「まさか三波さんまで1度で倒してしまうなんて、ちょっと意外でした。みなさんのユニフォームに対する執念には脱帽いたしますね」
「いいから上げるよー?」
そう私が話を遮ってサーブの構えを取ると、二葉さんは何か言いたげにこっちを見た。けれどすぐに眼鏡をくい上げして、ラケットを構えてくれる。
タンッ!
私が放ったサーブは、二葉さんの頭上を目掛けて下降していく。
「頑張れー」という二人の声援と、一人の熱視線を受けた二葉さんの表情が読み取れないのは、眼鏡に天井の照明が当たっている所為だ。
でもたぶん、プレッシャーは相当かかっているはず。――内心焦っているとみた!
「これくらい朝飯前です!」
強気な言葉とは裏腹に、二葉さんのフォームは伸びやかで綺麗である。
けれどラケットを振り下ろすと、打球はアウトコース一直線へ。ライバルは減るに越したことはないし、望んでいたことだったけれど、シャトルケースから大幅に
「ま、まぁ、3回勝負にしなかったのは私の優しさです」
つまり3回チャンスがあれば、勝っていたと?
「何それっ? 負けず嫌いだなぁ」と、ツンを貫き通す二葉さんを、みんなで笑った。
二葉さんは目を
それからは、あっという間に勝負が着いた。
私と三波さんは外してしまい、かりん・まりんペアのサドンデス。勝敗はその1回で分かれた。
「茉鈴ちゃんの優勝で~す♪」
アイドルのように手を振ったり、ウィンクをしたりする茉鈴に、仕方がない拍手してやるかという感じで、みんなで力なく手を叩く。もちろん冗談でだ。
そうして私たちは、ふざけ合っている内に何だかんだでお互いを名前で呼ぶようになり、シャトルコックチャレンジ対決は幕を閉じたのでした。