雲一つない冬晴れ。穏やかな日差しに、澄んだ空気がうめー。
「で、野島と花守は葵さんの追っかけか」
「うん。瑠香ちゃんもね。さっき迎えの赤くて素敵な車に乗って行ったよ」
両手を大きく広げる俺の後ろで、二人の会話。振り返って後ろ向きで歩くと「おい、コケんぞ」と大雅。俺は構わず笑ってみせた。
「でもさ、びっくりだよな~。桑原の従兄妹なんだろ? カーター葵さん」
「それな。俺もびびった。妃色さんも知らなかったんだよね?」
大雅の問いに、成海さんはこくこくと頷く。
「瑠香ちゃんとは、あまり喋ったことがなかったから……。でも牡丹ちゃんも知らなかったみたい。ひゃっ!」
昇降口からダッシュで来た田中が、成海さんの横を疾風の如くビューンと通り過ぎた。
顔周りに白い息を散らし、真辺さんを引き連れて。
頭に被った赤色のニット帽は、眼鏡からコンタクトレンズに変えた、
「よっ、頑張れよ! じゃあな!」
「危ねーだろ!」と、般若顔負けの形相で怒る大雅を尻目に、田中が俺の肩をパシッと叩く。白い歯と、楽しそうにつり上がった目に俺も釣られ、俺も白い息をぶはっと吐いた。
真辺さんは成海さんに手を振る。前に向き直った表情は、俺が見たこともない屈託のない笑顔だった。
「ハッピーホリデーズ!! 北風さみぃーーっ!!」
田中は校門前で立ち止まると、応援団のエールのように背中を反らす。天を切り裂きそうな勢いで叫んだ。
三年の先輩たちがどう思ったのかはわからないけど、意外とみんな寛大な反応。スベっている割に、ウケている。校門前で挨拶を交わす、やや呆れ顔の校長や先生たちも笑っていた。
「っるせー、やっと行ったか」
ごちる大雅の隣で、幸せそうにふふっと微笑む成海さんが可愛い。
「んじゃあ、俺も行くわ!」
「へ?」と声を揃える、大雅と成海さん。同じ顔して面白れぇーの。
「駅まで一緒に帰るんじゃなかったのか? 孝也、お前まさか気ぃ使って」
「ちげぇーよ。なんか……早く会いたくなっちゃったんだよっ」
耳が熱くなる。幾ら親友でも、こんなこと言うのは全くもって恥ずい恥ずい。
「へぇ自信あるんだな……。まぁ、お前なら大丈夫だろ。ね? 妃色さん」
「うん……!」
成海さんは両手を握り、拳を作る。今や、お馴染みのファイティングポーズ。大雅は俺に向き直ると、肩の力を抜いたようにふっと笑う。大雅と成海さんの優しい表情に、心がほくほくした。
二人の
「っし! 行ってくる!」
期待に膨らました胸に、二人から貰った勇気を添えて俺は走り出す。
見上げれば太陽。周りには、開放感に満ちた生徒たち。振り向けば、頬を染めて指を絡める二人の姿。
背中を押す風。胸が高鳴って、逸る心が駆け出していく。
みんな幸せそうだっ。