こうして長い結婚相談は幕を閉じたのだった。
「できた」
亨とトトノの結婚に必要な最後の書類が完成し、本格的に2人が結ばれる時が近づいていた。
出来あがった書類を課長に持っていく。
「うん。問題ないみたいだね。初めての結婚相談だったけど、どうだった?」
「問題が山積みなのは理解できました。本人たちが幸せなのに他の人たちがそれを邪魔をする。それを解決しない限り前には進み辛いですよ」
今回の事で反アンドロイドという存在の影響を実感した。彼らが誰かの幸せを妨げようとするのならば、共生課が前に立たなければならない。
「そういう自覚って大切だよ。自分にできることを理解して、最大限の働きをする。1年目でそこがわかれば安心だ」
門倉が笑いながら書類を奈々香に返した。
そしてその数ケ月後、奈々香あてに手紙が届いた。差出人はトトノで、亨と結婚をしたと書かれていた。盛大ではなかったが、友人や親族に祝福されていたらしい。
母親も参列したらしく、徐々にではあるが関係の修復も出来ているらしかった。
手紙と一緒に同封されていた写真には、ウエディングドレスを纏ったトトノが幸せそうに笑う姿が映っていた。
「良かった」
しみじみと噛みしめるように呟く。
しかしその余韻を打ち砕くように電話が入った。対応した門倉が、奈々香と雅嗣を指名する。
「御門君、一ノ瀬君。緊急事案が入ったから直行して」
「わかりました。よし行くぞ」
「了解です」
このやり取りにもすっかりと慣れ、慌てることなく準備をして雅嗣を追いかける。
未だに完全とは言えない状況の中において、彼女たちの仕事に終わりはない。人間とアンドロイドが互いに共生できる日まで。