アルプ機関とトロイメライ戦隊は密接な関係にある。
表向きにはアルプ機関は
だが……
トロイメライ戦隊をバックアップするのが、アルプ機関の本当の設立目的なのだ。
故に、トロイメライ戦隊の隊員が扮装する事も可能だ――
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「ハリス
尋ねたのはデューイだ。今彼ら三人は、間借りした個室にいる。本来は階級呼びだが、今はアルプ機関の調査員という事でいるため、あえての呼び方だ。
「そうですね……おそらく、
「その警戒をどうかいくぐるか、ですね? 私とデューイがどこまでバックアップ出来るか、わかりませんけれど……」
ハナが少し弱気な声を漏らす。アジア系特有の幼く見える顔立ちが、彼女の身長も相まってより際立たせる。そんな彼女にハリスは微笑むと、静かにお茶をすする。
「まぁ様子を見ましょう。相手がどう動くかなんて、予想できないですから」
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「アーレント」
声をかけて来たのは、フランス系の銀髪オールバックの青年セルジュ・シャノワーヌだった。同期である彼とは、話がしやすい。
「どうしたセルジュ?」
「なぁ、実際……アルプ機関てどうなんだろうな?」
「どうって……」
彼が突然話題を出すのはいつもの事だ。嫌な気分ではないが、アルプ機関に対しては別だ。
「気に入らないけれど、何かしようもんなら報告にあげられて、別の意味で終わりだろうしな」
「同感だ。実際、それぞれの小隊長達がちょっかい出さないか目を光らせているらしいぜ? 相手は民間人。下手に手を出したら処分とからしいし」
「まぁだろうな」
皆、アルプ機関からの調査員に対して、良い印象は持ってはいない。だが、仮にも軍隊所属の軍人が民間人に少しでも危害を加えようものなら、とんでもない事になるだろう。
アルプ機関はそれ程までに重大かつ強大な存在なのだ。
「皆気にしすぎなのよ。
声をかけて来たのはレナータだった。横を見ればラヴィニアもいる。アーレントの心がざわつく。
「そうだ、姉さんの言う通りだ。気にしすぎなんだよ」
双子の言葉に、アーレントとセルジュも頷く。確かにその通りだからだ。気にしすぎは良くないと四人は思いながら、今日の訓練に集中する事にした。
その様子を、遠くから見ている者達がいた――
彼らは記録し、観察する。
どうやら、目標を認識したらしい。
そう……