「21ポイント3ゲームマッチ、ラブオールプレー」
主審のコールの後、対戦相手と、コートの角に座る線審二人を含めた審判三人に「お願いします」と会釈をして、ゲームがスタートする。
2ゲーム先取した方が勝ち。相手選手は3年生だ。試合前の
「
言いながら私は、腰の後ろに送ったラケットの持つ手でサーブのサインをする。グリップから小指だけを離して、ショートサーブのサインを出すと、私の後ろでラケットを構える美鳥から「はい1本!」と返ってきた。
それを合図に私は
パン!
私の対角線上でサーブを受ける相手選手は、シャトルをラケットの面で押すようにストレートに打ち返した。
「お願いっ」
そう言って、奥に上がった打球を美鳥に託す。
私は前を見たままサーブの位置から下がり、コートの真ん中へ行く。つまりセンターラインを跨いで立って、ホームポジションで次の動きに備えたのだ。
パァンッ!
美鳥はストレートにスマッシュを打ち返した。
その返球と同時に、私はやや右側寄りに移動する。この方が、左奥で打ち返した美鳥とのバランスがいいからだ。
スマッシュはスピードが出る分、相手選手からの返球時間も短い。左前に返球される時のことも考えると、やや右側寄りが私にはベスト。
「フォルト。ポイント
けれど美鳥のスマッシュに対応し切れず、相手選手の返球はネットに
美鳥、ナイスショット!
「ナイスショーッ!」
そう美鳥と声を揃え、私はセンターラインを跨いで、コートの左側へ移動した。奇数点は左側から。
再び対角線上に立つ相手選手へ、私はショートサーブを放つ。
今度もストレートに返ってきた。右側、私のフォア側に。
奥に向かって打ち上がろうとした、その相手選手からの返球を、私はネット前ですぐに捕まえた。コートの一番外側の線、サイドラインぎりぎりを狙ってプッシュ。
すぐに反応して、上から押し返したその打球には速さがあり、サーブを受けた相手選手のラケットをすり抜けた。
「イン。ポイント
おまけに打球と反対側に構えていた、もう一人の相手選手が打ち返すにはコースがきつく、私のショットは見事に決まったのだった。
ナイスコースだ!
「綾、ナイスコーッ!」
うん! いい感じだ!