「
親友は私にそう言って、バドミントンコートを去って行った。
はあ⁉ ちょっと何が部内恋愛禁止だからねー、なのよ!
あんたでしょうが、恋に現を抜かしているのは!
馬鹿らしくて、悔しくて、いつの間にか私は頬に情けない涙を流していた。
中学最後の春。三年間ずっと一緒にダブルスを組んでいた親友に、私は突然捨てられた。
理由はシンプル、且つゴミ。親友が密かに恋をしていた同じ部の男子が、私に告白をしてきたからだ。
そりゃあ私は……そういうのに疎くて、どっちの気持ちにも気付けなかったけれど……。
でもだからって、これまで切磋琢磨してきた、あの時間は何だったの⁉
私たちって……仲良しコンビじゃなかったの……?
もうっ、恋の馬鹿やろーーーー!!
「――ふぁ⁉」
悪夢から目覚めて我に返る。自分の叫び声を聞いたと思われるクラスメイトたちの視線が集まり、私は顔を赤面させた。
「登校初日から居眠り、そして馬鹿やろう発言とは、なかなかの強メンタルをお持ちなんですね
「あ、あなたは
「ええそうです」と、目を
おでこを見せるように前髪を留めたロングストレートと眼鏡。そしてEカップが特徴のようだ。
彼女は、この
ん~成績トップって言っても、どうなんだろ?
「ねぇ。あなたは中学の時、バドミントン部だったのでしょう? どうしてこの学校に来たのですか?」
「え? ああまぁ、い、色々あって……。でも、なんで二葉さんがそれを?」
「私もバドミントン部だったからです。はぁ、私の悪い癖ですね。少し高みを目指し過ぎたようで、うっかり私もバド部がない高校へと進学いたしました」
……つまり志望校に落ちたのね。
私の哀れむ目なんて気にも留めず、二葉さんは再び眼鏡をくい上げして、表情を凛と正した。
そして私に視線を戻すと少しだけ口角を上げ、とんでもないことを言い出すのだった。
「さあ、一ノ瀬綾海さん。今から私たちで、新たにバドミントン部を立ち上げますよ?」