拠点内の格納庫に、エルプズュンデを格納したユーリはコックピットハッチを開けて、階段を使って降りて行く。
「お疲れ様です、
床に足を着けたと同時に、待機していたらしいアイクから声をかけられたユーリは、言葉少なく口を開いた。
「アイク……何か用か?」
「はぁ……人の心がないんですか? あの日本人の少女の件で、ご報告があるから待機していたというのに、
「忘れてはいねぇよ……ミスアンジョウだろう? トキトウから
アイクがここにいる理由なんて、それしか思い浮かばない。彼が口を開こうとした時だった。無機質な女性のアナウンスが格納庫内に響き渡った。
『ユリシーズ・バーレイ准尉、アイザック・アーヴァイン准尉。レイン・エンジェル博士がミーテイングルームにてお待ちです』
名前を呼ばれたユーリとアイザックことアイクは、お互いに視線を合わせる事なくミーテイングルームへ向かう事にした。その道中で、アイクがユーリに先程伝えようとした件について話し始めた。
「それで、ミナレ・アンジョウについてですが……体内から
「そこについてだけは同感だ。んで? 肝心のミナレ・アンジョウは今?」
アイクは肩を竦め、首を横に振りながら答えた。
「サプリメントを簡単にもらうのもそうですが、日本人は警戒心なさすぎじゃありません? ミナレ・アンジョウなんてずっと取り乱してトキトウの心配ばかり。お話になりませんよ」
「日本人で一括りにする問題発言は聞かなかった事にする。それに、謎のサプリメントが流行しているのは世界規模だろうが」
ユーリの言う通り、
「それは失礼。ただ、おかしな時期に教師が外部から入って来たというのに、どうも疑わなさすぎる。そこが気になっただけですよ」
「俺は日本人じゃないからな、その心理についてはわからん。だが……潜入しやすかったのは事実だな」
そんな会話をしつつ、二人はミーテイングルームへと入って行く。