では、倉庫に」
倉庫を指差したティーナに、イチは疑問を呈す。
「練習用の物を使うのですか?」
「はい。本物でないからこそ、思い切り打ち込めるので」
イチは『ここには自分の望んでいたものがある』と覆面の下で微笑む。より実戦に近づけるために練習用の武器を使うという理由が気に入った。
そして始まった三人での手合わせは、予想以上に厳しいものだった。
レイピアを使うティーナ、二刀流で短刀を振るうイチ、槍を振り回すイオルク。相手をしている者が一人から二人に臨機応変に変化し、攻める時も個人であったり一時的な協力関係であったりして気が抜けない。
イオルクとティーナがいつも費やしている時間よりも、十五分も前に三人の息が切れ出した。
「これ、思ったよりハードだ……」
「確かに……。戦場で敵が仲間になることもないし、仲間が敵になることもないからな」
「肉体的にも精神的にもきつい……」
銀の鎧の実力者が二人とイオルクの実戦まがいの模擬戦は変則ルールで凶悪化し、肉体だけでなく精神も疲れさせた。当然、普段以上の運動量をこなせば、普段以上の汗を掻く。この一年、ここまで疲れた朝の手合わせはなかったかもしれない。
イオルクはべっとりと張り付いた自分の服を摘まむ。
「隊長、ユニス様に会う前に汗流してきます。このまま会ったら怒られる」
「そうだな」
「私も、初日から不快な思いをさせられない」
イオルクは、ティーナとイチと別れると男性用の浴室へと姿を消した。
そして、十五分後、身を清めた三人はユニスの部屋へと向かった。
…
ユニスの部屋――。
いつも通り、ノックの後のユニスの返事でイオルク達は入室する。そして、今日からは、その入室する人物が一人増える。
ユニスは、笑顔で三人を迎え入れた。
「おはよう」
「「おはようございます」」
「おはよう、ユニス様」
イチがイオルクを不思議な顔で見る。
(何故、イオルク殿は姫様に敬語を使わない?)
そんなイオルクを不思議そうに見つつも気を取り直し、イチはユニスに新任の挨拶をする。
「本日から、御世話になります。イチという名で動いているアサシンです」
「よろしくね」
「はい」
ユニスは三人並ぶ中からイオルクに視線を向けると、チョイチョイと手を動かしてイオルクを自分の座っている机の側に呼ぶ。
「何ですか?」
イオルクが側まで来ると、ユニスがそっとを右手を縦にして口元を隠し、小さな声でイオルクに囁く。
「ティーナみたいに堅い子じゃない」
「でも、むさ苦しくないですよ」
「そりゃそうよ」
「見ただけで分かります?」
「まあね」
「覆面してても?」
「当たり前よ」
「髭面かもしれませんよ?」
「有り得ないわ」
「どうして?」
「女の子に髭は生えないわ」
「……女?」
「そうよ」
「イチさんが?」
「貴方こそ気付かないの?」
「覆面してるじゃないですか」
「声の高さからも分かるでしょう」
「いや、まったく。それに女だったら胸が出てるでしょう? 真っ平らですよ?」
その時、ポンとイオルクの右肩が叩かれた。
声はかなり落としていたはずなのだが、当の本人には聞こえていたらしい。イチが後ろから、がっちりとイオルクの右肩を掴んでいた。
「オイ」
「イチさん?」
イオルクが振り向くと、イチは黒装束の胸を開く。
「サラシを巻いてある。私は女だ。納得か?」
「…………」
イチは女であることを主張したかったのか?
それとも、胸が小さくないことを主張したかったのか?
