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第6話 救出完了

「わーん、怖かったよぉ、恭二きゅん!」


 シェラがわざとらしく抱きついてくる。もうトラウマのほうは大丈夫みたいだな。泣き真似であることは分かっているが、ここは甘やかしてやろう。


「シェラ、もう大丈夫だ。これで後腐れなく計画を進められるな」


「ちょっと! 年頃の女子がベタベタするもんじゃありません!」


 カノンが怒ってシェラを引き剥がす。


「なに~? カノンちゃん嫉妬してんの? 二人で抱き付いたっていいよね? 恭二きゅん?」


「俺は抱き枕じゃない。勘弁してくれ。それより、さっさとここに収容されてた人を救出するぞ!」


 そんな「うらやまけしからん」状況に陥ったら、間違いなく平静を装っていられない。辞退しておいて正解だっただろう。


 俺の召喚した蔵に、収容者が次々と移動していく。


「助かりました、ありがとうございます」


「本当にこれで自由の身ってことでいいんですよね?」


「というか、あなたたちは一体……」


 皆喜ぶというより、まだ不安げで、戸惑っているようだ。


「我々は【神秘公開同盟】。異能力者の自由と人権保護を是として活動しています。晴れて自由の身、と言いたいところですが、今帰宅すれば狙われます。しばらく我々の庇護下で隠れていたほうがよいかと」


「そうですか、見返りに何をすれば……」


 老女が困ったように問うてくる。もっともな疑問だ。


「見返りは要りませんが、もし不要という方がいれば、異能を預けてほしいのです。なまじ異能があるせいで人生が狂った方もいるでしょう。私のこの【蔵】の技術があれば、異能を抽出して格納し、いつでも引き出し可能です」


 俺がそう依頼すると、皆どよめいた。


「そんなことが本当に可能なのか?」


「いやでも、さっき確かに所長の異能を奪っていた」


 皆の視線が全裸のリアに注がれる。恥辱にまみれていい気味だ。


「信用できないのなら帰宅するもよし、です。何せあなた方は自由の身ですからね」


 俺がそう諭すと、決めかねていた人達も意を決し、蔵へと入っていった。


「じゃ、地上まで送りますよ」


 俺は蔵の召喚を解除した。これで、人々を収容した蔵は、もとあった海上宮殿に戻った。


「使い勝手の良すぎる能力ね」


 カノンは感心したようにいう。ドラゴン形態と人間形態を往き来できるカノンも大概だと思うがな。


「これでも千年かけて洗練されてきた技術だからな。一族ガチャウルトラレアを引き当てたってわけよ」


「さっすが恭二きゅん! 天才かつ人格者なところ、ホントカッコいいよ!」


「褒めても何も出ないぞ?」


 などと談笑しながら、俺たちは尖塔を昇っていった。


 だが次の瞬間、尖塔の上部にとてつもない魔力を感じた。


「……『上』の奴が来たか」


 どうやら本気を出さないとマズそうだな。


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