午後１１時３０分。

柚花は店の片付けを始める。いつもは１２時まで営業しているが今日は客が少なく早く店を閉めることにした。

そして、この時間になると鳩のメッセンジャーが１階に降りてくる。

「柚花！暇だから遊んでくれよ！」

メッセンジャーは基本的には客がいる時は１階に降りてこない。家といっても仮にも１階は飲食店だから衛生的に良くないから。

でも１１時を過ぎると客は殆どが柚花と同じ忍者の人ばかりで、コーヒーを飲みながら情報交換をしたりする。

でも今日は誰も来ないから店を閉めた。やらなきゃ行けないこともあるから。

柚花は構ってもらいたがっているメッセンジャーを無視して急いで片付けをする。

「なぁ！おいってば！この貧乳ロリ娘！」

メッセンジャーが半ギレで言うと柚花は立ち止まる。

そして顔はニコニコ笑顔だけど雰囲気が物凄く怖く、今にも殺しに掛かってくるようなオーラを出す。

この殺気を感じたメッセンジャーはあまりの怖さに凍り付いてしまう。

「あわわ・・・スマン。ロリ貧乳って言ってスンマセンでした！なぁ、許してくれよ？なぁ！冗談でうっかり言ってしまっただけなんだよ！」

必死に許してもらおうと謝罪をするメッセンジャーだが柚花はそんなの無視して近付いて来る。

柚花は貧乳である事と貧相で幼い体つき、ロリっぽいその見た目がコンプレックスである。

男性諸君の中にはロリ娘は最高と思う人がいるかも知れないが、実際に幼く見られる柚花本人にとってはたまったものではない。

やはり年頃の女の子だけあって大人っぽく見られたいのだ。

「メッセ、今日は構ってあげるわけにはいかなくなったの。この後、任務が出来たから。」

柚花の任務・・・先程の常連のお兄さんが闇バイトに手を出しているという事。そしてそれを阻止しに行かなければならない。

「なんだ・・・そういう事か。なら付いて行っても良いよな？俺たち相棒だもんな！」

メッセンジャーは普段から柚花の任務についていく事がある。そして、柚花もそれを認めている。

「良いけど邪魔だけしないでね。今日の任務は知り合いが絡んでるから。」

その言葉にメッセンジャーは少し沈黙した。

柚花は知り合いが絡む任務は物凄く真剣に全うするのだ。普段のチンピラを懲らしめる任務はヘラヘラしているのに知り合いが絡むと途端に顔色を変えて本気で任務をする。

「それだけ今回の知り合いがヤバいんだな・・・。」

「うん、ヤバイ。下手したらあたしがこの手で殺さなきゃいけないかも知れないから。」