どちらにしても、イオルクの視線は一点に釘付けになった。
「あの……もう暫く、そのままの状態でいてもらっていいですか? 今度から性別を間違えないように、この圧迫された貴重な胸の形を目にしっかりと焼き付けておきたいので」
ティーナのグーが、イオルクに炸裂した。
「この不埒者が!」
「健全な男子の反応ですよ」
「姫様の前だ! 何て醜態を曝しているのだ!」
イオルクはユニスの胸に視線を移す。
「お子様には早い話題でしたね」
ユニスのグーが、イオルクに炸裂した。
「イオルクの馬鹿!」
イオルクは頭を擦る。
「ユニス様、隊長の真似をすると立派なレディになれませんよ?」
ティーナのグーが、イオルクに炸裂した。
「失礼なことを言うな! また医務室送りにされたいのか!」
着崩した黒装束を元に戻しながら、イチが項垂れる。
(今朝、イオルクが言っていたことは本当だったのか……)
項垂れるイチの前で、ユニスとティーナが更なる追撃を加えようとイオルクに迫っていた。
それをイオルクが両手でユニスとティーナを遮る。
「分かりました。すみません。俺が悪かったです」
事態はやや収拾する。
しかし、イオルクが事態を収めようなどと考えているはずもなく、直ぐに別のことに興味が移り始めた。
「ところでユニス様、気になりますね」
「何が?」
「イチさんの素顔です」
目の前の状況に、イチが覆面の下から鋭く問い掛ける。
「イオルク。今朝、貴方は『ユニス様に御任せしろ』と言っていませんでしたか?」
「言いましたね。そんなこと」
「では、姫様にお任せして黙っていなさい」
「そうはいきません」
イチに向き直ると、イオルクは拳を握って力説する。
「俄然、興味が湧いてきた! 野郎じゃないと分かったら、特に!」
「昨日、手合わせして出来た尊敬の念が消え失せていく……」
がっくりと肩を落とすイチを無視し、イオルクはユニスに詰め寄る。
「是非、覆面排除の許可を!」
「どうしようかしら?」
イオルクと違い、イチをティーナと同じタイプの存在としてしか見ていないユニスの反応は、今一鈍い。
イオルクが興味を出させるため、耳打ちするように言う。
「もしかしたら、ひょうきんな顔をしているかもしれませんよ?」
ユニスがピクリと反応する。
「×××で○○○で△△△みたいな顔をしているかもしれませんよ?」
ユニスの目が輝いている。
(昨日の会話通り、本当に近い感覚を持っているのかも、この二人……)
イチは肩を落とした姿勢のまま、昨日のイオルクとの会話を思い出していた。
そんなイチの内情など知らず、興味という好奇心が充填されたユニスが咳払いする。
「イチと言いましたね。覆面を取ってください」
「姫様!」
ティーナが諌めようと声を発した横で、イチは更に深く項垂れていた。
(……私は破滅の道を歩んでいるのではないだろうか?)
イチは本気で後悔し始めていた。
「さあ、イチさん! パパッと!」
目の前では主人を煽った馬鹿な男のせいで、ユニスの目が爛々と輝いている。イチは溜息を吐くと、諦めたように覆面を取り始めた。
好奇の目をイチに向けるイオルクとユニスを見て、ティーナは額を押さえて項垂れる。
そして、晒される素顔。そこにはショートカットの黒髪と、目が大きくパッチリしている少女の顔があった。
「可愛い……」
「童顔とも言うが」
イチのグーが、イオルクに炸裂した。
「ハッ⁉ 体が勝手に⁉」
イチは殴った後に驚く。得体の知れない毒は確実にイチを侵食し始めていた。
咳払いをして、イチはユニスに話し掛ける。
「兎に角、これで満足ですか? 姫様」
「え? ええ」
ユニスは質問を閉じるが、イオルクには、まだ残っていた。
「イチさん、いくつですか?」
「ティーナ殿と同じです」
「ユニス様と同じぐらいに見えるんですけど……」
「背は、私の方が高いでしょう」
「まあ」
イオルクが黙ると他に質問する者は居なくなり、ユニスはイチの素顔を見たことで、満足した顔をして言う。
「では、イチは、今からそのままで」
「え?」
「いいじゃない」
「そうも、いきません。アサシンである以上、顔を晒し続けるわけには……」
