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第33話

「ああー」


 グラディス様に聞いてしまいたい。


 でも、あたしが盗み聞きしていましたなんて言えない。


 そんなみっともないことしてまで聞いていただなんて知られたくはない。


 だけど、どうやって聞き出せるかあたしの頭では分からない。


 ベッドの中でゴロゴロしながら頭を悩ませる。


 マリアに相談したって話半分で流されてしまうに決まっているし、お母様に相談すれば、盗み聞きしていたことがバレてしまう。


 さすがに家族とはいえ、盗み聞きしていたとバレたら呆れられるだろうし、怒られちゃうかもだから聞かなかったことにして、自分で調べるしかないわよね。


 小さかった時のことなんて特に印象的なことしか覚えてないから、グラディス様とお会いしたことなんて覚えてなくても仕方ないとは言え、何で覚えてないんだろ。


 その頃のグラディス様は孤児だったっていう話だったから、今とは雰囲気も違うから覚えてなくても仕方ないのかな?


 それならそれで、孤児と出会った記憶があってもよさそうなのに、何で忘れているんだろ。


 あたしが馬鹿だから?


 馬鹿にしたって覚えてなさすぎじゃない? このことを誰かに相談したい……誰かいい人いるかな。


 カリナは会えても忙しい可能性もある。というか、そもそもグラディス様のこと相談してなかったから、こんなこといきなり相談されても迷惑よね……。


 自分で考えると今までやらかした


 カリナもカリナでステファン様関連のことで頭を悩ませているというか、カリナの方が大変そうよね。


 高位貴族に睨まれてるとか嘆いていたし。マリアも前は隣国の王子だから下手なことは出来ないと愚痴っていた。


 最近はアントニー様はお国に戻られていつこの国に戻って来るかは分からないのだから、手は空いているのでしょうけれど、今まで慌ただしかったのもあって、しばらくはゆっくりしたいみたいなことを言っていた。


 二人に相談出来ないのは残念だけど、まだあたしの相手がグラディス様だったのは不幸中の幸いだったと思いたい。……グラディス様の癖強過ぎるけど。


 王族と比べたら一貴族の方が断然いいわよね。


 これからグラディス様のよいところも知っていければいいけど、そんなところあるのかな?


 あ、でも、課題とか手伝ってくれたりするし、あたしが捕まった時も助けてくれたのだから噂よりはいい人なのは確かよね。


 噂を鵜呑みにしすぎてはいけないってことよね。ちょっと反省しなくちゃいけないわね。


 グラディス様に敵対してない人には関心がないんじゃなくて、みんながグラディス様のことを遠巻きにしてしていたから、グラディス様のことを分かってなかっただけなんじゃないのかしら?


 あたしだけ知っているのはもったいない気がするわ。


 建国祭でグラディス様のことを沢山の人に知ってもらいたいな。


 グラディス様に友達を作る? いや、まずあたしたちの関係がそこまで出来てないのだから、それはまた今度別の時に考えよう。


 差し迫って考えなくちゃいけないのは建国祭にどこに行くかだ。


 王都から近いぺスタンか、毎年盛大に盛り上がっているカリバーニャでもいいかなって迷っている。


 建国祭ほぼ初めてなら人の多いカリバーニャ以外も候補に上げるべきなんてでしょうけど、でも、あたしもちょっと行きたい気持ちはある。


 グラディス様と行く日以外の時に一人で行こうかなと考えていたのに、お母様に婚約したのだからあまり一人では行動しないようにと釘をさされてしまう。


 何でか聞いたら「婚約者と一緒に行動するのが普通だからよ」となんとも言い難いことを言われてしまった。


 結婚したら色々と面倒くさいと聞いたことがあったけど、婚約からだとは思ってなかったわよ。


 婚約者と一緒じゃなければ家族と出掛けるか、使用人を連れて歩かなければならないわよとお母様に諭されてしまう。


 今までのように一人で出掛けるだなんてことはしちゃ駄目なんだとか。


 ……そういうことはもっと早くに教えておいて欲しかったけど、最近は誘拐騒動のこともあって一人で行動するのは怖くなってたところもあって、一人では出歩かなかったからお母様もあたしがそういうことは知っているもんだと思っていたらしい。


 いや、知らなかったけど。


 誘拐騒動がなければ普通に出掛けてただろうから、これはこれでよかったのかしら?


 一人でうっかり出掛けて色々と噂されたり嫌がらせなんかもされたりするらしい。


 それを聞いて一人で出掛けてなくて本当によかったと言うしかなかった。


 噂はグラディス様と婚約したから何か色々と言われると思っていたけど、今のところ噂されているようなことはないので、もしかしたらグラディス様が何かしているのかもしれない。


 噂されてないのなら噂されてないでいいか。


 こういう時はグラディス様の存在のありがたさが身に沁みるというか、婚約者がグラディス様でよかったと考えるべきよね。


 あの方敵に回すとおっかないから。あたしの敵じゃなくて本当によかったわ。


 この分なら建国祭初日もあたしが槍玉に上げられそうな雰囲気もなさそうだし、パーティーに着て行くドレスを選んで、グラディス様とお祭りに行けばいいだけだ。


 あ、そうだ。


 お祭りでカリナとマリアに会ったら遊ぼうって約束してたんだっけ。


 一人で行動するのがだめなら誰か連れて行かないといけないんだけど、使用人たちもお祭りは行きたいという声はあたしも聞いているので、今から着いて来て欲しいとお願いするのは気が引けるなぁ。


 でも、駄目元で聞いてみるしかないか。


 グラディス様と出掛けるのは建国祭二日目で、それ以外は約束してない。残りの五日をどこで過ごせるかしら?


 そんなことを考えながら手の空いている使用人がいないかと思って探してみれば、ローテーションで休みを取る予定だったからむしろ行きたいという人たちばかりだったので、お祭りのお出かけはなんとかなりそう。


 よかった。


 グラディス様みたいにお祭りの日に家でじっとしてなきゃいけないのかと思っていたから安心したわ。


 みんな楽しそうなのに、家でじっとしてるだなんてあたしには堪えられないもの。


 グラディス様はよく堪えられるわね。今度コツでも聞いてみようかしら。いえ、そんなのあたしには必要ないわね。


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