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ずっと一緒じゃけぇの
ずっと一緒じゃけぇの
初心なグミ
歴史・時代日本歴史
2024年11月13日
公開日
3,805字
完結済
「私」には、たった一人の友達が居た。その友達との日々は楽しくて、よく伝承遊びを一緒にして遊んでいた。貧しくとも平和な二人の世界。でもその平和は脆くて、一瞬にして灰となって崩れ去ってしまったのであった。

【私が殺した「うち」は、私の中で生きて逝く】

第1話 たった一人の友達


 千九百四十一年、十二月七日……当時六歳。

 長閑のどかな田舎の村に、私は住んでいた。

 村の辺り一面にはアメンボがプカプカと浮く、大きな田んぼが広がっていた。

 私は村の友達と田んぼの間を縫う様に駆け回っては、よく二人で鬼ごっこ等の伝承遊びをしていた。

 たった二人だけでの伝承遊び。

 それでも友達と遊ぶ日々は楽しくて、今でもその光景を鮮明に思い出しては感傷に浸っている。


―――


うち……のり典子ちゃんと、ずっと一緒におりたい……」


わやめちゃくちゃいなげなこと言うのう、やすちゃん。うちとやす安子ちゃんは友達でがんす。じゃけえだから……そがいにそんなに悲しまんで」


「何かのう、やすちゃん。えらいすごくいなげに変にばちあばすれる騒ぎ立てるでのう……心配でがんす」


しゃーなー大丈夫、ずっと一緒じゃだよのすけるこっちでがんす!!」


 うちは、やすちゃんの手を引くと鮮やかな薄紅緋色の夕陽へと駆けた。


「うん!ずっと一緒じゃけぇの!!」

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