ユニスがイオルクに縋って腕を掴む。
「何か、いい手はない?」
ユニスとイオルクに、ティーナとイチの座った目が向く。
(最近、困るとイオルクを頼るようになったな……)
(この二人……。実は兄妹なんてことは……)
しかし、ティーナとイチが呆れて下げずんだ目を向けても、無駄な頼みを忠実に応えるのがイオルクである。
少し考えると、イオルクはポンと手を叩いた。
「顔を見せてもいいようにアサシンの職業を変えましょう」
「「「は?」」」
「今日から、イチさんは斥候ということにすればいいんです」
イチが思わず声を上げた。
「ちょっと待ってください! 何故、ワンランク低い斥候になってしまうのです!」
「嫌ですか?」
「私の努力を無にしないでください!」
「そうですか」
イオルクは、また無駄に頭を働かせて言う。
「では、新たな職業を作りましょう」
「は?」
「何がいいかな~……」
真剣に考え出したイオルクを見て、イチがティーナに耳打ちする。
「イオルクは本気で考えているのですか?」
「いい加減な奴だからな。何処まで本気なのか……」
イオルクが、何か思い付いた。
「スーパーアサシンとかは?」
「酷いネーミングセンスだ……」
「嫌よ。そんなの」
「じゃあ、いっそ三人纏めてとかは、どうですか?」
イオルク以外の三人に疑問符が浮かぶ。
「王の親衛隊とかって言ってたでしょう? 人数が増えたことだし、それのユニス様版です」
「わたしの親衛隊かぁ」
ユニスは満更でもないような顔を浮かべる。
「名前は三馬鹿トリオみたいに、しっくりと来るのがいいですね」
ティーナとイチのグーが、イオルクに炸裂した。
「「ふざけるな!」」
「二人とも、短い間にいいコンビネーションを身につけたわね……」
(まあ、実際、わたしの親衛隊が三馬鹿トリオって嫌だけど……)
イオルクは頭を擦りながら、イチに訊ねる。
「じゃあ、どんなのがいいんですか?」
「今まで通り覆面をつければ解決です」
「「え~」」
ティーナはイオルクを指差してユニスに憤慨する。
「姫様! 何を考えているのです! こんな馬鹿に毒されて!」
「それって、遠回しにわたしを馬鹿って言ってない?」
「言っていません! 決して、そのようなことは……」
(ティーナ殿って苦労しているな……)
そして、散々場を荒らした張本人が、また別の案を出す。
「じゃあ、分かりました。アサシンとかって拘ってんのがいけないんだ。イチさん、あなたも今日から騎士にしよう」
「「「は?」」」
「ユニス様の部隊に差別はなし! 全員騎士!」
「あ、それいい!」
ユニスはパッと笑みを浮かべ、イチは苦笑いを浮かべる。
「私が騎士ですか……」
「決定! わたしの部隊は全員騎士です!」
イチは『参りましたね』と肩を竦めるが、この部屋に反対をする者は居なかった。
「私も賛成です」
「ティーナ殿?」
ティーナが腕を組んで言う。
「前々から弱い騎士が大きい顔で歩いているのが気に入らなかった。職業に差別など持ち込むべきではない。実力があるなら正当な評価を受けるべきだ。我々の部隊だけでも、真意を貫くのはいい」
「隊長、職業の差別化嫌いだったんだ」
「当然だ! 強さこそ正義だ!」
(正義って色々あるんだな……)
イオルクには、他にもティーナが正義を語っていたような記憶があった。
そんな息まくティーナにイオルクは訊ねる。
「じゃあ、別の質問」
「何だ?」
「隊長とイチさん、どっちが偉いの? 力こそ正義なんでしょう?」
イオルクの質問にティーナは困った顔でイチを見た。二人とも同じ銀の鎧の位で明確な差はない。
「わたしが決めます」
と、ここでユニスが前に出る。
「隊長は、今まで通りティーナ。副隊長がイチ」
「何で?」
両腰に手を当ててユニスが言う。
「だって、新任で何も分からないのに隊長にしたら苛めよ」
「それもそうか」
こうしてドタバタしながら、イチの異動は終了した。
また、元から銀の鎧のイチには特に説明することもなく、仕事に慣れるのに何日も必要としなかった。
ティーナは最初こそいい加減な異動に腹を立てていたが、結果的にはユニスとイオルクの抑止勢力が増えて一番喜んでいた。