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いくら忍者の名門でも棟梁の一族以外は滅多に着物を着る事がない

1人で書道の練習をしていた柚花の前に現れた柚花の友であり忍者の近本千歌。


千歌のその目には柚花に近づきたいという揺るぎ無い決意が見える。


いつも1人ぼっちで朝から書道の練習を頑張っている柚花みたいに自分も頑張って近づきたいと思っているのだ。


書道のコンクールでも常に優秀賞を取っている柚花に、忍者としても常にどっしりと構えている柚花に少しでも近づきたいと思っている。


その手始めに千歌は朝から柚花と書道の練習をしようと思ってヒッソリと部室に入ってきたのだ。


「どうしたの?千歌ちゃん?」


一緒に書道の練習をしていくれる仲間が増えたと思って嬉しそうな表情をする柚花。


ゆずちゃん・・・。私も一緒に書道の練習をしても良いかな?」


少し控え気味な感じで千歌は柚花に朝練に参加をして良いか聞いてみた。


「もっちろん!」


普段、何事にも消極的な千歌が朝練をしようと思って行動した事に柚花は凄く嬉しく感じた。


「じゃあ早く着物に着替えなきゃね?もしかして着物着るの苦手かな?」


「う、うん・・・。」


自信なさげにうつむく千歌。忍者の棟梁である柚花は忍者の集まりとかでみんなの前で高価な着物を着て喋ることが多いから着物を着るのは慣れているが、忍者の名門とはいえ千歌が着物を着る機会は殆ど無い。


それ故に千歌は着物の着替えが苦手である。



「んー、分かった。あたしが千歌ちゃんの着付け手伝ってあげる!」


柚花は千歌の手を取って、部室の着替えるスペースへ連れて行こうと引っ張る。


「あ、そんなに引っ張らないで・・・。」


柚花の勢いに大人しい千歌は動揺しながらも着替えるスペースへと連れて行かれる。


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