「私の完敗だよ」
夕方になって、城西のセーフティーにやって来たパーカーが悠里へ言った。
第二戦目は完勝。パーカーを抑えたことで森側の味方がフラッグをゲットして勝利した。
しかしその後の試合はといえば、上手く連携が決まったのは第二戦目だけで、後はパーカーに上手く抑えられてしまった。
だから彼の完敗の意味が分からず、首を傾げてしまった。
「言ってる意味が分からない、という顔をしているな」
「えぇまぁ。7ゲームくらい回して、俺達は一勝ですからね」
「その謙虚さも実に良いな。惚れて損はなかった」
心と物理的に距離を置く。俺は男だぞ、と悠里は内心でツッコむ。
「さっきの非礼を謝罪する。申し訳なかった。君こそが咲良君の相棒として相応しい」
この潔さは今までの事を帳消しにしても良いと思えるほどだ。
「まぁ・・・・・・良いですよ」
「それは許してくれたと受け取っていいのかな?」
コクリと頷くと握手を求められて、
「これからも良きライバルとして共に精進しよう」
なんてクサい台詞を吐く。
この人に恥ずかしいなどという言葉はないのか。こっちが照れくさくなってくる。
握手に応じると爽やかな笑みを向けられる。
「これで君とも、咲良君とも
認めてもらえた。そういうことにしておこうと思う悠里。
「そうだ。これで私たちは好敵手」
「な、なんです? 急に肩まで組んで」
「君が咲良君をどう思っているのか」
「ど、どうって。特に思うことはないですよ。良き相棒、良きパートナー」
「恋愛感情とかはないのか?」
「れ、恋愛?! なんで?」
「ぬははは。君たちの動きはただのエレメントの域を超えている。互いの動きを知り尽くしたような繊細でキレのある動き。まさに恋人というに相応しい」
「恋人って、俺はそんなつもりはないですよ!」
「では私が横から取っても良いのだな?」
揶揄ってるつもりか。けど目は真剣そのもの。
横取りされるのは不服だ。悠里は立ち上がって、
「させません。いくら貴方が強くても俺が咲良の隣にいます」
絶対に渡さない。渡すなんてあり得ない。
心は戦闘態勢になっていた。大切だと言ってくれた人を簡単には奪わせまいと掻き立てる。
「それで良い」
「え?」
「君の気概、やはり男だ。次はEOSで会おう。それと、咲良君と上手くやれよ」
捨て台詞を吐いて、パーカーは城西のセーフティーから去って行った。
「ほんと掴めない。変人だな」
「あの、悠里君」
咲良に肩をちょんちょんと叩かれて振り向く。
ぽっと紅潮した頬。全部聞かれていたのだと気づいて悠里は気恥ずかしそうに天井を仰いだ。