突拍子もなく提案された合宿。
週末にやると言っても予算やら場所がないと思ったが、
「学校長と掛け合ったらオッケーを貰えた。場所も知り合いが持っているビーチを貸してくれるそうだ。宿代と交通費は学校持ち。予選とは言え全国一歩手前の私達の可能性を買ってくれたんだ。いやぁ太っ腹ー」
と涼は学校長まで話を通して決行が決まってしまった。
恐らく色々と吹き込んだんだろうと思いつつ、悠里は合宿地まで電車で向かった。
場所は千葉の外房。泊まるのは民宿、練習場所は海岸で涼先輩が前乗りしてネットを張った特設フィールドだ。
どこまで気合を入れてんだか。
最寄り駅に着くと、既に部員の何人かと涼が待っていた。
その中に咲良もいて、こちらをチラリと見ては目が合いそうになると視線を逸らす。
……見捨てた癖に、気持ちが悪い。悠里は彼女の前を横切って涼が用意した送迎のマイクロバスへと乗り込んだ。
走ること数十分。
「諸君、昨日から徹夜で作った特製フィールドがここだ!」
扉が開くや、一面の海を背景に青ネットで囲われたフィールドが現れる。
「よく一人で作りましたね」
「骨が折れたよ。だが、その価値はある」
にやりと涼は笑う。
「さて、早速練習を始めるが、その前に一つやることがある」
「やること?」
「全員の銃を交換する!」
「「はぁ?!」」
部員全員の驚嘆が水平線まで飛んで行った。