四谷さんと伍井さんの視線が、私にプレッシャーを与えてくる。
うう。こんな風に改まって名前を呼ぶなんて、恥ずかしいんですけれど。
でもこのまま二人のおもちゃにされっぱなしも困るし、背に腹は代えられないか……、もぉぉ~!
「か、かりん……? ま、まりん……?」
私は花林と茉鈴の顔を交互に見て言った。無駄に勇気を出して言ってやりましたよっ。
それなのに二人は「ぷっ」と息を吹き出して、それからお腹を抱えてケラケラと笑い始めた。
「もう! からかわないでよ!」
うう。顔が熱い。
というか、もっとこう……高校生らしく爽やかにさぁ、友情を育んだ後とかにあったと思うんだ。名前を呼び合うような、自然なタイミングが。
「はい、では続けますよ。次は三波凜々果さんの番ですね……三波凜々果さん? 指を
「……わかりましたわ」
私たちの茶番を羨ましそうに見ていた三波さんだったけれど、シャトルが上がった途端、目の色を変えた。
「やあですのっ!」
凄まじいインパクト音の後、三波さんの長い腕から放たれたスマッシュは、物凄い速度でネットを通過した。そしてその打球は、コートの脇で見ていた私たちの前髪を巻き上げて、シャトルケースを
「ええっ⁉ 貫いちゃったの⁉」
私が
その二人から受け取ったケースに開く穴を見て、私はまた
「本当に射貫かれてる……」
「当然ですの!」
そう言って、お嬢さまは得意気に鼻を高くするのでした。