つい一時間ほど前に喧嘩別れしたばかりなのに、もう自分の目の前に姿を見せてくれた二人。彼ら優しさや温かさを感じた。
二人が
「このバンドは大変だぞ」
「わかってますよ」
意地悪そうな声の
「
「僕もだよ。
彼らの言葉に
なんでもっと早く気づかなかったのだろう。三人が
だが、彼らの
感傷に浸っていると次は
その視線は
「俺も
「
いつも以上に真剣で男らしい声色に、
他の三人の言葉が薄っぺらかったわけではないが、
唇を噛み締め、破裂しそうな想いを必死に堪えて
「私もだよ。みんなが私とバンドを一緒にやってくれて、私は夢を追いかけられてる。私の方こそ、感謝してるんだよ」
軽音楽部が廃部になってから、半年ほど一人で活動していた。報われない日も多々あり、何度涙を飲んだことか。
だが、
その日から
襲われた時は、下心満載だけだったと知り、また絶望したが、
そうしたら、彼は本当に音楽を好きになってくれた。
その後、
その直ぐに伝説を超える宣言。
スタープロジェクトが始まり、
この過程がなければ
今まで起きた出来事を胸の中だけで思い出し、必死に想いを伝えていく。
浮かぶ涙には純粋な気持ち以外込められておらず、彼女の人間性が今の言葉に全て込められているのを四人は感じ取る。
「やっぱ
「そうですね」「そうだな」
「もう、おだてすぎだよ」
楽天的な性格の彼女でも今のは恥ずかしかったらしく、顔を首にしているマフラーで隠す。
その姿に
だが、
しばらく、じゃれ合う五人だったが……
「みんな、ちょっといいかな?」
「みんなでこの歌、歌わない?」
提示された曲に、
「そうか、まだこの時は二人はメンバーじゃなかったもんな」
「そうだな」
「いいね!」「いいですね」
説明を受けて二人も了承。しかし、まだ肝心なことが決まっていなかった。それは……
「歌詞が決まってないんだよね」
提供してもらったのは楽曲だけ。この歌を歌うとなると、残り九日で歌詞作成、演奏練習をしないといけない。そして、最終日に演奏。
それでランキング百位以内に入れるか。
五人でランキングを確認する。
八十八位という予選突破圏内にいる
「でも、これがいい」
「やっぱ、
「そうですね」
「何よそれ!」
全員が
彼らとしても、彼女の意見に賛成だ。たとえ、この選択で敗退したとしても彼女の、自分たちの後悔する選択だけはしたくないのだ。
「じゃあ、明日から練習再開だな。スタープロジェクト絶対優勝するぞ!」
『おー』
気合を入れていく五人。だが、
「ごめん、お腹鳴っちゃった」
恥ずかしながら
「なら、みんなでハンバーガー食べに行こうぜ。
「いいですね」
「歌詞についてもそこで話し合ええるしな」
「ハニー、おすすめ教えてよ」
「じゃあ、決まりで。いいよな
「うん、行こうか」
五人は楽しそうに雑談しながら目的の場所へと向かっていく。
その後ろ姿には今まで以上に絆が芽生えている