「ふぁ⁉ 部活を新設するの⁉」
「ええそうです」と、二葉さんは眼鏡をくい上げする。
いやいや無理だって。それに私、嫌だよ。睦高に入学した意味ないじゃん。
それにまた、親友だと思っていたあの子と顔を合わせなきゃいけなくなるかもしれないのは、もう……。
「わっ、ちょっと二葉さん⁉」
「行きますよ! うかうかしていたら、ライバルたちにばかり練習の時間を与えてしまいますからね!」
「ええっ、嘘っ。本当に今から⁉ というかっ、私には拒否権ないの~⁉」
二葉さんに腕を引っ張られ、連れて来られたのは1年B組。ちなみに私たちはE組ね。
「どうしてここに? 職員室にでも行くのかと思った」
「まずはメンバー集めからです。ここには、
「え!
「ええそうです」と、二葉さんは眼鏡をくい上げする。もう何回目よ、それ。
でもなんで、かりん・まりんペアが、バド部のない睦高なんかにいるんだろう?
「あ、いたいた……。四谷花林さん、伍井茉鈴さん、少しお話よろしいでしょうか」
二人は「なん?」と声を揃えて振り向いた。ビー玉のように真ん丸で綺麗な瞳が私たちを映す。
わ! 本物だ!
手の届かない存在である二人を眼前に、私は一瞬にして緊張が走った。
だって双子のように息の合ったプレーをする彼女たちは、県大はもちろん、全国大会にも進出するようなレベルの選手たちなのである。
背格好も容姿も双子のようで、二人とも髪を二つに結んでいる。四谷さんはツインテール、伍井さんはツイン三つ編みだ。胸の大きさは、どちらもBカップとみた。
「ちょっと茉鈴、突然の爆乳よ」
「リアルで拝めるなんて、入学早々にして
え、待って。なんか思い描いていた人物像と違うんだけれど……。それに爆乳違うし。
「なになにっ? 私たちに何か用なのっ?」
「もしかして、さらなるバストアップを望んで私たちに会いに来たのっ?」
二人は片手に持っていた、
敬遠されなくて何よりだけれど、身の危険を感じて仕方がない。そう思って私は、自分を抱きしめるように胸を隠す。
怯える私をよそに、二葉さんは堂々とした態度のまま、眼鏡をくい上げすると言った。
「いえ、違います。私たちはこれからバドミントン部を新設するので、ぜひお二人にもご同行をして頂きたくお願いに来ました」
「ちょっと二葉さん“私たち”って、勝手に困るよ。私は立ち上げにも参加しないし、入部する気もないんだからねっ?」
私は二葉さんへそう訴える。その傍ら二人も「え~っ?」と面倒くさそうに声を上げると、仲良く眉をぐにゃりと曲げたのだった。
「私たちまたバドやんの? やだよ。だってもう知っちゃったもんね、茉鈴?」
「そうよ、そう。きつい練習後の百合ものより、いついかなる時も浴びるように読める自由な時間をね?」
浴びるようにって、お酒じゃないんだから。
「——って、ちょっと何、二葉さん?」
二葉さんに後ろから肩を掴まれた私は、ぽかんとなった。
「はい、どうぞ。お好きなようにしてもらって構いません」
「ええっ⁉」
キラリーンと放たれた4つの眼光が自分の胸に注がれ、私は戦慄した。私は身震いを起こしながら、慌てて胸をガードする。
けれど相手の方が一枚も二枚も
「
「ね、花林?」
「へ? 何、きゃっ!」
ガバッと伍井さんにセーラースカートを捲られた。
「「水色~♡」」
もうっ、かりん・まりんペア~! こんなことに息を合わせるなんて、絶対に違うんだから~!!