「柊木くん。千歳さんと随分仲良さそうだったね?」
昼休み。一緒に弁当を食べていると、姫川からそんなことを言われた。結局、できるだけ一緒に行動してほしいという約束は、未だに続いている。
「あぁ。千歳さん、高嶺の花って感じで怖いのかと思ってたけど、意外にフレンドリーな人でさ」
「そう。じゃあ付き合っちゃえば? どうせ、『俺の前でなら好きなだけ泣いていい』発言も、色んな人に言ってるんでしょ?」
誰にでもそんなこと言う奴、そうそういないだろ。俺がどんなキザ男に見えているんだよ。
「まさか姫川さん、嫉妬してるのか?」
「嫉妬? 身の程を弁えなさい?」
若干オーバーキルモードになった姫川さんに叱られ、俺の浮かれた頭は冷静になった。そこで千歳との会話内容を話してみると、姫川は苦い顔をした。
「マジで信じてる?」
「やっぱそんなうまい話ないよなぁ」
「陰キャにも優しい女ですアピールに決まってるじゃん! 騙されちゃダメだよ?」
はっきり陰キャと言われると地味に傷つくな。
「でも、そこまでするか?」
「あのねぇ、私たちは勝手に『三美神』なんて呼ばれて、周囲からの期待に迷惑してるの。高嶺の花扱いされるからには、それに相応しい振る舞いをしなきゃいけないってね」
姫川の口の悪さは、『三美神』に相応しいものとはとても思えない。それでも、人知れず気苦労が絶えないのだろう。
「まさか、優しさアピールのために、俺に彼女をあてがおうとしているのか? いくらなんでもやりすぎじゃないか?」
「それくらいやらかねないと、私は見た! というか、いきなりマッチングさせられる相手の女子も可哀想だね」
そうだよな。俺みたいな陰キャをあてがわれて、なんて不憫な女子なんだ。
「まぁ、そう言う雰囲気になったら断るよ」
「どうかな? 柊木くんは真面目一辺倒だけど、彼女ができるとなったら弱そう」
意外と信頼ないんだな。ここは気を確かに持たねば。