『遅くなりました』
通信越しにハリスの声が響く。
指定地点に各機が揃ったのを確認すると、ハリスが指揮を執り始めた。
『状況は把握済みです。今までにないケース。対応策をレインが急ぎで考案していますが……間に合うかは分かりません。各機、油断せずに行きますよ?』
『油断せずに行くにしても、相手がこちらのデータを上回っているんだろう? どうするつもりなんだ?』
疑問を呈したのはユーリだ。彼の乗るエルプズュンデは、前方に佇んでいる。いつでも
そんな彼の疑問に答えたのは、解析が得意なハナだった。彼女は、全員にとあるデータを送信して来た。
「これは……なんです?
『このデータを基にして、カタストロイは戦闘形態を変えたのではないかと、レイン博士は見立てているそうです』
『なるほど。では私のキルヒェンリートが先程得たデータもここに足そう。もっとも、向こうは我慢の限界らしいがな?』
ロディの声で、緊張感がより高まる。動きを止めていたカタストロイが、また身震いを始めたからだ。
衝撃波に備え、今度はアイクとシャオ、そしてデューイとハナの乗る三機で
だが……
(おかしい……攻撃してこねぇだと? どうなっているんです?)
アイクが抱いた疑問は、他の者も抱いたらしい。
シャオの戸惑う声が通信越しに響く。
『アイツどーしたんだ? 身震いしたまま動かないぞー?』
身震いし続けるカタストロイは、不意に咆哮をあげ……そのまま霧に包まれて行く。
気付けばカタストロイは姿を消し、衝撃波で崩壊した街の風景だけが広がっていた。
(なんだったんだ……? 不気味すぎますって……)
『とりあえず、母艦に帰還しましょう。今回の件は、不可解にも程があります』
ハリスの指示と、ヴェルト・アル=ズィーゲリンからの通信による帰還命令は同時だった。
脅威は去った。
しかし、拭えない違和感と不可解さが、トロイメライ戦隊に緊張感を抱かせる。
(いずれにせよ、見解待ちですかねぇ?)
アイクは、自分が見解を見出せる人間ではない事を改めて自覚してしまった。
それは、シャオの件でもあり……自分自身の問題でもあると認識している。
――シャオジェン・レェリャンという人間への認識を見誤っていた。
(自分は……愚かですよ。全く)
自嘲しながら、アイクは他の隊員達と共に帰還して行く。
次なる戦いに備え、これまでの