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第7話 養殖美少女

「お前らみたいな問題児は、すぐ徒党を組みたがる。だから今日の校外清掃は、私がランダムに組み合わせた者とペアになってやれ!」


 委員長の号令で、俺は姫川と離れ、別の女子と組むことになった。相変わらず美化委員長は強引だ。刑務所の看守気取りか?


 姫川が泣きそうな顔でこちらを見てくるが、仕方がない。これも姫川の自立のためには必要だ。


 俺は微笑みを返しておいた。


「よろしくお願いします、柊木くん!」


 俺が組むことになったのは千歳葉月。学年三美神と名高い高嶺の花だ。姫川に続き、美少女と組めるのはいいのだが、なんで千歳みたいなまともそうな女子が美化委員になったのだろうか。


「柊木亮くんだよね? あんまりお話したことなかったから、楽しみだなぁ」


「俺のフルネーム、よく知ってるね。結構影が薄い自信があったんだけど」


「知ってるよ。だって、あの姫川さんと仲良いんでしょ? 妬いちゃうなぁ」


 自分も三美神の一人に数えられてるのを知らないはずがない。そのうえでこの発言……天然なのか? だが、俺の勘が告げている。天然美少女など絶滅危惧種だ。千歳もきっと養殖に違いない。なんせ美化委員会に入れられるくらいなんだからな。油断しないよう気を付けねば。


「姫川さんとは、まだ知り合って間もないんだ。ただ同じクラスの美化委員ってだけで」


「そうなんだ。でも、柊木くん優しそうだから、もう少し話しかけやすそうな雰囲気出せば、きっとモテると思う!」


 そんな褒め言葉を頂戴したのは初めてだ。お世辞で言っている風でもなかった。この人、本当に天然で性格良いのか?


「今度、私の友達を紹介するよ。きっと柊木くんと話が合うと思うんだ!」


「え? 友達ってまさか女子の?」


「そうだよ?」


 会って間もないのに、もう女友達を紹介された、だと? 陰キャには免疫のないイベントが続いて混乱しそうだ。


「あ、ありがとう。でも、俺なんか紹介されても、その子困ったりしないかな?」


「大丈夫! 私が信頼を置いている子だから。きっと上手くいくと思うよ?」


 千歳さんはそう言って手を握ってきた。随分距離が近い。なんだか騙されている気がする。だがこれはひょっとして、彼女を作るチャンスなんじゃないか?


 そんな浮かれた考えが頭から離れず、俺はまともに校外清掃に集中できなかった。


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