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第3話 ただ好きだから=ep3あやみ・みどりペア=

「21ポイント3ゲームマッチ、ラブオールプレー」


 主審のコールの後、対戦相手と、コートの角に座る線審二人を含めた審判三人に「お願いします」と会釈をして、ゲームがスタートする。

 2ゲーム先取した方が勝ち。相手選手は3年生だ。試合前のじゃんけんトスに勝った私たちからのサーブ。始めは0、偶数なので右側から。


1本いっぽーん


 言いながら私は、腰の後ろに送ったラケットの持つ手でサーブのサインをする。グリップから小指だけを離して、ショートサーブのサインを出すと、私の後ろでラケットを構える美鳥から「はい1本!」と返ってきた。


 それを合図に私はかかとを上げると、相手コートの一番手前の線、ショートサービスラインに向かってサーブを打つ。


 パン!


 私の対角線上でサーブを受ける相手選手は、シャトルをラケットの面で押すようにストレートに打ち返した。


「お願いっ」


 そう言って、奥に上がった打球を美鳥に託す。

 私は前を見たままサーブの位置から下がり、コートの真ん中へ行く。つまりセンターラインを跨いで立って、ホームポジションで次の動きに備えたのだ。


 パァンッ!


 美鳥はストレートにスマッシュを打ち返した。

 その返球と同時に、私はやや右側寄りに移動する。この方が、左奥で打ち返した美鳥とのバランスがいいからだ。

 スマッシュはスピードが出る分、相手選手からの返球時間も短い。左前に返球される時のことも考えると、やや右側寄りが私にはベスト。


「フォルト。ポイント1‐0ワン・ラブ


 けれど美鳥のスマッシュに対応し切れず、相手選手の返球はネットにはばまれた。

 美鳥、ナイスショット!


「ナイスショーッ!」


 そう美鳥と声を揃え、私はセンターラインを跨いで、コートの左側へ移動した。奇数点は左側から。

 再び対角線上に立つ相手選手へ、私はショートサーブを放つ。


 今度もストレートに返ってきた。右側、私のフォア側に。

 奥に向かって打ち上がろうとした、その相手選手からの返球を、私はネット前ですぐに捕まえた。コートの一番外側の線、サイドラインぎりぎりを狙ってプッシュ。


 すぐに反応して、上から押し返したその打球には速さがあり、サーブを受けた相手選手のラケットをすり抜けた。


「イン。ポイント2‐0ツー・ラブ


 おまけに打球と反対側に構えていた、もう一人の相手選手が打ち返すにはコースがきつく、私のショットは見事に決まったのだった。

 ナイスコースだ!


「綾、ナイスコーッ!」


 うん! いい感じだ!

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