「なぜダメなのか」という感情が渦巻き、彼が拒否した理由を考えていくが……結局、答えを導き出す事ができなかった。
「
声をかけながら、自分の元へと駆けてくる
急に抱きつかれ、「もう大丈夫なの?」と声をかけてくれる。
「大丈夫だよ。心配かけてごめんね」
「そうだよ! だから私言ったじゃん! あの男には気をつけなって。で、何もされてない?」
「うん……大丈夫」
それは彼を救ってあげたいと思っている
だが、彼が自分を拒否している間は、こっちからも近づけないのだが……
そんな時、
「そういえばさ、
「あぁ、それね。隣のクラスにいるのよ。彼の幼馴染の子が。アイツのこと気になったから、彼女に聞いたら、碌でもない男だってわかったのよ。その子もほぼ絶縁状態だって言ってたし」
幼馴染。
そのワードが美月にある考えを思い付かせた。
幼馴染という事は、彼のことを詳しく知っている。そこに今、自分の悩みの解決策があるのではないかと。
「ありがとね」
「ちょっと、
そう言って、
幼馴染の子に会いに行くのは、放課後ということにした。
放課後。
「
まだたくさん人が残っていた。
周囲の人から笑われたり、嫌な顔をされたりしたが、黒髪のストレートヘアが美しい清楚な女性が美月の元へとやってきた。
「あなたがそう?」
人混みの少ない場所に案内され、近くにあったベンチに腰をかける。
「
「どうして?」
美月の言葉を聞いて、彼女は……
「私、彼のことが好きなの。だから、他の子を家に連れ込んでるって噂を聞いたときは耳を疑いたかった。でも、ただの噂だって気にせずにいられたんだけど、私、見ちゃったの。彼が大学生くらいの女の子に覆い被さってるところを。それを見てね、ショックだった。家が隣だから偶然見ちゃっただけなんだけどね」
彼女の言葉を聞いて美月は胸が痛くなる。
自分は恋愛といったものはしたことがない。好きになった人などいない。
けど……自分の信じてる人が自分の知らない顔を持っていたら。それが、マイナスの面でのことなら。ショックは大きいだろう。
実際、美月自身も
今の言葉が本当なら、美月でも
だが、
「私、彼はその時何もしてないと思うよ」
「どうして?」
「私も襲われた。けど……何もされてないし、
彼が本気で手をかけようとしたなら、自分はとっくに犯されていただろう。
現に何もされず、嫌悪感も抱いていないのは、彼が誠実な人であるという自分なりの証拠でもあった。
「だからね。私は
彼女に力強くも優しく言葉を放つ。
「それより、あなた名前は? 私は
話を聞くことに夢中で肝心の自己紹介を忘れていた
「
「
歯を食いしばりながら、
彼女の言葉ひとつひとつが重く感じられる。
だが、自分の言葉に正直な梨花は、苦しそうにしながらも、語るのをやめない。
「私それを見てて辛かった。何もしてあげられなかった。そうして、中学の頃、彼の父親が逮捕されて、彼は母方の祖父母に引き取られた。