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第82話 リスタート

 次の日、俺は学校を休んだ。仮病じゃないぜ、熱な、熱。復活した大雅と入れ替わりだ。

 これは後で聞いた話なんだけど、俺が大雅ん家に行って、手厚い看病でもして風邪がうつったんじゃないかっていう噂が流れていたらしい。ちょいちょい出るBL疑惑。ったく、発信源は野島・花守辺りか?

 ま、いいけどさ。成海さんも笑っていたし。


 んで、マフラーだけど、母ちゃんに見つかって誰かがお買い上げ。フリマアプリ行きになった。

 母ちゃんのやつ、俺が自転車忘れてくるわ、ずぶ濡れになって帰ってくるわでえらく心配してさ。もう子供じゃねぇーのに。

 そんですぐ用意してもらった風呂に入ったのは良かったんだけど、その間に見つかったってわけ。

「リュックもびしょびしょじゃない。こんなパンパンになるまで、一体何入れてんの~」ってな感じでさ。慌てて風呂場から出た時には、母ちゃんはプレゼントの袋を持ち上げていてよ。

 いやー。今はくっそ笑えるけど、気まずかったのなんのってさ。どう説明すればいいか、まじ困ったし。


 ――ん? なんだよ、田中。振り向いてきたかと思ったら、にやにやして。さっきまで寝てただろ、お前。あーわかったわかった。やんよ、やっから。


「ということで、先生からは以上です」


 ガタガタタン!


 一斉に音を立て、俺と田中、他の男子も席から立ち上がる。


「「「へぇぇぇいっ!」」」

「「「いっしゃぁぁあ!」」」


 テンションMAX。埃が舞う。委員長の今年最後の号令は、俺たち男子と一部女子によって掻き消された。


「フ~ゥ~!」


 各々、喜びを体で表している。ジャンプしたり、ハイタッチしたり。意味不明な、もしくは卑猥な言葉を叫んだり。やいのやいのと騒ぐ。


「馬鹿ばっか」


 そう後ろから大雅の声が聞こえた。

 だけど、それに棘は感じられない。振り返ってみれば、ほら。楽しげに肩が小刻みに揺れている。


「嬉しそうな顔しやがって」

「お前もな、孝也」


 ニッと、互いに微笑みを交わし合う。


 さてと。


「成海さーん、帰ろうぜ~」

「ちょ孝也、おま。俺が言うからそれ」

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