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第4話 海底施設潜入

「ここがヌバタマ商会のアジトね」


 カノンの背中に皆で乗り、上空から見下ろす。


「わざわざ海底に拠点を置くなんて、大それてるよな」


 以前、ヌバタマ商会の末端の人間に念話を繋ぎ、脳内を読み取ったところ場所が明らかになった。商会の連中は、拐った異能力者を海底の施設に監禁しているらしい。


「建物を破壊しても溺れるから、逃げられないってわけか」


「悪趣味な連中だねぇ、恭二きゅん! 突入に関しては頼んだ!」


 シェラは明るく振る舞っているが、どうも無理してるようだ。やはり、商会に囚われていた頃のことがフラッシュバックするのだろうか。全く。シェラのような純朴な少女にトラウマを植え付けるなんて、不埒千万だ。


「頼まれた! 【蔵出し】―【尖塔】」


 俺はタワー状の蔵を召喚し、海底の建物に接地させた。


「よし、蔵の中に入れ! 階段で降りるぞ!」


 カノンは尖塔に着陸して人間形態に戻り、皆で中の階段を降った。


「蔵の中ってこういう風になってるのね。もっとダークマター的な何かが充満してるのかと思った」


「蔵は基本普通の建物と同じ構造だ。素材に特殊な術式と魔力が埋め込んであるだけでな。この【尖塔】の場合は、魔力による強度アップというシンプルな効果だ」


「へぇ、にしても珍しい技術ですね」


「島国だからな。他にも珍奇な術式はたくさんある。グラムダルに訊けば色々教えてくれるだろうよ」


 ちなみにグラムダルは海上宮殿でお留守番だ。人形である以上、俊敏な動きはできないので仕方がない。


「前から思ってたけど、なんでグラムダルちゃんって各国の術式に詳しいの?」


「さぁな。呪いの人形の供養場で奴をスカウトしたんだが、出自に関しては教えてくれないんだよ。詮索はよそうと思っているんだ」


「なんか曰くありげだね」


「だな。俺も祟られそうだから訊きたくない」


 どうもフランス人形は目が怖くて苦手だ。


「うわっ、女子にそんなこと言う? グラムダルちゃん悲しむよ?」


「いや、でもリアルな人形って不気味じゃん」


 それに、あれを女子と呼んでいいのか疑問は残る。


「まぁここだけの話にしておくけど。本人を前にそんな態度取ったらダメだよ?」


 カノンはデリカシーにうるさい。そういう女子の心の機微に疎い俺にとっては、学ぶことばかりだ。


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