あれ以降、不気味な事にカタストロイは出現しなくなった。
それがより、緊張感と違和感を抱かせる。
アイクもまた、その一人だ――
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自室にて。
アイクは、拭いきれない違和感の正体を探るため、ベッドに横たわりながら思考を巡らせていた。
(カタストロイ本体と遭遇するのは、データと
――まるで、こちらの動きを確認していたかのように。
(まさか……意志を持って、観察でもしていたってぇのか? カタストロイにそこまでの知性があると?)
今まで、カタストロイには知性が無いという見解が一般的であり、流布されている情報だ。
理由は、出現しては街を破壊し命を奪う。
その行動以外を示さないからだ。
だが、今回はどうだろうか? まるで、敵情視察のような動きに、トロイメライ戦隊が対峙した、
明らかに、知性を感じる。
(そういや、レイン博士はカタストロイ本体の知性について、懐疑的だったっけ? それが的中したっつーわけか?)
どうにも煮え切らない思考の中、自室の通信端末からの呼び出し音で我に返ったアイクは、身体を起こす。アイクの元に人が来るのは珍しい。
不信感を抱きつつ、アイクは扉に備え付けられている通信端末を確認すると、そのモニター越しにはシャオの姿があった。
(珍しいっつーか……どうしたってんだ?)
アイクは、後ろめたさを心の奥に隠し、何事もないように通信端末の音声出力ボタンを押す。すぐに、シャオの声が響いて来た。
『アイクー? 来たぞー!』
「来たのは分かってますよ? 何のようです?」
『んー? そうだなー……気になったからだぞー!』
シャオが自分を気にかけていた……その事実に、衝撃を受けた。
自分のエゴで彼を遠ざけ、そのエゴが間違いであった事を認識したばかりだというのに。
(責めに来たっつーわけではねぇだろうし……何が気になったんだ?)
「とりあえず……室内に。どうぞ」
シャオを室内に招き入れると、彼はアイクをまっすぐ見つめる。そして、はっきりと聞き取れる声でシャオが告げた。
「アイクが、いつも以上になんかしんどそうだったから! 来たぞ!」
その言葉に、アイクは思わず目を丸くするしかなかった。いつもという事は、シャオ本人に気づかれているという事。
それがまた、アイクの心に影を落とす。
だが……それを覆すのもまた、シャオの言葉だった。
「アイク! オレのこと、気にしてくれてるだろー? ありがとうなー!」
そう告げたシャオは、照れ臭そうに笑うが、アイクの心を晴らすのに充分だった――