帰路に着いた
学校からは意外と遠かったのだが、そんな事は
彼の家の前にたどり着いたのだが……家の中から急に乱れた服を着ている女が飛び出してきた。
それを見て美月は危険な香りがしたが、
カーテンが完全に閉められており、電気も消されていた。
誰もいない。それが少し怖く、今にでも引き返そうと思ったが、彼の身に何かあったのかと思った美月は、恐怖を押し殺して前へと進んでいく。
ひとつの部屋から声が聞こえてきた。
「テメェ、なんで学校休んだ? テメェさえいなけりゃ、さっきの女と楽しく遊べたってのによ! なに逃してくれてんだよ!」
「あの子はお前の便利な道具なんかじゃない!」
「テメェだって女と楽しく遊んでたじゃねぇか。人のこと言えねぇだろ」
父親の言葉に翔兎は黙り込む。
「まぁ、テメェの方は女の方から求められたやつだけどな。夜な夜なアプローチされて羨ましいぜ。イケメン君」
そんな痛々しい姿を見て
「
なんでここにいるという目で
「おっ! この前の女。やっぱ
そう言って、
完全な男の目をしている目の前の男に恐怖を感じ、一歩も動く事ができない。
「やめろ!」
だが、それを無視して男は乱暴に
それを見て
「邪魔!」
そう一言だけ言われ、
「黙って見てろよ」
そう言った後、男の手が
気持ち悪い。やめて……
服の上からとはいえ、好きでもない男に触られた事実に、無意識に涙も溢れてくる。
これほど心が痛む思いはしたことがない。
怖い。怖い。助けて……
「小せぇけど結構いいじゃねぇか」
手の感触を確かめ、次は下へと手を伸ばす。
「いやー!」
男の手が伸びていくのを見て、暴れ出し、最低限の抵抗をしていく。
「暴れんじゃねぇよ! もう逃げ場なんてねぇ。俺と楽しもうや!」
「やめろって言ってんだろうが!」
暴れている
「じゃあ、始めようか」
もう終わりだ。なんでこんな目に……
現実を呪う反面、現実から目を背けようと目も
「動くな!」
音の後、たくさんの警官たちが押し寄せてきた。
男は現行犯で逮捕され、警官たちに連れて行かれたが、「テメェら覚えとけよ!」と二人に捨て台詞を吐きいていった。
「よかった! 無事だったんだね」
「
「あのパトカーは
「うん、余計なお世話かもしれないけど、
「カーテンは閉まってたはず……」
「ちょっと空いてる場所があったよ」
偶然に偶然が重なった結果だが、それで
「ごめんね。ありがとう」
「しつこい女かもしれないし、
「ごめん……俺は君を傷つけた。だから関われない」
「そんなの関係ないよ!」
「でも……」
自分は気にしていないと伝えていくが、
「
今の出来事を上げ、自分への誠意は見せてくれたと伝えていく。
それでも
「私ね。昔いじめられてたの」
急な
それでも、
「母子家庭が原因だった。『貧乏人なのにピアノなんてやりやがって』とか言われてね。私が他の子よりすぐに上達するから、それを
笑いながら過去のことを話していく。
「でもね、私にとっては辛かったんだ。誰も味方がいなかったから。そんな時に
一度は拒否された手をもう一度伸ばす。今度は掴んでもらえると信じて。
だが、差し伸ばされた手は
こんな自分を思ってくれる。あんな最低なことをしたのに……
そんな彼を